◇23ページ◇高熱
Name change
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朝、目が覚めると、抱きしめる格好のままで、俺の腕の中だけが空っぽになっていた。
(名前はどこに行きやがった。)
ベッドから降りて部屋を出ると、美味そうな匂いが鼻に届いた。
そして、カウンターキッチンの向こうに名前を見つけた。
「あ!おはようございます!!」
名前が明るく言った。
見た感じは、元気になっているようだった。
「あぁ、おはよう。体調はどうだ?」
「もう完全復活です!昨日、リヴァイさんが甘やかしてくれたおかげです!
ありがとうございました!!」
「そうか。ならよかった。」
俺はそう言いながら、キッチンへ向かった。
ダイニングテーブルの上には、既に美味そうな朝食が並んでいた。
そこを素通りしてキッチンへ入って来た俺に、名前は不思議そうに首を傾げた。
そんな名前の額に手を触れた。
思った通り、まだ熱い。
昨日の夜、あれだけ高熱だったのに、いきなり下がるもんか。
マズいという顔をした名前も、熱が下がっていないという自覚はあったようだ。
「俺に何か言うことはねぇか。」
「・・・・ごめんなさい。すぐに寝ます。」
「それ以外だったら、ぶん投げてたところだ。命拾いしたな。」
「でも、朝ご飯は一緒に食べてもいいですか?」
「あぁ、食えるなら食え。あとは俺が準備するから座って待ってろ。」
名前をダイニングの椅子に座らせて、キッチンに入った。
あとの準備と言っても、ほとんど名前がしてくれていたから、ご飯や味噌汁を用意するくらいしか残っていなかった。
引き出しから箸を取り出していると、ふ、と視線を感じた。
ダイニングを見れば、両手で頬杖をついた名前が、だらしなく緩んだ顔で、朝食の準備をしている俺を眺めていた。
「なんだ、ニヤけた顔しやがって。」
「こんなに甘くて優しい恋人みたいなリヴァイさんを見られるなら、
ずーっと風邪引いてたいなぁと思って。」
「俺は勘弁だ。」
「それは残念です。」
ヘラヘラと笑う名前はいつも通りに戻っていた。
まだ熱はあるが、治ってきているのは確かなようだった。
きっと、今夜はひとりで眠れるだろう。
それが少しだけ、残念だと思ったのはなぜだったのだろう。
魔法の解けた君は、王子様との幸せを夢に見ているのかい?
かぜを引いてしまった
熱が高いとふわふわして
リヴァイさんがいつもよりやさしくて幸せて
まるで魔法の世界にいるお姫様になったみたいだった
でも、王子様とは出逢えなくていい
このままずっと、魔法の世界で、叶わない恋をしていたい
(名前はどこに行きやがった。)
ベッドから降りて部屋を出ると、美味そうな匂いが鼻に届いた。
そして、カウンターキッチンの向こうに名前を見つけた。
「あ!おはようございます!!」
名前が明るく言った。
見た感じは、元気になっているようだった。
「あぁ、おはよう。体調はどうだ?」
「もう完全復活です!昨日、リヴァイさんが甘やかしてくれたおかげです!
ありがとうございました!!」
「そうか。ならよかった。」
俺はそう言いながら、キッチンへ向かった。
ダイニングテーブルの上には、既に美味そうな朝食が並んでいた。
そこを素通りしてキッチンへ入って来た俺に、名前は不思議そうに首を傾げた。
そんな名前の額に手を触れた。
思った通り、まだ熱い。
昨日の夜、あれだけ高熱だったのに、いきなり下がるもんか。
マズいという顔をした名前も、熱が下がっていないという自覚はあったようだ。
「俺に何か言うことはねぇか。」
「・・・・ごめんなさい。すぐに寝ます。」
「それ以外だったら、ぶん投げてたところだ。命拾いしたな。」
「でも、朝ご飯は一緒に食べてもいいですか?」
「あぁ、食えるなら食え。あとは俺が準備するから座って待ってろ。」
名前をダイニングの椅子に座らせて、キッチンに入った。
あとの準備と言っても、ほとんど名前がしてくれていたから、ご飯や味噌汁を用意するくらいしか残っていなかった。
引き出しから箸を取り出していると、ふ、と視線を感じた。
ダイニングを見れば、両手で頬杖をついた名前が、だらしなく緩んだ顔で、朝食の準備をしている俺を眺めていた。
「なんだ、ニヤけた顔しやがって。」
「こんなに甘くて優しい恋人みたいなリヴァイさんを見られるなら、
ずーっと風邪引いてたいなぁと思って。」
「俺は勘弁だ。」
「それは残念です。」
ヘラヘラと笑う名前はいつも通りに戻っていた。
まだ熱はあるが、治ってきているのは確かなようだった。
きっと、今夜はひとりで眠れるだろう。
それが少しだけ、残念だと思ったのはなぜだったのだろう。
魔法の解けた君は、王子様との幸せを夢に見ているのかい?
かぜを引いてしまった
熱が高いとふわふわして
リヴァイさんがいつもよりやさしくて幸せて
まるで魔法の世界にいるお姫様になったみたいだった
でも、王子様とは出逢えなくていい
このままずっと、魔法の世界で、叶わない恋をしていたい