◇23ページ◇高熱
Name change
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ベッドで横になる名前は、顔も赤く、ベッドの縁に座った俺を見上げる目もとろんとしていて虚ろだった。
本人は、熱は下がったと訴えたが、誰が見ても病人だった。
息も浅く、苦しくて眠れないと言っていた昨日よりはだいぶマシになっているようではあったが、まだ熱は高そうだ。
ピピピー…、と高い音がして、名前がもぞもぞと動いて体温計を手に取った。
「・・・・36.8に下がー。」
「38.6の間違いだ、クソが。」
体温計を奪って確認をすれば、やはりまだだいぶ熱が高かった。
確かに昨日よりは下がっているけれど、高熱であることに変わりはない。
嘘を吐いてどうにか治ったことにしたかったらしい名前も俺に言い返す元気もないようで、ぼんやりと俺を見上げていた。
「粥は食えるか。」
「…リヴァイさんが、つくってくれるんれすか…?」
「粥くらい作れる。」
「…リヴァイさんのおかゆ、たべたい…けど、むりれす…。
くやしい…。」
「それくらいいつでも作ってやる。」
「やった…。」
名前が、少しだけ口角を上げた。
本人は笑ったつもりのようだが、弱々しくて、余計にツラそうなだけだった。
「薬を飲まねぇといけねぇだろ。何か一口でも食えるもんはねぇか。」
「んー…。」
「帰りにいろいろ買ってきた。
アイスとヨーグルト、プリン、ゼリー、それから、エクレアとロールケーキ。
あとは、なんだったか、あぁ、杏仁豆腐とティラミス、それからー。」
「ふふ、いっぱいだ。」
買ってきたものを思い出そうとしていると、名前が可笑しそうに笑った。
そして、せっかく買ってきてくれたのならー、とゼリーを選んだ。
そのゼリーも、ミカンや桃、葡萄にミックス、と種類がいろいろあるからどれがいいかと訊ねれば、名前はまた可笑しそうに笑った。
おすすめがいいと言われて困った俺は、冷蔵庫の中からミックスゼリーを選んで、部屋に戻った。
「ゆっくりでいい。無理するな。」
ベッドの縁に腰かけた俺は、肘をついて起き上がろうとする名前の背中に手を添えて、身体を起こさせた。
そして、ヘッドボードに背中を寄り掛かるようにして座らせてから、ゼリーとスプーンを手渡した。
「ありがとう、ございます。いたらきます。」
律儀に頭を下げて、名前はスプーンを持ってゼリーをすくおうとした。
だが、手に力が入らないらしく、あの柔らかいゼリーにスプーンが刺さらないという驚きの光景が披露された。
名前もその意味がわからないらしく、しきりに「あれ?あれ?」と首を傾げながら、ゼリーをすくおうとしているのだが、スプーンはツルツルと滑るばかりだ。
「リヴァイさん…、このゼリー、かたくてたべれないれす…。」
阿保みたいなその光景ならもう少し見ていてもよかったが、熱にやられた名前の頭が不憫だった。
苦笑を隠して、俺は名前からスプーンとゼリーを返してもらった。
「仕方ねぇ。俺が食わせてやる。」
スプーンにゼリーをすくって、名前の口の前に持って行った。
だが、名前は困った顔をして、俺とスプーンを交互に見るだけで口を開こうとはしない。
「一口でいいから食え。薬が飲めねぇだろ。」
「…はずかしい、れす…。」
「それなら、ちゃんと食って早く治せ。」
そう言えば、恥ずかしそうにしながらも、名前はゆっくりと躊躇いがちに口を開いた。
気持ち程度開いただけの小さな口に、ゼリーを乗せたスプーンをつっこんだ。
「つめたくて、おいしい…。」
名前の表情が幾分か柔らかくなって、ホッとした。
そうして、何度かスプーンにゼリーを乗せて口に運んでやれば、数口は食べることが出来た。
完食は出来ないようだったが、何も食べないよりはマシだ。
それから薬を飲ませた俺は、寝るように伝えて部屋を出た。
本人は、熱は下がったと訴えたが、誰が見ても病人だった。
息も浅く、苦しくて眠れないと言っていた昨日よりはだいぶマシになっているようではあったが、まだ熱は高そうだ。
ピピピー…、と高い音がして、名前がもぞもぞと動いて体温計を手に取った。
「・・・・36.8に下がー。」
「38.6の間違いだ、クソが。」
体温計を奪って確認をすれば、やはりまだだいぶ熱が高かった。
確かに昨日よりは下がっているけれど、高熱であることに変わりはない。
嘘を吐いてどうにか治ったことにしたかったらしい名前も俺に言い返す元気もないようで、ぼんやりと俺を見上げていた。
「粥は食えるか。」
「…リヴァイさんが、つくってくれるんれすか…?」
「粥くらい作れる。」
「…リヴァイさんのおかゆ、たべたい…けど、むりれす…。
くやしい…。」
「それくらいいつでも作ってやる。」
「やった…。」
名前が、少しだけ口角を上げた。
本人は笑ったつもりのようだが、弱々しくて、余計にツラそうなだけだった。
「薬を飲まねぇといけねぇだろ。何か一口でも食えるもんはねぇか。」
「んー…。」
「帰りにいろいろ買ってきた。
アイスとヨーグルト、プリン、ゼリー、それから、エクレアとロールケーキ。
あとは、なんだったか、あぁ、杏仁豆腐とティラミス、それからー。」
「ふふ、いっぱいだ。」
買ってきたものを思い出そうとしていると、名前が可笑しそうに笑った。
そして、せっかく買ってきてくれたのならー、とゼリーを選んだ。
そのゼリーも、ミカンや桃、葡萄にミックス、と種類がいろいろあるからどれがいいかと訊ねれば、名前はまた可笑しそうに笑った。
おすすめがいいと言われて困った俺は、冷蔵庫の中からミックスゼリーを選んで、部屋に戻った。
「ゆっくりでいい。無理するな。」
ベッドの縁に腰かけた俺は、肘をついて起き上がろうとする名前の背中に手を添えて、身体を起こさせた。
そして、ヘッドボードに背中を寄り掛かるようにして座らせてから、ゼリーとスプーンを手渡した。
「ありがとう、ございます。いたらきます。」
律儀に頭を下げて、名前はスプーンを持ってゼリーをすくおうとした。
だが、手に力が入らないらしく、あの柔らかいゼリーにスプーンが刺さらないという驚きの光景が披露された。
名前もその意味がわからないらしく、しきりに「あれ?あれ?」と首を傾げながら、ゼリーをすくおうとしているのだが、スプーンはツルツルと滑るばかりだ。
「リヴァイさん…、このゼリー、かたくてたべれないれす…。」
阿保みたいなその光景ならもう少し見ていてもよかったが、熱にやられた名前の頭が不憫だった。
苦笑を隠して、俺は名前からスプーンとゼリーを返してもらった。
「仕方ねぇ。俺が食わせてやる。」
スプーンにゼリーをすくって、名前の口の前に持って行った。
だが、名前は困った顔をして、俺とスプーンを交互に見るだけで口を開こうとはしない。
「一口でいいから食え。薬が飲めねぇだろ。」
「…はずかしい、れす…。」
「それなら、ちゃんと食って早く治せ。」
そう言えば、恥ずかしそうにしながらも、名前はゆっくりと躊躇いがちに口を開いた。
気持ち程度開いただけの小さな口に、ゼリーを乗せたスプーンをつっこんだ。
「つめたくて、おいしい…。」
名前の表情が幾分か柔らかくなって、ホッとした。
そうして、何度かスプーンにゼリーを乗せて口に運んでやれば、数口は食べることが出来た。
完食は出来ないようだったが、何も食べないよりはマシだ。
それから薬を飲ませた俺は、寝るように伝えて部屋を出た。