◇No.52◇漸く結ばれた恋を祝う宴です
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「イッカク、ありがとうございました。」
甲板中をクルクルまわり尽くして戻って来たなまえは、イッカクの隣に腰を降ろしました。
そして、礼を言うと、彼女の頬にキスを送ります。
「あたしは何もしてねぇーだろ。」
イッカクは素っ気ない風を装って言いましたが、少し照れ臭そうにして細くなった目は、とても嬉しそうでした。
「そうでしたか?」
「そうだろ。」
「でも、私はイッカクが好きです。」
なまえがそう言って、もう一度、イッカクの頬にキスをします。
「くすぐってぇからもうやめろよっ。」
「私はくすぐったくありません。」
「知るかよっ。」
少し笑いながら抵抗するイッカクと、何度でも頬にキスを送ろうとするなまえは、とても楽しそうです。
彼女達は、いつの間にか、本当の〝友人〟になっていたようです。
なまえだけではなく他の誰も、彼女のローへの恋心に気づいていないときも、イッカクだけは、彼女の気持ちを知り、そばで見守っていたのだと、ペンギン達からローも聞いていました。
そして、最終的には、イッカクがなまえに、それは恋だということを教えてやり、なまえの為に、ローの背中を多少強引でしたが、押したのです。
なまえとローが恋人同士という関係になるよりもずっと前に、なまえとイッカクは〝親友〟になっていたのでしょう。
少しだけ嫉妬をしてしまいそうなローでしたが、嬉しくもありました。
彼女の味方は、この恋の味方ということです。
なまえの親友がついていてくれれば、それ以上に心強いことはありません。
「ローは、大好きです。」
散々、イッカクの頬にキスをおくったあと、ローの隣に戻って来たなまえは、彼の腰に抱き着いて言います。
「悪い女だな。俺の目の前で他の奴に散々キスしておいて。」
調子のいいセリフと行動に、ローは苦笑を漏らし、彼女の髪をクシャリと撫でます。
「私は悪い女ですか?」
「そうかもな。」
「ローは私を嫌いになりましたか?」
「いいや、ならねぇが、他の奴にキスをするのは禁止だ。」
「私はローにしかキスはしません。」
なまえが、堂々と言います。
ですが、ローは、彼女が船員達にキスをおくっていたという話を聞いて知っています。
そのことについて言ったつもりだったローは、後で、彼女にしっかりと言い聞かせようと決めたのですが、その必要は、ないのです。
なぜなら、彼女は———。
「そうっすよ。ソイツ、俺達にもチューしてくれって言ったのに全然してくれねぇの。
ほっぺにチューとか、ガキじゃねぇんだから嬉しくもなんともねーんだよ。」
口を尖らせたシャチをベポとペンギンがからかいます。
すると、そのときのことを思い出しでもしたのか、イッカクが腹を抱えて笑い出しました。
「そうそう、口にするキスは愛だから、キャプテンにしかしねぇんだって
シャチの奴、めっちゃフラれてやがんの。
それでもコイツら、なまえがキャプテンに惚れてるって気づきもしねぇで、笑えたわぁ~。」
イッカクに馬鹿にされた男達は、まさかなまえが恋をするなんて誰が思うのだと必死に言い返しだします。
確かにその通りです。
そんな彼らも、なまえが、毎晩のようにローをバーに誘っては、悲しそうに部屋に戻る姿を見るようになって、彼女の気持ちに気がつきました。
でも、それまでは、ただ慕っているだけだと思っていたのです。
「ローが、キスは愛の行為だと言いました。
私の愛はローです。シャチにはしません。したくありません。」
「うるせーな!!告ってもねぇのに、何度も振るんじゃねぇよ!!」
シャチが悔しそうに喚くから、他の船員達からどっと笑いが上がりました。
(口にしてたわけじゃなかったのか…。)
漸く、なまえが船員達におくっていたというキスの真相をローも知ることが出来ました。
ローが、愛の行為だと教えてやっていたそれを、なまえは、彼女なりに理解していたのです。
そのときから自分だけが特別だったと知ったローは、無意識に口元が緩みます。
それに目ざとく気がついたペンギンが、彼に気づかれないように、ククッと喉を鳴らして笑いました。
甲板中をクルクルまわり尽くして戻って来たなまえは、イッカクの隣に腰を降ろしました。
そして、礼を言うと、彼女の頬にキスを送ります。
「あたしは何もしてねぇーだろ。」
イッカクは素っ気ない風を装って言いましたが、少し照れ臭そうにして細くなった目は、とても嬉しそうでした。
「そうでしたか?」
「そうだろ。」
「でも、私はイッカクが好きです。」
なまえがそう言って、もう一度、イッカクの頬にキスをします。
「くすぐってぇからもうやめろよっ。」
「私はくすぐったくありません。」
「知るかよっ。」
少し笑いながら抵抗するイッカクと、何度でも頬にキスを送ろうとするなまえは、とても楽しそうです。
彼女達は、いつの間にか、本当の〝友人〟になっていたようです。
なまえだけではなく他の誰も、彼女のローへの恋心に気づいていないときも、イッカクだけは、彼女の気持ちを知り、そばで見守っていたのだと、ペンギン達からローも聞いていました。
そして、最終的には、イッカクがなまえに、それは恋だということを教えてやり、なまえの為に、ローの背中を多少強引でしたが、押したのです。
なまえとローが恋人同士という関係になるよりもずっと前に、なまえとイッカクは〝親友〟になっていたのでしょう。
少しだけ嫉妬をしてしまいそうなローでしたが、嬉しくもありました。
彼女の味方は、この恋の味方ということです。
なまえの親友がついていてくれれば、それ以上に心強いことはありません。
「ローは、大好きです。」
散々、イッカクの頬にキスをおくったあと、ローの隣に戻って来たなまえは、彼の腰に抱き着いて言います。
「悪い女だな。俺の目の前で他の奴に散々キスしておいて。」
調子のいいセリフと行動に、ローは苦笑を漏らし、彼女の髪をクシャリと撫でます。
「私は悪い女ですか?」
「そうかもな。」
「ローは私を嫌いになりましたか?」
「いいや、ならねぇが、他の奴にキスをするのは禁止だ。」
「私はローにしかキスはしません。」
なまえが、堂々と言います。
ですが、ローは、彼女が船員達にキスをおくっていたという話を聞いて知っています。
そのことについて言ったつもりだったローは、後で、彼女にしっかりと言い聞かせようと決めたのですが、その必要は、ないのです。
なぜなら、彼女は———。
「そうっすよ。ソイツ、俺達にもチューしてくれって言ったのに全然してくれねぇの。
ほっぺにチューとか、ガキじゃねぇんだから嬉しくもなんともねーんだよ。」
口を尖らせたシャチをベポとペンギンがからかいます。
すると、そのときのことを思い出しでもしたのか、イッカクが腹を抱えて笑い出しました。
「そうそう、口にするキスは愛だから、キャプテンにしかしねぇんだって
シャチの奴、めっちゃフラれてやがんの。
それでもコイツら、なまえがキャプテンに惚れてるって気づきもしねぇで、笑えたわぁ~。」
イッカクに馬鹿にされた男達は、まさかなまえが恋をするなんて誰が思うのだと必死に言い返しだします。
確かにその通りです。
そんな彼らも、なまえが、毎晩のようにローをバーに誘っては、悲しそうに部屋に戻る姿を見るようになって、彼女の気持ちに気がつきました。
でも、それまでは、ただ慕っているだけだと思っていたのです。
「ローが、キスは愛の行為だと言いました。
私の愛はローです。シャチにはしません。したくありません。」
「うるせーな!!告ってもねぇのに、何度も振るんじゃねぇよ!!」
シャチが悔しそうに喚くから、他の船員達からどっと笑いが上がりました。
(口にしてたわけじゃなかったのか…。)
漸く、なまえが船員達におくっていたというキスの真相をローも知ることが出来ました。
ローが、愛の行為だと教えてやっていたそれを、なまえは、彼女なりに理解していたのです。
そのときから自分だけが特別だったと知ったローは、無意識に口元が緩みます。
それに目ざとく気がついたペンギンが、彼に気づかれないように、ククッと喉を鳴らして笑いました。