◇39ページ◇恋人のいるクリスマス・イヴ
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クリスマス・イヴ当日、約束通り定時で仕事を終わらせた俺は、ロッカールームにいた。
脱いだ白衣をハンガーにかけてロッカーに戻して、スマホを取り出す。
【今、仕事が終わった。これから帰る。
欲しいものはあるか?】
送信を押して、ロッカーからバッグを取り出した。
同じように帰る準備をしているエルド達も、クリスマスイヴに定時で帰れることが嬉しいらしく、機嫌がいい。
エルドなんて、スマホの画面を見ながら頬を緩めて、指を動かしていた。
俺の視線に気が付いたのか、エルドがこちらを向いた。
「イヴにデートが出来るなんて初めてなんです。嬉しいのは普通だと思います。」
「別に何も言ってねぇだろ。」
「言っておきますけど、リヴァイさんも俺と同じ顔をしてましたからね。」
「・・・・オルオが機嫌がいいなんて、珍しいな。」
心当たりがありすぎて、さすがに否定の言葉は出せなかった。
誤魔化しついでに、今朝から気になっていたことをグンタに振ってみた。
クリスマスが近づくと必ず機嫌が悪くなっていたオルオまで、今日は頬が緩みっぱなしだったのだ。
グンタは、少し苦笑しながら教えてくれた。
「今日はペトラとデートらしいです。」
「へぇ。アイツら、付き合ってたのか。」
俺は少し驚いてしまった。
オルオはペトラに好意があるようだったが、残念ながら実りのない片想いに見えていた。
「付き合ってません!!」
すかさず、ペトラに否定された。
俺とグンタの話が聞こえていたらしい。
「おいおい、ツンデレで俺の気を引こうって作せー。」
「そんな作戦じゃない!!」
またいつものように、幼馴染同士の痴話げんかが始まった。
本当に、仲が良いものだ。
「ペトラがずっと片想いしていた人に恋人がいたんです。
それで、今夜はペトラのやけ酒に付き合わされるらしいですよ。」
「弱っていたところにオルオがつけこんだともいいます。」
ネタバラシは、グンタとエルドが教えてくれた。
バラされたことが分かったのか、ペトラが俺達の方を向いた。
失恋真っただ中らしいペトラと目が合ってしまった。
「…あ~…、なんていうか…。元気出せ。」
「・・・・・・・はい。」
なぜかひどく悲愴な顔をして、ペトラが頷いた。
元気は出ないらしかったが、腕を掴んだオルオを引っ張ってロッカールームから出て行ったペトラの背中は、勇ましくも見えた。
そんな無駄話をしている間に、名前から返信が届いた。
【お疲れ様です。欲しいのは、リヴァイさんのただいまのチューです♡
ご馳走作って待っているので、気をつけて帰ってきてくださいね。】
甘えるようなメッセージに、無意識に頬が緩む。
ふ、と部下の視線を感じて、俺は慌てて口元を隠した。
今年のクリスマスの飾りつけをするとき
君は1人欠けているのに気づくだろうか?
リビングには、クリスマスツリーを飾った。
リヴァイさんは、あまり派手なオーナメントは好きそうではないし、スタイリッシュなリビングにはあまり似合わないから、シンプルなものにした。
キラキラと輝く白い灯りは、まるで雪のようだ。
(ホワイトクリスマスになったらいいのにな。)
窓辺に立って、夜空を見上げた。
リヴァイさんと過ごす最初で最後のクリスマス。
ホワイトクリスマスを望んだけれど、澄んだ綺麗な空には、幾千の星が輝いていたけれど、雪は降りそうにはなかった。
キッチンに戻った私は、出来上がった料理をリビングのローテーブルに並べた。
冷蔵庫の中には、リヴァイさんの好きな紅茶で作ったクリスマスケーキも用意してある。
後は、リヴァイさんが帰ってくるのを待つだけだ。
ワクワクしていると、玄関の鍵が開く音がした。
また仔犬みたいだと笑われると知っていて、その笑顔が見たい私は今夜も玄関へと走った。
「リヴァイさん、おかえりなさー。」
玄関の扉が開く前に、私が扉を開いた。
でも、そこにいたのは、待ちわびていた人ではなかった。
「あんた誰?」
私の顔を見て思いきり顔を顰めた彼女に、思い知らされた気がした。
リヴァイさんの隣にいるべきは私じゃないー。
今夜はクリスマス・イブ、誰もが幸せになるべき日だ。
魔法が解ければ消えてしまう私が、最後にリヴァイさんにできるのは、誕生日を祝うことじゃない。
サンタさんに願うべきは、永遠に解けない魔法じゃない。
リヴァイさんの幸せなのだ。
脱いだ白衣をハンガーにかけてロッカーに戻して、スマホを取り出す。
【今、仕事が終わった。これから帰る。
欲しいものはあるか?】
送信を押して、ロッカーからバッグを取り出した。
同じように帰る準備をしているエルド達も、クリスマスイヴに定時で帰れることが嬉しいらしく、機嫌がいい。
エルドなんて、スマホの画面を見ながら頬を緩めて、指を動かしていた。
俺の視線に気が付いたのか、エルドがこちらを向いた。
「イヴにデートが出来るなんて初めてなんです。嬉しいのは普通だと思います。」
「別に何も言ってねぇだろ。」
「言っておきますけど、リヴァイさんも俺と同じ顔をしてましたからね。」
「・・・・オルオが機嫌がいいなんて、珍しいな。」
心当たりがありすぎて、さすがに否定の言葉は出せなかった。
誤魔化しついでに、今朝から気になっていたことをグンタに振ってみた。
クリスマスが近づくと必ず機嫌が悪くなっていたオルオまで、今日は頬が緩みっぱなしだったのだ。
グンタは、少し苦笑しながら教えてくれた。
「今日はペトラとデートらしいです。」
「へぇ。アイツら、付き合ってたのか。」
俺は少し驚いてしまった。
オルオはペトラに好意があるようだったが、残念ながら実りのない片想いに見えていた。
「付き合ってません!!」
すかさず、ペトラに否定された。
俺とグンタの話が聞こえていたらしい。
「おいおい、ツンデレで俺の気を引こうって作せー。」
「そんな作戦じゃない!!」
またいつものように、幼馴染同士の痴話げんかが始まった。
本当に、仲が良いものだ。
「ペトラがずっと片想いしていた人に恋人がいたんです。
それで、今夜はペトラのやけ酒に付き合わされるらしいですよ。」
「弱っていたところにオルオがつけこんだともいいます。」
ネタバラシは、グンタとエルドが教えてくれた。
バラされたことが分かったのか、ペトラが俺達の方を向いた。
失恋真っただ中らしいペトラと目が合ってしまった。
「…あ~…、なんていうか…。元気出せ。」
「・・・・・・・はい。」
なぜかひどく悲愴な顔をして、ペトラが頷いた。
元気は出ないらしかったが、腕を掴んだオルオを引っ張ってロッカールームから出て行ったペトラの背中は、勇ましくも見えた。
そんな無駄話をしている間に、名前から返信が届いた。
【お疲れ様です。欲しいのは、リヴァイさんのただいまのチューです♡
ご馳走作って待っているので、気をつけて帰ってきてくださいね。】
甘えるようなメッセージに、無意識に頬が緩む。
ふ、と部下の視線を感じて、俺は慌てて口元を隠した。
今年のクリスマスの飾りつけをするとき
君は1人欠けているのに気づくだろうか?
リビングには、クリスマスツリーを飾った。
リヴァイさんは、あまり派手なオーナメントは好きそうではないし、スタイリッシュなリビングにはあまり似合わないから、シンプルなものにした。
キラキラと輝く白い灯りは、まるで雪のようだ。
(ホワイトクリスマスになったらいいのにな。)
窓辺に立って、夜空を見上げた。
リヴァイさんと過ごす最初で最後のクリスマス。
ホワイトクリスマスを望んだけれど、澄んだ綺麗な空には、幾千の星が輝いていたけれど、雪は降りそうにはなかった。
キッチンに戻った私は、出来上がった料理をリビングのローテーブルに並べた。
冷蔵庫の中には、リヴァイさんの好きな紅茶で作ったクリスマスケーキも用意してある。
後は、リヴァイさんが帰ってくるのを待つだけだ。
ワクワクしていると、玄関の鍵が開く音がした。
また仔犬みたいだと笑われると知っていて、その笑顔が見たい私は今夜も玄関へと走った。
「リヴァイさん、おかえりなさー。」
玄関の扉が開く前に、私が扉を開いた。
でも、そこにいたのは、待ちわびていた人ではなかった。
「あんた誰?」
私の顔を見て思いきり顔を顰めた彼女に、思い知らされた気がした。
リヴァイさんの隣にいるべきは私じゃないー。
今夜はクリスマス・イブ、誰もが幸せになるべき日だ。
魔法が解ければ消えてしまう私が、最後にリヴァイさんにできるのは、誕生日を祝うことじゃない。
サンタさんに願うべきは、永遠に解けない魔法じゃない。
リヴァイさんの幸せなのだ。