◇No.62◇変化とは怖いものです
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甲板では、狼狽したベポが泣き顔で悲鳴のような声を上げていました。
彼の腕の中には、なまえが横抱きに抱えられています。
四肢をだらりとぶら下げる彼女は、瞼を固く閉じ、ベポや、彼の悲鳴を聞きつけて集まってきた仲間達がいくら声をかけても、まったく反応しません。
「何があった!?」
甲板への扉を蹴り飛ばすように開けて、ローが駆け寄ってきました。
船長室で仕事をしていたローを、事態を知ったイッカク呼びに行っていたようです。
「キャプテン!!なまえが…っ。」
そこから先が、ベポにはどうしても言えませんでした。
何が起こっているのか、悲鳴を上げて泣いている彼は、感じ取っていました。
本当は、分かっていたのです。
でも、それ以上を言ってしまえば、それが現実になってしまいそうで、恐ろし過ぎました。
自分が言っても、言わなくても、なまえが力なく目を閉じていることに、変りはないのに———。
「なまえ!」
ローが、ベポから乱暴になまえを奪うように抱き上げます。
なまえは、ローの腕の中に横抱きに抱えられても、何の反応もありませんでした。
今朝、ローと共に「おはよう」とキスをして、部屋を出ていく時までは元気だったのです。
ローの仕事が終わったら、甲板に出て日向ぼっこをしよう、と楽しそうに言っていました。
それがどうして———。
機械で、半永久的に命が続くはずのなまえが、まるで死んでいるように———。
一体、機械の彼女に何が起こったのか——。
初めての心からの恋人の危機的状況に、パニックになりそうなローでしたが、必死に冷静に努めました。
そして、何かに気づいたのです。それは、とても重要なことでした。
「待て。お前ら、少し黙れ。静かにしろ。」
ローの命令により、パニックになって声を荒げていた仲間達が少しずつ静かになりました。
すると、ローは、なまえの口元に耳を近づけました。
やはり、です。
彼女から微かに息が聞こえるのです。
それはまるで、寝息のように静かな息遣いでした。
「…寝てる、たぶん。」
ローは、自分で言っておきながら、確信できる自信はないようでした。
だって、なまえは機械です。
出逢って間もないころ、自分は寝ないのだと言っていました。
今までも、ローと同じベッドには入るなまえですが、恋人の隣で横になるだけで、彼女はずっと起きていました。
でも、今、彼女の状況を説明するのならば〝寝てる〟というのが正しい気がするのです。
「え?寝てるの?」
「でも、なまえは寝ないんじゃなかったんすか?」
「機械も寝るの?」
「いや、寝ないだろ。」
「じゃあ、なまえは…何してるの?」
「寝てるんだろ?」
「機械なのに?」
「じゃあ、機械じゃねぇんだろ。」
「いや、機械だろ。」
どういうことなのか————。
ベポ達は、互いの顔を見渡しながら首を傾げます。
とりあえず、なまえのことはローが船長室へ連れて行くことにしました。
ベッドで寝かせて、様子を見ることになったのです。
なまえを横抱きに抱えて船内に入っていくローの背中を見送るベポ達の瞳には、心配と不安、そして、隠しきれない期待が交錯していました。
一体、なまえの身に何が起こっているのでしょうか。
自分自身に起こっていることを、彼女は自分で理解しているのか。
なまえが眠っていて起きる様子のない今、少なくともここに、その答えを持つものはいません。
でも、彼女の変化は、今後のハートの海賊団の航海に大きく関わる、とても大きな転機だったのです。
彼の腕の中には、なまえが横抱きに抱えられています。
四肢をだらりとぶら下げる彼女は、瞼を固く閉じ、ベポや、彼の悲鳴を聞きつけて集まってきた仲間達がいくら声をかけても、まったく反応しません。
「何があった!?」
甲板への扉を蹴り飛ばすように開けて、ローが駆け寄ってきました。
船長室で仕事をしていたローを、事態を知ったイッカク呼びに行っていたようです。
「キャプテン!!なまえが…っ。」
そこから先が、ベポにはどうしても言えませんでした。
何が起こっているのか、悲鳴を上げて泣いている彼は、感じ取っていました。
本当は、分かっていたのです。
でも、それ以上を言ってしまえば、それが現実になってしまいそうで、恐ろし過ぎました。
自分が言っても、言わなくても、なまえが力なく目を閉じていることに、変りはないのに———。
「なまえ!」
ローが、ベポから乱暴になまえを奪うように抱き上げます。
なまえは、ローの腕の中に横抱きに抱えられても、何の反応もありませんでした。
今朝、ローと共に「おはよう」とキスをして、部屋を出ていく時までは元気だったのです。
ローの仕事が終わったら、甲板に出て日向ぼっこをしよう、と楽しそうに言っていました。
それがどうして———。
機械で、半永久的に命が続くはずのなまえが、まるで死んでいるように———。
一体、機械の彼女に何が起こったのか——。
初めての心からの恋人の危機的状況に、パニックになりそうなローでしたが、必死に冷静に努めました。
そして、何かに気づいたのです。それは、とても重要なことでした。
「待て。お前ら、少し黙れ。静かにしろ。」
ローの命令により、パニックになって声を荒げていた仲間達が少しずつ静かになりました。
すると、ローは、なまえの口元に耳を近づけました。
やはり、です。
彼女から微かに息が聞こえるのです。
それはまるで、寝息のように静かな息遣いでした。
「…寝てる、たぶん。」
ローは、自分で言っておきながら、確信できる自信はないようでした。
だって、なまえは機械です。
出逢って間もないころ、自分は寝ないのだと言っていました。
今までも、ローと同じベッドには入るなまえですが、恋人の隣で横になるだけで、彼女はずっと起きていました。
でも、今、彼女の状況を説明するのならば〝寝てる〟というのが正しい気がするのです。
「え?寝てるの?」
「でも、なまえは寝ないんじゃなかったんすか?」
「機械も寝るの?」
「いや、寝ないだろ。」
「じゃあ、なまえは…何してるの?」
「寝てるんだろ?」
「機械なのに?」
「じゃあ、機械じゃねぇんだろ。」
「いや、機械だろ。」
どういうことなのか————。
ベポ達は、互いの顔を見渡しながら首を傾げます。
とりあえず、なまえのことはローが船長室へ連れて行くことにしました。
ベッドで寝かせて、様子を見ることになったのです。
なまえを横抱きに抱えて船内に入っていくローの背中を見送るベポ達の瞳には、心配と不安、そして、隠しきれない期待が交錯していました。
一体、なまえの身に何が起こっているのでしょうか。
自分自身に起こっていることを、彼女は自分で理解しているのか。
なまえが眠っていて起きる様子のない今、少なくともここに、その答えを持つものはいません。
でも、彼女の変化は、今後のハートの海賊団の航海に大きく関わる、とても大きな転機だったのです。