◇18ページ◇役に立つということ
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カフェスペースは、研究フロアのすぐ隣の部屋だった。
壁が透明ガラス張りになっていて、食事をしながらも研究フロアを見ることが出来る、仕事を忘れる隙を研究員達に与えない作りになっている。
「うま…!めっちゃ美味いじゃないっすか!!プロっすか!?」
「いや、元ニートで、今はただのフリーターだ。」
「マジっすか!?それはもはや、三ツ星シェフリーターっすよ!
ヤバいっす!!」
何を言っているかサッパリ分からないが、オルオはさっきからしきりに賛辞を繰り返している。
相当、名前の作った弁当が気に入ったらしい。
これからもオルオ達がいるときは、俺の分と一緒に作りたいと名前が言っていたと教えてやれば、感動して泣き出した。
三食ともコンビニの弁当だったオルオは、弁当貧乏だったのだそうだ。
料理が得意なペトラも、作り方を聞いてみたいと言いながら真剣におかずを見ていたし、エルドとグンタも美味そうに食べてくれて俺もホッとした。
「名前ちゃんは食べなくていいんですか?」
ペトラが、透明ガラス張りの壁の向こうを見ながら、不思議そうに訊ねた。
俺達と一緒にカフェスペースには入らなかった名前は、研究フロアの中を興味津々な顔をして歩き回っていた。
「弁当を作るときに味見したり、つまみ食いしたりしたから
腹減ってないらしい。」
「あぁ、それ分かります。」
妙に納得して、ペトラは何度も頷いていた。
同じような経験があるらしい。
彼女が似たようなことを言っていたとエルドが教えてくれた。
腹が減っていたらしいエルド達が会話を楽しみながら弁当を食べているそばで、俺は食べ慣れた名前の料理を口に運びながら、研究フロアを見ていた。
研究フロアのものには絶対に触れないという約束通り、名前は歩き回りながら観察をしているだけで、手を出そうとはしなかった。
ここが自分の職場なのだと、少しずつ、少しずつ、実感していっていた。
だから、そこに名前がいることが、不思議で奇妙な気持ちだった。
でも、この職場に戻れたのは名前のおかげだというのも事実で、お互いに不思議な縁だなと感じる。
ふ、と名前が立ち止まったのは薬を作るときに使う機械の前だった。
普段の生活の中では見ることのないようなものだが、名前は好奇心や興味で目を奪われたという様子ではなかった。
どこか悲し気に、それをじっと見ていたのだ。
いつも楽しそうにしている名前の憂いを帯びたその横顔は、まるで別人のようだった。
橋から飛び降りようとしていたときの名前に似ていたと思う。
「アレが気になるのかな?お弁当のお礼に、使ってるところを見せてあげようかな。」
ペトラはそう言うと、ごちそうさまでしたー、と手を合わせてからカフェスペースを出て行った。
小走りでやってきたペトラに、名前は少し驚いた顔をした後、とても嬉しそうな笑顔になった。
そして、動いている機械にハシャいでいる姿は、いつもの名前に戻っていた。
壁が透明ガラス張りになっていて、食事をしながらも研究フロアを見ることが出来る、仕事を忘れる隙を研究員達に与えない作りになっている。
「うま…!めっちゃ美味いじゃないっすか!!プロっすか!?」
「いや、元ニートで、今はただのフリーターだ。」
「マジっすか!?それはもはや、三ツ星シェフリーターっすよ!
ヤバいっす!!」
何を言っているかサッパリ分からないが、オルオはさっきからしきりに賛辞を繰り返している。
相当、名前の作った弁当が気に入ったらしい。
これからもオルオ達がいるときは、俺の分と一緒に作りたいと名前が言っていたと教えてやれば、感動して泣き出した。
三食ともコンビニの弁当だったオルオは、弁当貧乏だったのだそうだ。
料理が得意なペトラも、作り方を聞いてみたいと言いながら真剣におかずを見ていたし、エルドとグンタも美味そうに食べてくれて俺もホッとした。
「名前ちゃんは食べなくていいんですか?」
ペトラが、透明ガラス張りの壁の向こうを見ながら、不思議そうに訊ねた。
俺達と一緒にカフェスペースには入らなかった名前は、研究フロアの中を興味津々な顔をして歩き回っていた。
「弁当を作るときに味見したり、つまみ食いしたりしたから
腹減ってないらしい。」
「あぁ、それ分かります。」
妙に納得して、ペトラは何度も頷いていた。
同じような経験があるらしい。
彼女が似たようなことを言っていたとエルドが教えてくれた。
腹が減っていたらしいエルド達が会話を楽しみながら弁当を食べているそばで、俺は食べ慣れた名前の料理を口に運びながら、研究フロアを見ていた。
研究フロアのものには絶対に触れないという約束通り、名前は歩き回りながら観察をしているだけで、手を出そうとはしなかった。
ここが自分の職場なのだと、少しずつ、少しずつ、実感していっていた。
だから、そこに名前がいることが、不思議で奇妙な気持ちだった。
でも、この職場に戻れたのは名前のおかげだというのも事実で、お互いに不思議な縁だなと感じる。
ふ、と名前が立ち止まったのは薬を作るときに使う機械の前だった。
普段の生活の中では見ることのないようなものだが、名前は好奇心や興味で目を奪われたという様子ではなかった。
どこか悲し気に、それをじっと見ていたのだ。
いつも楽しそうにしている名前の憂いを帯びたその横顔は、まるで別人のようだった。
橋から飛び降りようとしていたときの名前に似ていたと思う。
「アレが気になるのかな?お弁当のお礼に、使ってるところを見せてあげようかな。」
ペトラはそう言うと、ごちそうさまでしたー、と手を合わせてからカフェスペースを出て行った。
小走りでやってきたペトラに、名前は少し驚いた顔をした後、とても嬉しそうな笑顔になった。
そして、動いている機械にハシャいでいる姿は、いつもの名前に戻っていた。