◇35ページ◇嫉妬≦好き
Name change
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纏わりついてくるバルト親子は適当に追い払って、すぐに名前を追いかけた。
でも、パーティー会場のどこにも名前の姿は見つからなかった。
食べに行くと言っていたカレーのテーブルで見つけたのは、「辛ぇえええええええ!たぎるぜ!!」と興奮しているハンジと「落ち着いてください!」と騒いでいるモブリットだけだった。
そのそばでは、見て見ぬフリをして、黙々と料理を口に運んでいるケイジ達もいた。
恥ずかしいから、見つかる前に、他人のフリをしてその場から離れた俺は、パーティー会場にはもう名前はいないと判断して、ホールを出た。
ホテルのホールを貸し切ってのパーティーのおかげで、会場を出ても暇つぶしに行くような場所は幾らでも思い当たった。
電話もしてみたが出なかったから、仕方なくどこにいるのかとLINEを送ったが既読にすらならなかった。
「クソ…ッ。」
無意識に舌打ちが出た。
とりあえず、俺は会場を出てすぐ奥にあるバルコニーへ出てみた。
それほど広くないバルコニーが、ホテルの壁に沿って幾つも出っ張っていた。
見渡してみたが、目に見える範囲内のバルコニーには名前の姿は見つけられなかった。
(どこ行きやがったんだ…!)
名前はガキの頃からすぐに変な男に絡まれる、と言っていたエレンの言葉を思い出した。
そうではなくても、あんなに綺麗な着飾った名前を1人にしたくなんかなかった。
そもそも、自分の恋人が他の女と結婚を前提に付き合うなんて言われているのに、どうしてあんな風に笑って立ち去れるのか、理解が出来ない。
でも、パーティー会場からもいなくなったということは、他の女にあんなことを言わせた俺のことを少なからず怒っているということだろうか。
あの笑顔は、怒りの裏返しだったのかもしれない。
「リヴァイさん、見つけたわ。」
後ろから嫌にねっとりとした女の声がして振り返ると、ゆっくりと長い黒髪をかき上げるナナと目が合った。
どうして名前は見つからないのに、この女に見つかってしまうのか。
自分の運の悪さを呪った。
「今は、というか一生忙しい。お前の相手をしている暇はねぇから
他を当たってくれ。」
「もう、未来の婚約者に向かってそんな意地悪なこと言わないで。」
バルコニーから出ようとしていた俺の腕を掴んだナナが、上目遣いで甘えたように真っ赤に塗りたくった唇を尖らせた。
同じことを名前がしたのなら愛おしく思うだろうか。
ふ、とそんなことを思ったが、名前はそもそもこんな下品な顔はしない。
上目遣いも、少し不貞腐れて尖った口も、どれも自然で無垢で、だから可愛らしいのだ。守りたくなるのだ。
「人違いだ。俺はお前の未来の婚約者になる予定はねぇ。」
「あら、未来は誰にも分からないものよ?
まずは、身体の相性を確かめてから、考えてみるのもいいんじゃない?」
ナナはそう言うと、強引に俺の腰自分の両腕を回してきた。
そして、自分の唇を俺の唇に押しつけて来た。
ねっとりとした口紅の感触と化粧の味が気持ちが悪くて、吐き気がした。
肩を押して乱暴に突き放した俺は、すぐに唇を手の甲で拭って、勝手なことをしたナナを睨みつけた。
だが、なぜかナナは勝ち誇ったような笑みを浮かべて俺を見ていた。
いや、俺の肩越しに後ろを見て、意地悪く口の端を上げていた。
ハッとして、俺はすぐに後ろを振り向いた。
隣のバルコニーに、驚いた顔で俺を見ている名前と目が合った。
やられたー。
強引なキスの理由を悟ったが、もう遅い。
「あ…、邪魔しちゃって、ごめんなさい。
奥のバーコーナーでお酒呑んでたら熱くなっちゃって、
風に当たりに来たんです。」
名前は、俺が他の女とキスをしていたことについて、何も言わなかった。
むしろ、まるで、邪魔をしてしまった自分が悪いと思っている様子で言い訳をした。
確かにパーティー会場の奥にバーコーナーがあったが、酒を飲んでいるとは思わなくて、チラリとしか見なかった。
そこまでしっかりと探していなかったことを悔やんだ。
「あら、そうだったの。こちらこそ、驚かせちゃってごめんなさいね。
あなたのお兄さん、とても情熱的みたいで。」
「いえ、どうぞ、続けてください。
私はあっちのバルコニーで涼みますので。」
「そう?気を遣ってくれてありがとうね。」
名前は軽く会釈をして、バルコニーを出て行こうとした。
「名前!」
名前を呼ぶと名前が、俺を見た。
「あ、そうだ。今日は、このままこのホテルに泊まりますね。」
「何言ってやがる。」
「さっき、部屋が空いてることも確認したので、大丈夫ですよ。
今夜は彼女さんと楽しんでください。」
名前が笑顔を見せた。
屈託のない無邪気な笑顔は、いつもの彼女のそれと全く同じに見えた。
でも、パーティー会場のどこにも名前の姿は見つからなかった。
食べに行くと言っていたカレーのテーブルで見つけたのは、「辛ぇえええええええ!たぎるぜ!!」と興奮しているハンジと「落ち着いてください!」と騒いでいるモブリットだけだった。
そのそばでは、見て見ぬフリをして、黙々と料理を口に運んでいるケイジ達もいた。
恥ずかしいから、見つかる前に、他人のフリをしてその場から離れた俺は、パーティー会場にはもう名前はいないと判断して、ホールを出た。
ホテルのホールを貸し切ってのパーティーのおかげで、会場を出ても暇つぶしに行くような場所は幾らでも思い当たった。
電話もしてみたが出なかったから、仕方なくどこにいるのかとLINEを送ったが既読にすらならなかった。
「クソ…ッ。」
無意識に舌打ちが出た。
とりあえず、俺は会場を出てすぐ奥にあるバルコニーへ出てみた。
それほど広くないバルコニーが、ホテルの壁に沿って幾つも出っ張っていた。
見渡してみたが、目に見える範囲内のバルコニーには名前の姿は見つけられなかった。
(どこ行きやがったんだ…!)
名前はガキの頃からすぐに変な男に絡まれる、と言っていたエレンの言葉を思い出した。
そうではなくても、あんなに綺麗な着飾った名前を1人にしたくなんかなかった。
そもそも、自分の恋人が他の女と結婚を前提に付き合うなんて言われているのに、どうしてあんな風に笑って立ち去れるのか、理解が出来ない。
でも、パーティー会場からもいなくなったということは、他の女にあんなことを言わせた俺のことを少なからず怒っているということだろうか。
あの笑顔は、怒りの裏返しだったのかもしれない。
「リヴァイさん、見つけたわ。」
後ろから嫌にねっとりとした女の声がして振り返ると、ゆっくりと長い黒髪をかき上げるナナと目が合った。
どうして名前は見つからないのに、この女に見つかってしまうのか。
自分の運の悪さを呪った。
「今は、というか一生忙しい。お前の相手をしている暇はねぇから
他を当たってくれ。」
「もう、未来の婚約者に向かってそんな意地悪なこと言わないで。」
バルコニーから出ようとしていた俺の腕を掴んだナナが、上目遣いで甘えたように真っ赤に塗りたくった唇を尖らせた。
同じことを名前がしたのなら愛おしく思うだろうか。
ふ、とそんなことを思ったが、名前はそもそもこんな下品な顔はしない。
上目遣いも、少し不貞腐れて尖った口も、どれも自然で無垢で、だから可愛らしいのだ。守りたくなるのだ。
「人違いだ。俺はお前の未来の婚約者になる予定はねぇ。」
「あら、未来は誰にも分からないものよ?
まずは、身体の相性を確かめてから、考えてみるのもいいんじゃない?」
ナナはそう言うと、強引に俺の腰自分の両腕を回してきた。
そして、自分の唇を俺の唇に押しつけて来た。
ねっとりとした口紅の感触と化粧の味が気持ちが悪くて、吐き気がした。
肩を押して乱暴に突き放した俺は、すぐに唇を手の甲で拭って、勝手なことをしたナナを睨みつけた。
だが、なぜかナナは勝ち誇ったような笑みを浮かべて俺を見ていた。
いや、俺の肩越しに後ろを見て、意地悪く口の端を上げていた。
ハッとして、俺はすぐに後ろを振り向いた。
隣のバルコニーに、驚いた顔で俺を見ている名前と目が合った。
やられたー。
強引なキスの理由を悟ったが、もう遅い。
「あ…、邪魔しちゃって、ごめんなさい。
奥のバーコーナーでお酒呑んでたら熱くなっちゃって、
風に当たりに来たんです。」
名前は、俺が他の女とキスをしていたことについて、何も言わなかった。
むしろ、まるで、邪魔をしてしまった自分が悪いと思っている様子で言い訳をした。
確かにパーティー会場の奥にバーコーナーがあったが、酒を飲んでいるとは思わなくて、チラリとしか見なかった。
そこまでしっかりと探していなかったことを悔やんだ。
「あら、そうだったの。こちらこそ、驚かせちゃってごめんなさいね。
あなたのお兄さん、とても情熱的みたいで。」
「いえ、どうぞ、続けてください。
私はあっちのバルコニーで涼みますので。」
「そう?気を遣ってくれてありがとうね。」
名前は軽く会釈をして、バルコニーを出て行こうとした。
「名前!」
名前を呼ぶと名前が、俺を見た。
「あ、そうだ。今日は、このままこのホテルに泊まりますね。」
「何言ってやがる。」
「さっき、部屋が空いてることも確認したので、大丈夫ですよ。
今夜は彼女さんと楽しんでください。」
名前が笑顔を見せた。
屈託のない無邪気な笑顔は、いつもの彼女のそれと全く同じに見えた。