◇34ページ◇パーティーの花
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
パーティー当日、思いがけず抜けられない仕事が出来た俺は残業になってしまった。
名前に連絡をすると準備は終わっているというので、仕事が終わるまで待ってるとは言ってくれたが、せっかくなら美味しいものでも食べて楽しんでいてほしくて、ハンジ達と合流して先に会場に入ってもらうことにした。
俺やエルド達が漸く会場入りしたのは、パーティーが始まって1時間程が経った頃だった。
取引先や付き合いのある医者や政治家との挨拶はエルド達に任せて、俺は広いパーティー会場の中で名前の姿を探した。
名前は、今日の日のためにドレスを買ったと言っていた。
当日のお楽しみだと言って、何色かさえ教えてはくれなかったが、気合を入れてお洒落をする気であることは明らかだった。
だから、俺は、早く名前を見つけたかった。
ファーランとの映画デートでお洒落をしたときも、すれ違う男達が名前を目で追っていたのだ。
そんな名前がドレスを着て、気合を入れて綺麗に着飾っていたら、パーティー会場の男全員の視線を釘付けにしてしまう。
心底、名前に惚れてしまっていた俺は、冗談でも大袈裟でもなく、本気でそう信じていた。
「リヴァイさん、あれ。」
ペトラが俺の方に駆け寄ってくると、少し離れた壁際の方を指さした。
そこにいたのは、スーツを少しだらしなく着崩した若い男だった。
長い黒髪を後ろにひとつで結んではいるが、生え際からは幾つかの後れ毛を流していた。
俺にはよく分からないが、若者らしい無造作ヘアというやつなのだろう。
その若い男は、所謂、壁ドンという格好で自分と壁の間に名前を挟めていた。
当日まで内緒だと言っていたドレスは、透き通るような綺麗な水色の膝丈ドレスだった。
でも、若い男が邪魔で、よく見えない。
このパーティー会場で今、綺麗に着飾った名前の姿を見られているのは、あの若い男だけだった。
身長差があるせいで、長身の若い男は少し身体を屈めて名前を見下ろしていた。
名前はケーキを食べているところのようで、皿とフォークをそれぞれ持って、自分を見下ろす若い男を見上げて話をしている様子だ。
「あれ、名前ちゃんと一緒にいるのイェーガー先生のご子息ですよね?」
「イェーガーってあのシガンシナで一番デカい病院の院長か。」
聞き覚えのある名前に、俺は記憶を手繰り寄せた。
ウォール都からは少し離れているが、ベッドタウンとして人気のシガンシナで、有名な病院がある。
それが、イェーガー病院だ。
グリシャ・イェーガーが開業したそれは、今やシガンシナで一番の病院で、世界中から彼に診てもらいたいとわざわざやってくる患者もいるほどだ。
確か、イェーガー医師には1人息子がいると聞いたことがある。
「はい、雑誌の期待の二世という特集で顔を見たことがあるので、たぶんそうです。
そこでもイケメンって書かれてたけど、写真よりも生で見た方が凄いですね。
圧倒的に綺麗な顔です。お母様にソックリらしいですよ。美人なんでしょうね。」
「どうでもいい。」
「あ、すみません…。確か、パーティーには行きたがらないとイェーガー先生も言ってたんですが、
今年で医大も卒業して来年から研修医になるから、参加させたのかもしれませんね。」
「へぇ。」
ということは、名前と同じ歳か。
そんなことを思いながら、ペトラの話を聞いていると、グリシャの息子が、名前の口の端に親指を押しつけるようにして滑らせた。
ケーキのクリームがついていたらしく、拭ってやったようだった。
そして、自分の親指についた生クリームを舐めとった。
すると、その仕草を見ていたらしい若い女達が黄色い声を上げた。
「キャーッ、エロいっ!ヤバい!ヤバい!!」
若い女達の黄色い声がデカくなって、興奮しだした。
今のは『ヤバイ』らしい。
ペトラまで頬を染めている。
男の俺には分からないが、今のは『エロい』ようだ。
「あぁ~…、昔からずっと狙ってたのに。」
「美男美女過ぎてもう…。」
「嫉妬もおきない。」
「完全に目の保養。」
若い女達は、憧れのアイドルでも見るようなトロンとした瞳で名前と若い男を見ていた。
あの2人を恋人だと勘違いしているようだった。
確かに、最初にその姿を見つけたときから2人はお互いに顔を近づけて、かなりの至近距離で言葉を交わしていた。
その相手が知らない女だったのなら、俺も恋人同士だと思ったに違いない。
誰がどう見たって、男女の距離だったのだ。
「名前ちゃん、ナンパされてるんじゃないですか?
早く助けに行った方がいいかも。」
「ぶん殴ってやー。」
「それだけはやめてください。」
チッと舌打ちをして、俺は名前の元へ向かった。
こんなことになるなら、仕事が終わるまで待たせていればよかった。
やっぱり、他の男が名前を放っておくわけはないのだ。特に、若い男はすぐにコトに及ぼうとするから危険すぎる。
名前が浮気をしているという疑いは全くなかった。
俺は名前を呆れるくらい信じていたのだ。
だから、意味も分からないままで若い男の罠の中にいるのだろうくらいにしか思わなかった。
名前に連絡をすると準備は終わっているというので、仕事が終わるまで待ってるとは言ってくれたが、せっかくなら美味しいものでも食べて楽しんでいてほしくて、ハンジ達と合流して先に会場に入ってもらうことにした。
俺やエルド達が漸く会場入りしたのは、パーティーが始まって1時間程が経った頃だった。
取引先や付き合いのある医者や政治家との挨拶はエルド達に任せて、俺は広いパーティー会場の中で名前の姿を探した。
名前は、今日の日のためにドレスを買ったと言っていた。
当日のお楽しみだと言って、何色かさえ教えてはくれなかったが、気合を入れてお洒落をする気であることは明らかだった。
だから、俺は、早く名前を見つけたかった。
ファーランとの映画デートでお洒落をしたときも、すれ違う男達が名前を目で追っていたのだ。
そんな名前がドレスを着て、気合を入れて綺麗に着飾っていたら、パーティー会場の男全員の視線を釘付けにしてしまう。
心底、名前に惚れてしまっていた俺は、冗談でも大袈裟でもなく、本気でそう信じていた。
「リヴァイさん、あれ。」
ペトラが俺の方に駆け寄ってくると、少し離れた壁際の方を指さした。
そこにいたのは、スーツを少しだらしなく着崩した若い男だった。
長い黒髪を後ろにひとつで結んではいるが、生え際からは幾つかの後れ毛を流していた。
俺にはよく分からないが、若者らしい無造作ヘアというやつなのだろう。
その若い男は、所謂、壁ドンという格好で自分と壁の間に名前を挟めていた。
当日まで内緒だと言っていたドレスは、透き通るような綺麗な水色の膝丈ドレスだった。
でも、若い男が邪魔で、よく見えない。
このパーティー会場で今、綺麗に着飾った名前の姿を見られているのは、あの若い男だけだった。
身長差があるせいで、長身の若い男は少し身体を屈めて名前を見下ろしていた。
名前はケーキを食べているところのようで、皿とフォークをそれぞれ持って、自分を見下ろす若い男を見上げて話をしている様子だ。
「あれ、名前ちゃんと一緒にいるのイェーガー先生のご子息ですよね?」
「イェーガーってあのシガンシナで一番デカい病院の院長か。」
聞き覚えのある名前に、俺は記憶を手繰り寄せた。
ウォール都からは少し離れているが、ベッドタウンとして人気のシガンシナで、有名な病院がある。
それが、イェーガー病院だ。
グリシャ・イェーガーが開業したそれは、今やシガンシナで一番の病院で、世界中から彼に診てもらいたいとわざわざやってくる患者もいるほどだ。
確か、イェーガー医師には1人息子がいると聞いたことがある。
「はい、雑誌の期待の二世という特集で顔を見たことがあるので、たぶんそうです。
そこでもイケメンって書かれてたけど、写真よりも生で見た方が凄いですね。
圧倒的に綺麗な顔です。お母様にソックリらしいですよ。美人なんでしょうね。」
「どうでもいい。」
「あ、すみません…。確か、パーティーには行きたがらないとイェーガー先生も言ってたんですが、
今年で医大も卒業して来年から研修医になるから、参加させたのかもしれませんね。」
「へぇ。」
ということは、名前と同じ歳か。
そんなことを思いながら、ペトラの話を聞いていると、グリシャの息子が、名前の口の端に親指を押しつけるようにして滑らせた。
ケーキのクリームがついていたらしく、拭ってやったようだった。
そして、自分の親指についた生クリームを舐めとった。
すると、その仕草を見ていたらしい若い女達が黄色い声を上げた。
「キャーッ、エロいっ!ヤバい!ヤバい!!」
若い女達の黄色い声がデカくなって、興奮しだした。
今のは『ヤバイ』らしい。
ペトラまで頬を染めている。
男の俺には分からないが、今のは『エロい』ようだ。
「あぁ~…、昔からずっと狙ってたのに。」
「美男美女過ぎてもう…。」
「嫉妬もおきない。」
「完全に目の保養。」
若い女達は、憧れのアイドルでも見るようなトロンとした瞳で名前と若い男を見ていた。
あの2人を恋人だと勘違いしているようだった。
確かに、最初にその姿を見つけたときから2人はお互いに顔を近づけて、かなりの至近距離で言葉を交わしていた。
その相手が知らない女だったのなら、俺も恋人同士だと思ったに違いない。
誰がどう見たって、男女の距離だったのだ。
「名前ちゃん、ナンパされてるんじゃないですか?
早く助けに行った方がいいかも。」
「ぶん殴ってやー。」
「それだけはやめてください。」
チッと舌打ちをして、俺は名前の元へ向かった。
こんなことになるなら、仕事が終わるまで待たせていればよかった。
やっぱり、他の男が名前を放っておくわけはないのだ。特に、若い男はすぐにコトに及ぼうとするから危険すぎる。
名前が浮気をしているという疑いは全くなかった。
俺は名前を呆れるくらい信じていたのだ。
だから、意味も分からないままで若い男の罠の中にいるのだろうくらいにしか思わなかった。