◇No.52◇漸く結ばれた恋を祝う宴です
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甲板には、酒を浴びるように飲んだ船員達が幾つも転がっていました。
みんな、揃いも揃って、無防備に頬を緩めて、ひどく幸せそうな寝顔をしています。
きっと、今夜のお酒は、とても美味しかったのでしょう。
だって、腰に抱き着くなまえと星を見上げて喋っているローも、お酒が止まらない様子です。
「あの星はベポの笑った顔に似てます。」
「その隣は?」
「その隣は、ベポの寝相に似てます。」
「その上は?」
「その上は、ベポの耳に似てます。」
「全部、ベポじゃねーか。」
「ローの星を探しましょう。私は、ローの星が見つけたいです。」
「なら俺は、お前に似た星を見つけてやる。
どっちが先に見つけるか勝負だ。」
「私が勝ちます。」
「さぁ、どうだろうな。」
ニヤリと口の端を上げて、酒を口に運ぶローは、誰がどう見てもご機嫌です。
ローが女性と一緒にいるところなら、何度でも見たことのあるペンギン達でしたが、こんなに楽しそうにしているのは初めてです。
本当に、ローにとって、なまえは愛おしい恋人なのでしょう。
恋人と戯れている船長を見るなんて、船員の誰も想像もしていませんでした。
恐らく、ローは、少しのお酒となまえに酔っていて気づいていないのでしょうが、見ているこっちが恥ずかしくなるほどに、彼は緩んだ顔をしていました。
「なぁ、キャプテン。」
イッカクが声をかけると、なまえにそっくりな星を探していたローが、視線を下げました。
「なんだ、早く言え。コイツより先に星を見つけねぇと———。」
「なまえは、アタシの初めての友達なんだ。」
「…あぁ、そうだな。なまえにとっても、お前は初めての親友だ。」
「うん。だから、大事なんだ。なまえが傷つくのは、もう見たくねぇ。」
「分かってる。」
「だからさ、もう二度と、泣かせないで欲しいんだ。
———大事に、してやって欲しい。」
「あぁ、約束する。」
「そっか、ならよかった。」
イッカクは、眉尻を下げて少しだけ微笑みました。
まだ、その表情には不安は残っているようでした。
船員として長く一緒に過ごしてきた中で、ローが女性をどのように扱っていたかをそばで見ていたからでしょう。
今、目の前にいるローは、他の女性とは違うようになまえを想っているように見えても、不安は消えないのです。
それに———。
「そうっすよ。昨日の夜も、キャプテンが他の女を部屋に連れ込んでるから、
なまえ、泣いてたんすからね!」
絡み酒になっていたシャチが、ローを責めだしました。
「なまえが?」
訝し気に、ローが眉を顰めます。
「雨ですよ。雨がちょうど頬を流れて泣いてるみたいに見えたんです。」
ペンギンが、シャチの言葉を補足してくれて、ローはやっとそういうことかと納得します。
「見つけました。ローにそっくりな星がありました。
命令をするのは、私です。」
なまえが自慢気に言います。
「どれだ?俺が認めねぇとダメだからな。」
「あの一番光ってる星です。ローは、この世界で一番輝いています。
だから、あの星の輝きは、ローの輝きには敵いませんが、仕方ありません。
星の中では、あれが一番、ローに近いです。」
「違ぇな、あれはお前だ。」
「どうしてですか?」
「同じ理由で。」
「私の真似ですか。」
「違ぇ、真似したのはお前の方だ。
最初から俺がそう言うつもりだった。」
「でも先に言ったのは、私です。」
一番星に似ているのはどちらなのか、ローもなまえ、どちらも互いの意見を譲りません。
どうやら、大好きな恋人に似ている星を先に見つけた方が、相手に好きな命令を出来るというゲームをしているようです。
起きている船員達は、どう見てもバカップルのそれを酒の肴にして、可笑しそうにクスクスと笑いながら、美味しそうに酒を飲みます。
(雨、ねぇ…。)
イッカクは、心の中で、ポツリと呟きます。
昨夜、確かに、小雨が降りました。
それに気がついたのは、なまえの頬が濡れていて、ベポが、彼女が泣き出したと騒いだからです。
でも———。
彼女の頬に流れていたあれは本当に、雨だったのでしょうか。
あの後、またオイル漏れかもしれないと心配したイッカクは、船大工達になまえの目元を調べさせましたが、何の異常も見つかりませんでした。
ですから、ペンギン達は、あれは雨だったのだと思っているのです。
でも、イッカクは、信じていませんでした。
だって、昨夜、イッカクは、見てしまったのです。
なまえの目頭から、涙のような水分が溢れて、零れて落ちていくのを————。
あれは、悲しそうななまえの表情が見せた幻だったのでしょうか。
それとも———。
いいえ、まさか。
ロボットが泣くわけがありません。
では、あれは何だったのでしょうか。
イッカクは、なまえへと視線を向けました。
彼女は、大好きなローの隣で、どれほどローが輝いて見えているのかを淡々と語っています。
昨日、寂しそうに独りぼっちで星を見ていたなまえは、もうそこにはいませんでした。
みんな、揃いも揃って、無防備に頬を緩めて、ひどく幸せそうな寝顔をしています。
きっと、今夜のお酒は、とても美味しかったのでしょう。
だって、腰に抱き着くなまえと星を見上げて喋っているローも、お酒が止まらない様子です。
「あの星はベポの笑った顔に似てます。」
「その隣は?」
「その隣は、ベポの寝相に似てます。」
「その上は?」
「その上は、ベポの耳に似てます。」
「全部、ベポじゃねーか。」
「ローの星を探しましょう。私は、ローの星が見つけたいです。」
「なら俺は、お前に似た星を見つけてやる。
どっちが先に見つけるか勝負だ。」
「私が勝ちます。」
「さぁ、どうだろうな。」
ニヤリと口の端を上げて、酒を口に運ぶローは、誰がどう見てもご機嫌です。
ローが女性と一緒にいるところなら、何度でも見たことのあるペンギン達でしたが、こんなに楽しそうにしているのは初めてです。
本当に、ローにとって、なまえは愛おしい恋人なのでしょう。
恋人と戯れている船長を見るなんて、船員の誰も想像もしていませんでした。
恐らく、ローは、少しのお酒となまえに酔っていて気づいていないのでしょうが、見ているこっちが恥ずかしくなるほどに、彼は緩んだ顔をしていました。
「なぁ、キャプテン。」
イッカクが声をかけると、なまえにそっくりな星を探していたローが、視線を下げました。
「なんだ、早く言え。コイツより先に星を見つけねぇと———。」
「なまえは、アタシの初めての友達なんだ。」
「…あぁ、そうだな。なまえにとっても、お前は初めての親友だ。」
「うん。だから、大事なんだ。なまえが傷つくのは、もう見たくねぇ。」
「分かってる。」
「だからさ、もう二度と、泣かせないで欲しいんだ。
———大事に、してやって欲しい。」
「あぁ、約束する。」
「そっか、ならよかった。」
イッカクは、眉尻を下げて少しだけ微笑みました。
まだ、その表情には不安は残っているようでした。
船員として長く一緒に過ごしてきた中で、ローが女性をどのように扱っていたかをそばで見ていたからでしょう。
今、目の前にいるローは、他の女性とは違うようになまえを想っているように見えても、不安は消えないのです。
それに———。
「そうっすよ。昨日の夜も、キャプテンが他の女を部屋に連れ込んでるから、
なまえ、泣いてたんすからね!」
絡み酒になっていたシャチが、ローを責めだしました。
「なまえが?」
訝し気に、ローが眉を顰めます。
「雨ですよ。雨がちょうど頬を流れて泣いてるみたいに見えたんです。」
ペンギンが、シャチの言葉を補足してくれて、ローはやっとそういうことかと納得します。
「見つけました。ローにそっくりな星がありました。
命令をするのは、私です。」
なまえが自慢気に言います。
「どれだ?俺が認めねぇとダメだからな。」
「あの一番光ってる星です。ローは、この世界で一番輝いています。
だから、あの星の輝きは、ローの輝きには敵いませんが、仕方ありません。
星の中では、あれが一番、ローに近いです。」
「違ぇな、あれはお前だ。」
「どうしてですか?」
「同じ理由で。」
「私の真似ですか。」
「違ぇ、真似したのはお前の方だ。
最初から俺がそう言うつもりだった。」
「でも先に言ったのは、私です。」
一番星に似ているのはどちらなのか、ローもなまえ、どちらも互いの意見を譲りません。
どうやら、大好きな恋人に似ている星を先に見つけた方が、相手に好きな命令を出来るというゲームをしているようです。
起きている船員達は、どう見てもバカップルのそれを酒の肴にして、可笑しそうにクスクスと笑いながら、美味しそうに酒を飲みます。
(雨、ねぇ…。)
イッカクは、心の中で、ポツリと呟きます。
昨夜、確かに、小雨が降りました。
それに気がついたのは、なまえの頬が濡れていて、ベポが、彼女が泣き出したと騒いだからです。
でも———。
彼女の頬に流れていたあれは本当に、雨だったのでしょうか。
あの後、またオイル漏れかもしれないと心配したイッカクは、船大工達になまえの目元を調べさせましたが、何の異常も見つかりませんでした。
ですから、ペンギン達は、あれは雨だったのだと思っているのです。
でも、イッカクは、信じていませんでした。
だって、昨夜、イッカクは、見てしまったのです。
なまえの目頭から、涙のような水分が溢れて、零れて落ちていくのを————。
あれは、悲しそうななまえの表情が見せた幻だったのでしょうか。
それとも———。
いいえ、まさか。
ロボットが泣くわけがありません。
では、あれは何だったのでしょうか。
イッカクは、なまえへと視線を向けました。
彼女は、大好きなローの隣で、どれほどローが輝いて見えているのかを淡々と語っています。
昨日、寂しそうに独りぼっちで星を見ていたなまえは、もうそこにはいませんでした。