◇28ページ◇親友
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エルディア病院の最上階にある職員専用のカフェは、お昼までまだ時間があるということもあって、チラホラと早めの食事をとっている職員がいるだけだった。
昔、研修医として働いているときによく利用していたが、食事時になるとこの広いカフェの席はすべて埋め尽くされてしまう。
カフェで働いている店員達は、息つく暇もないくらいに忙しいはずだ。
そんなときに、自分の存在に気づいてくれて、優しい言葉をかけてくれたら、惚れてしまうというのも分からなくもない。
惚れっぽいわけでもないファーランが、一目惚れしてしまったというのは、本当に心の綺麗さというのが見えたということなのかもしれない。
「こっち、こっち。」
ファーランは、俺をカフェの裏に連れて行った。
ここは初めて来た場所だった。
ルーフバルコニーになっているらしく、ちょっとした屋上のような場所だった。
テーブル席が3つほどあって、今も、数名のカフェの店員が座ってお喋りをしていた。
忙しい時間帯になれば、彼らもいなくなるだろうから、1人でゆっくりしたいときにはちょうど良さそうだった。
「あ~ぁ、今なら休憩に入ってるかなぁと思ったんだけどなぁ。」
どうやら意中の彼女はいなかったらしく、ファーランが残念そうに言った。
そのときだった。
奥にあるカフェの裏扉が開いて、真っ白い厨房服を身に纏った若い女が出て来た。
一歩出たところで立ち止まった彼女は、青い空を見上げて、両手を横に思いっきり伸ばしていた。
「あの娘だ、リヴァイ!」
「は・・・?」
興奮気味にファーランが指さした先に俺が見えていたのは、真っ白い厨房服を身に纏った名前だった。
バイト先がどこかを聞いたことはなかったが、まさかエルディア病院の職員専用カフェで働いているとは驚いた。
道理で、入院していた母の病室にマメに顔を出せていたわけだ。
深呼吸をした名前は、バイト仲間のいるテーブル席に足を向けようとして、俺とファーランに気づいた。
目を見開いて立ち止まった名前は、眉を顰めた。
ここにいるはずのない俺を見つけて驚いたというよりも、俺に見つかって狼狽えていたように見えた。
それは正しかったはずだ。
だって、名前はハッとすると、逃げるように裏扉の向こうに戻ってしまったのだからー。
「もしかして、知り合いか!?」
勘のするどいファーランが、俺の肩をガシッと握った。
俺を見る血走った瞳から、これから続く言葉は容易く想像出来た。
「紹介してくれ!!」
やっぱりー。
今、俺を見て名前が逃げたのを見ていなかったのだろうか。
それでも、昔から俺と付き合ってくれている親友の願いを断ることは出来なかった。
仕方なく、俺はズボンの後ろポケットからスマホを取り出した。
「まさか…!あの娘の連絡先知ってんのか!?抜け駆けか!!」
「ちげーよ。後で教えてやるから、黙ってろ。」
面倒くさいと思いながら、俺は名前に電話をかけた。
数コールで、名前が出た。
「どうして逃げた。」
≪だって…、厨房服が恥ずかしくて…。≫
そんなものよりもっと恥ずかしい姿を見せたくせにー。
思わず、あの日のことが脳裏に浮かんでしまって、名前にもファーランにも罪悪感が芽生えた。
≪それより、どうしてリヴァイさんがいるんですか?
職員専用のカフェなのに…。≫
「一緒にいた医者が、俺の親友だ。
母さんの検査の後に会って、一緒に飯を食いに来てお前を見つけた。」
≪…一緒にお医者さんいました?≫
「…いたんだよ。本人には絶対それ言うなよ。」
≪そんなことより、お母さんの検査はどうでした?完治でした?≫
「問題ねぇ。とりあえず、今すぐ出て来い。」
≪…なんで?≫
「5秒やる。」
それだけ言って、電話を切った。
2秒で、名前は息を切らして裏扉から飛び出してきた。
昔、研修医として働いているときによく利用していたが、食事時になるとこの広いカフェの席はすべて埋め尽くされてしまう。
カフェで働いている店員達は、息つく暇もないくらいに忙しいはずだ。
そんなときに、自分の存在に気づいてくれて、優しい言葉をかけてくれたら、惚れてしまうというのも分からなくもない。
惚れっぽいわけでもないファーランが、一目惚れしてしまったというのは、本当に心の綺麗さというのが見えたということなのかもしれない。
「こっち、こっち。」
ファーランは、俺をカフェの裏に連れて行った。
ここは初めて来た場所だった。
ルーフバルコニーになっているらしく、ちょっとした屋上のような場所だった。
テーブル席が3つほどあって、今も、数名のカフェの店員が座ってお喋りをしていた。
忙しい時間帯になれば、彼らもいなくなるだろうから、1人でゆっくりしたいときにはちょうど良さそうだった。
「あ~ぁ、今なら休憩に入ってるかなぁと思ったんだけどなぁ。」
どうやら意中の彼女はいなかったらしく、ファーランが残念そうに言った。
そのときだった。
奥にあるカフェの裏扉が開いて、真っ白い厨房服を身に纏った若い女が出て来た。
一歩出たところで立ち止まった彼女は、青い空を見上げて、両手を横に思いっきり伸ばしていた。
「あの娘だ、リヴァイ!」
「は・・・?」
興奮気味にファーランが指さした先に俺が見えていたのは、真っ白い厨房服を身に纏った名前だった。
バイト先がどこかを聞いたことはなかったが、まさかエルディア病院の職員専用カフェで働いているとは驚いた。
道理で、入院していた母の病室にマメに顔を出せていたわけだ。
深呼吸をした名前は、バイト仲間のいるテーブル席に足を向けようとして、俺とファーランに気づいた。
目を見開いて立ち止まった名前は、眉を顰めた。
ここにいるはずのない俺を見つけて驚いたというよりも、俺に見つかって狼狽えていたように見えた。
それは正しかったはずだ。
だって、名前はハッとすると、逃げるように裏扉の向こうに戻ってしまったのだからー。
「もしかして、知り合いか!?」
勘のするどいファーランが、俺の肩をガシッと握った。
俺を見る血走った瞳から、これから続く言葉は容易く想像出来た。
「紹介してくれ!!」
やっぱりー。
今、俺を見て名前が逃げたのを見ていなかったのだろうか。
それでも、昔から俺と付き合ってくれている親友の願いを断ることは出来なかった。
仕方なく、俺はズボンの後ろポケットからスマホを取り出した。
「まさか…!あの娘の連絡先知ってんのか!?抜け駆けか!!」
「ちげーよ。後で教えてやるから、黙ってろ。」
面倒くさいと思いながら、俺は名前に電話をかけた。
数コールで、名前が出た。
「どうして逃げた。」
≪だって…、厨房服が恥ずかしくて…。≫
そんなものよりもっと恥ずかしい姿を見せたくせにー。
思わず、あの日のことが脳裏に浮かんでしまって、名前にもファーランにも罪悪感が芽生えた。
≪それより、どうしてリヴァイさんがいるんですか?
職員専用のカフェなのに…。≫
「一緒にいた医者が、俺の親友だ。
母さんの検査の後に会って、一緒に飯を食いに来てお前を見つけた。」
≪…一緒にお医者さんいました?≫
「…いたんだよ。本人には絶対それ言うなよ。」
≪そんなことより、お母さんの検査はどうでした?完治でした?≫
「問題ねぇ。とりあえず、今すぐ出て来い。」
≪…なんで?≫
「5秒やる。」
それだけ言って、電話を切った。
2秒で、名前は息を切らして裏扉から飛び出してきた。