◇No.63◇大丈夫だから泣かないでください
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあ、また来るね…。」
パタン、と小さな音を立てて扉が閉り、今にも泣き出しそうなベポと、心配そうにしているペンギンとシャチの姿が消えました。
小さく息を吐いたローが、ゆっくりと歩いて向かうのは、部屋の奥にある大きなベッドです。
ベッドでは、なまえが静かに眠っています。
なまえが倒れて一週間が経ちました。彼女は、あれから1度も目を覚ましません。
でも———。
(死んでるわけじゃねぇ。)
ベッドの縁に腰を降ろしたローは、静かに眠り続けるなまえの前髪をそっと撫でます。
そう、彼女は死んでいるわけではないのです。それだけが、ハートの海賊団の船員たちにとって、唯一の救いでした。
眠らないはずの彼女が眠っている———それはイコール、人間になったということなのかもしれない。
ほんの少しだけ期待して、ローはすぐに診察しました。でも、やはり彼女はロボットでした。
だから、船大工のダイや機械が得意のカイにも診てもらいましたが、どの回路にもおかしなところはないというのです。
それならなぜ、なまえは目を覚まさないのでしょう。
「早く起きろ。もうすぐ島に着くのに、まだ寝る気か。」
ローは、叱るように言って、なまえの頬を軽くつねりました。
その時でした。
なまえが、顰めるように眉を動かしたのです。
頬をつねられたのがきっかけになったのかはわかりません。
でも確かに、今までまるで人形のようにぴくりとも動かなかったなまえが、反応をしたのです。
「なまえ!」
ローは、急いでなまえの肩を揺さぶりました。
もう一度、反応してくれ———必死に願いを込めて、なまえの名前を呼びます。
何度目かの声掛けで、なまえはまた、小さく眉を動かしました。そして、一度、ギュッと目を瞑った後、ゆっくりとじっくりと時間をかけて、瞼を開きます————。
「・・・っ。」
目を開けたなまえは、またすぐに目を閉じました。
顰めたその表情は、まるで〝眩しい〟と言っているようでした。
そして、またゆっくりと瞼を開けると、今度こそようやくローのことを認識します。
「・・・ロー?どうしましたか、泣きそうです。」
なまえは、手を伸ばしローの頬を撫でると、とても心配そうに言いました。
ローは、言葉が出ませんでした。
安心したのです。
ほらやっぱり、彼女は死んでなんかいなかったのだ、と———。
だから、代わりになまえをギュッと抱きしめました。
強く、強く抱きしめました。
「ロー?」
何が起こったのか分からない様子のなまえが、ローの腕の中で首を傾げました。
パタン、と小さな音を立てて扉が閉り、今にも泣き出しそうなベポと、心配そうにしているペンギンとシャチの姿が消えました。
小さく息を吐いたローが、ゆっくりと歩いて向かうのは、部屋の奥にある大きなベッドです。
ベッドでは、なまえが静かに眠っています。
なまえが倒れて一週間が経ちました。彼女は、あれから1度も目を覚ましません。
でも———。
(死んでるわけじゃねぇ。)
ベッドの縁に腰を降ろしたローは、静かに眠り続けるなまえの前髪をそっと撫でます。
そう、彼女は死んでいるわけではないのです。それだけが、ハートの海賊団の船員たちにとって、唯一の救いでした。
眠らないはずの彼女が眠っている———それはイコール、人間になったということなのかもしれない。
ほんの少しだけ期待して、ローはすぐに診察しました。でも、やはり彼女はロボットでした。
だから、船大工のダイや機械が得意のカイにも診てもらいましたが、どの回路にもおかしなところはないというのです。
それならなぜ、なまえは目を覚まさないのでしょう。
「早く起きろ。もうすぐ島に着くのに、まだ寝る気か。」
ローは、叱るように言って、なまえの頬を軽くつねりました。
その時でした。
なまえが、顰めるように眉を動かしたのです。
頬をつねられたのがきっかけになったのかはわかりません。
でも確かに、今までまるで人形のようにぴくりとも動かなかったなまえが、反応をしたのです。
「なまえ!」
ローは、急いでなまえの肩を揺さぶりました。
もう一度、反応してくれ———必死に願いを込めて、なまえの名前を呼びます。
何度目かの声掛けで、なまえはまた、小さく眉を動かしました。そして、一度、ギュッと目を瞑った後、ゆっくりとじっくりと時間をかけて、瞼を開きます————。
「・・・っ。」
目を開けたなまえは、またすぐに目を閉じました。
顰めたその表情は、まるで〝眩しい〟と言っているようでした。
そして、またゆっくりと瞼を開けると、今度こそようやくローのことを認識します。
「・・・ロー?どうしましたか、泣きそうです。」
なまえは、手を伸ばしローの頬を撫でると、とても心配そうに言いました。
ローは、言葉が出ませんでした。
安心したのです。
ほらやっぱり、彼女は死んでなんかいなかったのだ、と———。
だから、代わりになまえをギュッと抱きしめました。
強く、強く抱きしめました。
「ロー?」
何が起こったのか分からない様子のなまえが、ローの腕の中で首を傾げました。