◇20ページ◇思わぬ薬の効能
Name change
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「魔法ですよっ。」
治療薬を病院に持って行った帰り、バイトも終わっているという名前をついでに車に乗せて、俺は久しぶりに自宅マンションへ帰宅しようとしていた。
俺の治療薬を待っていたらしいナイルは、効能や副作用の説明を聞いて、問題ないと判断し、すぐに点滴で投与を始めてくれた。
明日の夕方に検査をしてくれるそうだ。
とりあえず、今回の治療薬が効かなかったときのために、念のため、着替えは宿泊棟に残してはいるが、今日は家に帰るつもりでいた。
そこで、車の中で、エルド達に指摘されたことを珍しく反省した俺は、名前に謝ったのだ。
それがこれだ。
いつも通りの底抜けに明るい笑顔で、名前はまた、魔法の仕業だと言った。
でも、さすがに、名前のことを魔法使いだとは思っていないし、人間だと認識している。
本人も自分のことをそうは言っていなかったはずだ。
確か、昔に魔法にかけられたことがあって、それから魔法が使えるようになったーだったと記憶している。
「…それはねぇ。」
「ありますよ~。魔法の力はすごいんですよ。
見てくださいよ!ほら、隈だって出来てないでしょう?」
ちょうど赤信号で車が止まったところだった。
名前は自分の目の下を指さして顔を近づけて来た。
至近距離で見た名前の顔は、疲れたような様子もなく、むしろ、白い肌がとても綺麗だと思った。
重たそうに瞼に乗っている長い睫毛も、俺だけをまっすぐに見つめる澄んだ色をした瞳もー。
それから、魔法だとかわけのわからないことばかり言いながら、絶対に俺を否定しない柔らかくて甘い唇も、とても綺麗だった。
「そうだな。」
それだけ短く言って、俺は名前の唇に自分のそれを重ねた。
大きな瞳を見開いて名前は驚いていたけれど、俺にとってそれは、とても自然な流れだった。
信号が青になって、アクセルを踏む。
車が動き出しても、名前は呆然としていたけれど、少しすると、急にデカい声で喋り出した。
「今のは新しいお薬ですか!?」
「…は?」
「力が、みなぎってきました…!!」
「…そりゃよかったな。」
呆れる俺の隣で、名前は、楽しそうに細い腕を折り曲げ力こぶしを作っていた。
薄いセーターに包まれた上腕に筋肉があるなんて、全く見えなかったけれど、力が湧き出てきたらしかった。
「よーしっ!明日も頑張るぞ~っ!」
楽しそうな名前が面白くて、俺は分からないようにクスリと笑った。
いつもの薬をくれないか
君のキスひとつで、どんな地獄に堕とされても幸せだと笑えるのに
不意打ちのキスは、私の時間を止めた。
そのまま止まってくれたらよかったのに、時間は止まることを知らずに過ぎていくの。
何を思って、リヴァイさんがキスをしてくれたのかは考えないようにするわ。
私は都合のいいように考えてしまうし、それは私を地獄に堕とすことは分かっているから。
嘘ばかりの笑顔を、リヴァイさんは信じてくれるから、胸が痛い。痛いの。
でもね、力が出たのは本当なのよ。
信じて。それだけは、本当なの。本当なの。
治療薬を病院に持って行った帰り、バイトも終わっているという名前をついでに車に乗せて、俺は久しぶりに自宅マンションへ帰宅しようとしていた。
俺の治療薬を待っていたらしいナイルは、効能や副作用の説明を聞いて、問題ないと判断し、すぐに点滴で投与を始めてくれた。
明日の夕方に検査をしてくれるそうだ。
とりあえず、今回の治療薬が効かなかったときのために、念のため、着替えは宿泊棟に残してはいるが、今日は家に帰るつもりでいた。
そこで、車の中で、エルド達に指摘されたことを珍しく反省した俺は、名前に謝ったのだ。
それがこれだ。
いつも通りの底抜けに明るい笑顔で、名前はまた、魔法の仕業だと言った。
でも、さすがに、名前のことを魔法使いだとは思っていないし、人間だと認識している。
本人も自分のことをそうは言っていなかったはずだ。
確か、昔に魔法にかけられたことがあって、それから魔法が使えるようになったーだったと記憶している。
「…それはねぇ。」
「ありますよ~。魔法の力はすごいんですよ。
見てくださいよ!ほら、隈だって出来てないでしょう?」
ちょうど赤信号で車が止まったところだった。
名前は自分の目の下を指さして顔を近づけて来た。
至近距離で見た名前の顔は、疲れたような様子もなく、むしろ、白い肌がとても綺麗だと思った。
重たそうに瞼に乗っている長い睫毛も、俺だけをまっすぐに見つめる澄んだ色をした瞳もー。
それから、魔法だとかわけのわからないことばかり言いながら、絶対に俺を否定しない柔らかくて甘い唇も、とても綺麗だった。
「そうだな。」
それだけ短く言って、俺は名前の唇に自分のそれを重ねた。
大きな瞳を見開いて名前は驚いていたけれど、俺にとってそれは、とても自然な流れだった。
信号が青になって、アクセルを踏む。
車が動き出しても、名前は呆然としていたけれど、少しすると、急にデカい声で喋り出した。
「今のは新しいお薬ですか!?」
「…は?」
「力が、みなぎってきました…!!」
「…そりゃよかったな。」
呆れる俺の隣で、名前は、楽しそうに細い腕を折り曲げ力こぶしを作っていた。
薄いセーターに包まれた上腕に筋肉があるなんて、全く見えなかったけれど、力が湧き出てきたらしかった。
「よーしっ!明日も頑張るぞ~っ!」
楽しそうな名前が面白くて、俺は分からないようにクスリと笑った。
いつもの薬をくれないか
君のキスひとつで、どんな地獄に堕とされても幸せだと笑えるのに
不意打ちのキスは、私の時間を止めた。
そのまま止まってくれたらよかったのに、時間は止まることを知らずに過ぎていくの。
何を思って、リヴァイさんがキスをしてくれたのかは考えないようにするわ。
私は都合のいいように考えてしまうし、それは私を地獄に堕とすことは分かっているから。
嘘ばかりの笑顔を、リヴァイさんは信じてくれるから、胸が痛い。痛いの。
でもね、力が出たのは本当なのよ。
信じて。それだけは、本当なの。本当なの。