◇No.49◇『愛して…』
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気づいたときには、ローは、なまえを腕の中に抱きしめていました。
小さく華奢な身体です。
彼女は、海賊を殺すために生まれたのかもしれません。
人間ですら、ありません。
でも、小さく華奢な身体です。
そんな身体で、彼女は精一杯に愛を知ろうとしていました。
そして、仲間を想い、出逢った人達の命を救い、恋をしました。
初めてのことに戸惑い、怯え、不安に押し潰されそうになりながらも、彼女を最も苦しめていたのは、壊れかけていく自分自身でも、焦げ付くような胸の痛みでもありませんでした。
彼女が一番戸惑い、悲しかったのは、ローの幸せを共に喜んであげられなくなったことだったのです。
ローの幸せを守ることが出来なくなることが、なによりも怖かったのです。
彼女が救おうとしたのは壊れかけている自分自身ではありませんでした。
彼女はただ、愛する人の幸せを、どんなかたちでもいいから、願いたかっただけでした。
こんなに小さな華奢な身体で、大きく深い愛を、ひとりぼっちで抱えていたなんて———。
「ロー…。」
なまえが小さく、名前を呼びました。
そして、震えながら、ローの背中に手をまわします。
「助けてください…。」
ローの背中に触れたなまえの手が、まるで縋るように、彼のシャツを握りしめました。
「胸が、焦げます…。焦げ続けて、苦しいです…。」
なまえは小さな声で零すように続けます。
「ごめん…っ。」
ローは、華奢な身体を強く抱きしめました。
苦しさで胸が握り潰されそうでした。
「ロー…っ、助けて…っ。」
なまえの身体が震えました。
そして、堰を切ったように出て来たのが、漸く、自分の為の救いを求める悲鳴でした。
「愛が…っ、私の身を滅ぼそうとします…っ。
怖い…っ、私は…!ローと、一緒にいたい…っ。
壊れたくない…っ、廃棄しないで…っ。私を…っ、捨てないで…っ。」
なまえの悲鳴のような叫びは、波音に紛れて揺れて震えていました。
こんなにも感情を露わにするような彼女の言葉を聞くのは、初めてでした。
それは、それほど彼女が追い詰められている証拠でした。
ローは、自分が、どれほど彼女を傷つけ、恐怖に陥れていたのかを、思い知りました。
海軍施設で、物として扱われていた彼女は、壊れていく自分を認識したとき、仲間に物として捨てられる未来しか予想出来なかったなんて———。
捨てられてしまわないように、ハートを壊そうとしていたなんて———。
自分は本当に、彼女のことを何も理解していなかったのだと、悔しさと申し訳なさと、罪の意識で、ローは、声も出さないほどの息苦しさに襲われていました。
それでも、ローは、彼女に伝えなければなりません。
伝わるまで、伝え続けなければならないのです。
どれほど彼女を———。
「愛してる!愛してる…!」
なまえを必死に掻き抱くようにして包み込んだローは、それだけを、そればかりを、何度も何度も繰り返しました。
そのとき、それこそが、彼女に伝えるべき言葉でした。
なまえは、ローの背中にしがみつきました。
縋るように抱き着きました。
そんな彼女に、ローは何度だって伝えます。
「愛してる…!」
彼女の生まれたばかりのハートに沁み込め————。
そして、彼女を救ってくれ————。
そう、願いながら————。
小さく華奢な身体です。
彼女は、海賊を殺すために生まれたのかもしれません。
人間ですら、ありません。
でも、小さく華奢な身体です。
そんな身体で、彼女は精一杯に愛を知ろうとしていました。
そして、仲間を想い、出逢った人達の命を救い、恋をしました。
初めてのことに戸惑い、怯え、不安に押し潰されそうになりながらも、彼女を最も苦しめていたのは、壊れかけていく自分自身でも、焦げ付くような胸の痛みでもありませんでした。
彼女が一番戸惑い、悲しかったのは、ローの幸せを共に喜んであげられなくなったことだったのです。
ローの幸せを守ることが出来なくなることが、なによりも怖かったのです。
彼女が救おうとしたのは壊れかけている自分自身ではありませんでした。
彼女はただ、愛する人の幸せを、どんなかたちでもいいから、願いたかっただけでした。
こんなに小さな華奢な身体で、大きく深い愛を、ひとりぼっちで抱えていたなんて———。
「ロー…。」
なまえが小さく、名前を呼びました。
そして、震えながら、ローの背中に手をまわします。
「助けてください…。」
ローの背中に触れたなまえの手が、まるで縋るように、彼のシャツを握りしめました。
「胸が、焦げます…。焦げ続けて、苦しいです…。」
なまえは小さな声で零すように続けます。
「ごめん…っ。」
ローは、華奢な身体を強く抱きしめました。
苦しさで胸が握り潰されそうでした。
「ロー…っ、助けて…っ。」
なまえの身体が震えました。
そして、堰を切ったように出て来たのが、漸く、自分の為の救いを求める悲鳴でした。
「愛が…っ、私の身を滅ぼそうとします…っ。
怖い…っ、私は…!ローと、一緒にいたい…っ。
壊れたくない…っ、廃棄しないで…っ。私を…っ、捨てないで…っ。」
なまえの悲鳴のような叫びは、波音に紛れて揺れて震えていました。
こんなにも感情を露わにするような彼女の言葉を聞くのは、初めてでした。
それは、それほど彼女が追い詰められている証拠でした。
ローは、自分が、どれほど彼女を傷つけ、恐怖に陥れていたのかを、思い知りました。
海軍施設で、物として扱われていた彼女は、壊れていく自分を認識したとき、仲間に物として捨てられる未来しか予想出来なかったなんて———。
捨てられてしまわないように、ハートを壊そうとしていたなんて———。
自分は本当に、彼女のことを何も理解していなかったのだと、悔しさと申し訳なさと、罪の意識で、ローは、声も出さないほどの息苦しさに襲われていました。
それでも、ローは、彼女に伝えなければなりません。
伝わるまで、伝え続けなければならないのです。
どれほど彼女を———。
「愛してる!愛してる…!」
なまえを必死に掻き抱くようにして包み込んだローは、それだけを、そればかりを、何度も何度も繰り返しました。
そのとき、それこそが、彼女に伝えるべき言葉でした。
なまえは、ローの背中にしがみつきました。
縋るように抱き着きました。
そんな彼女に、ローは何度だって伝えます。
「愛してる…!」
彼女の生まれたばかりのハートに沁み込め————。
そして、彼女を救ってくれ————。
そう、願いながら————。