クリスマスに欲しいのはあなただけだとサンタにねだる定番のクリスマスソングが流れ始めた。
俺は、この腕の中に、一番欲しかった愛を抱きしめていた。

「帰るか。」

少し身体を離し、名前の涙を拭った。
照れ臭そうにしながらも、名前が嬉しそうに頷いた。
手を繋ごうとすると、名前が俺の腕に自分の腕を絡めた。

「こっちがいいです。」

そう言って、甘えるような上目遣いの瞳に、俺は幸せを感じる。
身体が触れたところから、一気に心まで温かくなるから不思議だ。

「あ…、雨が、雪に変わりましたよ。」
「あぁ、本当だな。」

賑やかな街を歩き出そうとしてすぐ、俺達は足を止めて夜空を見上げた。
さっきまで、小雨程度で、時々頬に落ちて来ていた雨は、まるで夜空で誰かが泣いているように思えた。
でも、ハラハラと舞いだした白い雪は、まるで神からの祝福のように感じた。

「ホワイトクリスマスですね。イルミネーションと重なって、すごく綺麗…。
　リヴァイさんと一緒に見られるなんて、夢みたい…。」

夜空を見上げる名前は、とても感動した様子で目を輝かせていた。
冬の澄んだ空気は、夜空の星をとても綺麗だ。
そんな星とイルミネーションが、キラキラと輝いて名前の幸せそうな横顔を照らす。
よくあるキザな台詞が口から零れそうになったくらいに、名前はとても綺麗だった。
この夜、雪の舞い落ちるイルミネーションの綺麗な街路樹の道を歩く俺達だけ、まるで春の日差しの下にいるように暖かかったのだ。