◇13ページ◇心と身体を蝕む束縛
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心と身体は不思議だ。
どんなに疲れていても、どんなに限界を迎えていても、俺は普段よりも1時間早く出勤するために、時間通りに目が覚めた。
いつものように、アラームが鳴る前に止めてしまおうと、ベッドのヘッドボードをスマホを探してまさぐった。
でも、いつも置いてある場所にスマホは見当たらない。
そこで漸く、俺は、風呂場に向かった後からの記憶がないことに気づいた。
でも、パジャマは着ているし、ベッドで眠ってはいたようだった。
だからきっと、疲れて覚えていないだけで、風呂から上がって自分でベッドに入り、スマホのアラームだけはセットをし忘れたのだろうと思った。
一応、俺はベッドから降りると、鞄の中を確認した。
だが、そこにスマホはない。
昨日着ていたジャケットのポケットも確認してみたが、そこにもない。
何処かに落としたのだろうかー。
この忙しいときにー。
自分自身に腹が立ちながら、部屋を出た。
リビングのソファに座っていた名前は、振り返って驚いた顔をした。
起きてくるとは思っていなかったー、そんな表情だった。
でも、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「朝食、出来てますよ。」
「あぁ、食う。」
食事の時間も惜しんで仕事と薬の開発研究をしている俺にとって、この朝食だけが唯一食事をしっかりとる時間だった。
これがなければ、俺はとっくに倒れていたはずだ。
それでも、紅茶の味すらも分からないくらいにぼんやりと食事をして、席を立った。
「今日はお仕事はお休みするとハンジさんにLINEしておきました。」
部屋に戻って仕事の準備を始めようとした俺に、名前が言った。
頭の回転が鈍くなっていた俺は、その言葉の意味を理解するのに数秒の時間を要した。
そして、漸く理解して振り返ったときにはもう、名前を睨みつけていた。
「俺のスマホをどこにやった。」
「私が持ってます。」
「そんなことは分かってる。返せと言ってんだ。」
「リヴァイさん、昨日の夜…、ううん、今朝、帰ってきてお風呂場で倒れたんですよ。
その様子だと、それすら覚えてないんでしょう?」
「は・・・?」
本当に記憶になかった。
思い出そうとすると頭痛がして、俺は顔を顰めて額を押さえた。
すると、焦った様子で名前が駆け寄ってきて、俺に触れようとした。
「大丈夫ですか!?」
「触るな!!」
怒鳴りつけた俺は、名前の手を叩き落した。
痛かったはずだ。
でも、名前は痛みを感じるよりも先に、驚きで固まっていた。
「スマホを返せ。今すぐハンジに連絡する。」
「嫌です!今日は絶対に仕事には行かせません!」
低い声で、睨みつける俺に対して、名前は強気だった。
絶対に仕事には行かさないー。
そのセリフだけが頭の中で響いて、包丁を持ち出す直前に、仕事に行こうとした俺を引き留めたときのアンの声と重なった。
「スマホはもういい。
とにかく、仕事に行く準備をする。邪魔するな。」
無視をしようと決めて、俺は名前に背を向けた。
名前と睨み合いをしている時間すら惜しかった。
でも、名前はそれでも、俺の腕を掴んで必死に引き留めた。
「お願いです…!今日は休んで…!!」
振り返った俺は、ひどく冷たく名前を睨みつけた。
俺の腕を握りしめた名前の手がビクリと震えたのを感じたが、それでも、細く小さな手が離れることはなかった。
「睨まれても…、私は今日は負けませんよ…っ。
絶対に、リヴァイさんを家から出しません。
今日はちゃんと寝てもらいますからっ。」
「ふざけるな。放しやがれ。」
「嫌です…!絶対に仕事を休んでもらいます…!!
リヴァイさん、ちゃんと食事だってとってないでしょう?
今日は私もバイトを休んで、食事もちゃんと用意しますから。」
「…どうせ、気色悪い魔法とやらで、俺が女と別れた理由だって知ってんだろ。」
「…話を逸らさないでください。お願いです。仕事に行かないで。
これ以上、無理をしたら、死んじゃいます…っ。」
「あぁ、そうだ!!死んじまうんだよ!!」
俺は乱暴に腕を振り上げて、名前を投げ捨てた。
細く軽い身体はいとも容易く宙を舞うと、重たい音を立てて床に叩きつけられるように落ちた。
痛みに顔を顰めて、床に片肘をついて上半身だけなんとか身体を起こした名前を、俺は文字通り、親の仇を見る目で睨みつけて見下ろしていた。
「お前もアイツと一緒だな。俺を好きだとか言っておいて
俺のことなんか何も考えちゃいねぇ。」
「…お願いです。仕事には行かないでください…。」
「ヘラヘラ笑って、俺にこびへつらって、自分は昔の女とは違ぇと
見せつけたかったみてぇだが、結局、同じじゃねぇか。
自分が良けりゃ、それでいいのか。最低だな。」
「…っ。休んで欲しいんです…。今日、1日だけでも、いいです…。
身体と心を休ませてあげて…っ。」
倒れた格好のままで俺を見上げる名前は、大きな瞳に涙をいっぱいに溜めていた。
溢れそうなそれを必死に堪えようと、唇を噛むその姿が余計に、俺の感情を逆撫でていた。
母親の病のことで、休みを知らなかった俺の心と身体はこの時すでに、限界どころか壊れていたのだ。
そして、誰かを傷つけることで、そのストレスを発散しようとしていたのだと思う。
本当に、俺は最低だった。
もっと、もっとー。
名前を傷つけてやりたい、立ち上がれないくらいにズタズタに引き裂いてやりたい、とそう思ってしまったのだ。
そして俺は、名前を最も傷つける言葉を、誰よりも知っていた。
「他人の都合も考えねぇで勝手なことばっか言って、
物分かりの良いフリして、自分のことしか考えてねぇ。
俺は、お前みてぇな女が一番嫌いだ。」
「…っ。私は…っ。」
名前はそこまで言うと、一度言葉を切って、唇を噛んだ。
そして、溢れそうな涙を必死に堪えて、そして、また口を開いた。
「それでも、私は…っ、リヴァイさんを仕事には行かせません…!
大切なお仕事なのは、分かるけど、でも…っ。お仕事の都合より、
リヴァイさんの身体の方が大切だかー。」
「うるせぇな。俺に指図するんじゃねぇ。
少し優しくしてやったからって調子に乗りやがって。
いい機会だから、ずっと前から言いたかったことを言ってやる。」
俺はそう言うと、膝を曲げて屈みこんで、必死に涙を堪える名前と視線を合わせた。
そして、名前を傷つけるためだけの言葉を吐き捨てた。
「俺は、お前が大嫌いだ。死ぬほど、嫌いだ。
あのとき、お前になんか会わなければよかったと、心底思ってる。
クソみたいな魔法なんか、今すぐ解けて、お前なんか消えちまえばいい。」
鋭利に尖った声が、シンと静まり返った空気を冷たくした。
ゆっくりと名前の目が見開かれていくのを、俺はただジッと見ていた。
堪えることすら忘れられた大粒の涙が、ひとつ、零れてからは、あっという間だった。
幾つもの涙が、頬を伝っては落ちていく。
それを眺める俺は、支配欲が満たされて、ひどく満足していた。
正直、スッとした。
「契約違反だ。俺の邪魔をする女は必要ねぇ。
出てけ。顔も見たくねぇ。」
「…っ。」
唇を噛んで、一度目を伏せてから、名前は逃げるように立ち上がった。
そして、走って部屋に戻ると、いつも持っているバッグを持ってリビングに戻って来た。
「迷惑ばかりかけて、ごめんなさい…っ。お世話に、なりました…っ。」
泣きながら頭を下げた後、名前は逃げるように玄関へ走った。
扉が閉まる虚しい音も、アンが出て行った時と同じだった。
でも、あのときとは違ったのは、肩がひどく重たくなったことだ。
心が重たくて、苦しくて、痛かった。
恋人が出て行ったわけではない。
ただの迷惑な居候が、やっと出て行ってくれただけのはずだった。
名前を泣かせたのだって、俺がそう望んだからだ。
それなのにー。
俺は舌打ちをして、雑に頭を掻いた。
この世で最も君を傷つけた罪を償う為なら、何だってする。
それが、永遠に君を失うという罰なら、俺は受け入れるべきなのだろうか。
リヴァイさんが、お風呂場で倒れてしまった。
最近は忙しいのか、睡眠時間を削って朝から晩まで働き詰めだったの。
ここ2,3日は目も虚ろで、話しかけても上の空だった。
私、ちゃんと分かってたの。
休ませてあげなきゃいけないって…
このままじゃリヴァイさんが倒れてしまうかもしれないって、分かってたのに…
怖かったの。
仕事に行かないで休んでくれって言ってしまったら、リヴァイさんに嫌われてしまうんじゃないかって。
リヴァイさんのすることに口出しをしたらいけないって条件も出されてるから、この家にいられなくなるかもしれないと思ったの。
私、最低ね。
リヴァイさんのそばにいたいからって、自分のことばかりだった。
だから、リヴァイさんが倒れるまで、何も出来なかった…
でも、リヴァイさんの心と身体が壊れてしまうのを見てるだけなんて、もう出来ない…。
もしも、また朝早くにリヴァイさんが仕事に行こうとしたら、今度こそ、私は引き留める。
睨まれたって、怒鳴られたって、ウザがられたって、構わない。
嫌われたって、いい。
私は、絶対にリヴァイさんを仕事には行かさない。
ちゃんと休ませる。
そうしなきゃ、死んじゃうもの…
それなら、嫌われた方がいい。
追い出されて、二度と会えなくなる方が、ずっといい。
どんなに疲れていても、どんなに限界を迎えていても、俺は普段よりも1時間早く出勤するために、時間通りに目が覚めた。
いつものように、アラームが鳴る前に止めてしまおうと、ベッドのヘッドボードをスマホを探してまさぐった。
でも、いつも置いてある場所にスマホは見当たらない。
そこで漸く、俺は、風呂場に向かった後からの記憶がないことに気づいた。
でも、パジャマは着ているし、ベッドで眠ってはいたようだった。
だからきっと、疲れて覚えていないだけで、風呂から上がって自分でベッドに入り、スマホのアラームだけはセットをし忘れたのだろうと思った。
一応、俺はベッドから降りると、鞄の中を確認した。
だが、そこにスマホはない。
昨日着ていたジャケットのポケットも確認してみたが、そこにもない。
何処かに落としたのだろうかー。
この忙しいときにー。
自分自身に腹が立ちながら、部屋を出た。
リビングのソファに座っていた名前は、振り返って驚いた顔をした。
起きてくるとは思っていなかったー、そんな表情だった。
でも、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「朝食、出来てますよ。」
「あぁ、食う。」
食事の時間も惜しんで仕事と薬の開発研究をしている俺にとって、この朝食だけが唯一食事をしっかりとる時間だった。
これがなければ、俺はとっくに倒れていたはずだ。
それでも、紅茶の味すらも分からないくらいにぼんやりと食事をして、席を立った。
「今日はお仕事はお休みするとハンジさんにLINEしておきました。」
部屋に戻って仕事の準備を始めようとした俺に、名前が言った。
頭の回転が鈍くなっていた俺は、その言葉の意味を理解するのに数秒の時間を要した。
そして、漸く理解して振り返ったときにはもう、名前を睨みつけていた。
「俺のスマホをどこにやった。」
「私が持ってます。」
「そんなことは分かってる。返せと言ってんだ。」
「リヴァイさん、昨日の夜…、ううん、今朝、帰ってきてお風呂場で倒れたんですよ。
その様子だと、それすら覚えてないんでしょう?」
「は・・・?」
本当に記憶になかった。
思い出そうとすると頭痛がして、俺は顔を顰めて額を押さえた。
すると、焦った様子で名前が駆け寄ってきて、俺に触れようとした。
「大丈夫ですか!?」
「触るな!!」
怒鳴りつけた俺は、名前の手を叩き落した。
痛かったはずだ。
でも、名前は痛みを感じるよりも先に、驚きで固まっていた。
「スマホを返せ。今すぐハンジに連絡する。」
「嫌です!今日は絶対に仕事には行かせません!」
低い声で、睨みつける俺に対して、名前は強気だった。
絶対に仕事には行かさないー。
そのセリフだけが頭の中で響いて、包丁を持ち出す直前に、仕事に行こうとした俺を引き留めたときのアンの声と重なった。
「スマホはもういい。
とにかく、仕事に行く準備をする。邪魔するな。」
無視をしようと決めて、俺は名前に背を向けた。
名前と睨み合いをしている時間すら惜しかった。
でも、名前はそれでも、俺の腕を掴んで必死に引き留めた。
「お願いです…!今日は休んで…!!」
振り返った俺は、ひどく冷たく名前を睨みつけた。
俺の腕を握りしめた名前の手がビクリと震えたのを感じたが、それでも、細く小さな手が離れることはなかった。
「睨まれても…、私は今日は負けませんよ…っ。
絶対に、リヴァイさんを家から出しません。
今日はちゃんと寝てもらいますからっ。」
「ふざけるな。放しやがれ。」
「嫌です…!絶対に仕事を休んでもらいます…!!
リヴァイさん、ちゃんと食事だってとってないでしょう?
今日は私もバイトを休んで、食事もちゃんと用意しますから。」
「…どうせ、気色悪い魔法とやらで、俺が女と別れた理由だって知ってんだろ。」
「…話を逸らさないでください。お願いです。仕事に行かないで。
これ以上、無理をしたら、死んじゃいます…っ。」
「あぁ、そうだ!!死んじまうんだよ!!」
俺は乱暴に腕を振り上げて、名前を投げ捨てた。
細く軽い身体はいとも容易く宙を舞うと、重たい音を立てて床に叩きつけられるように落ちた。
痛みに顔を顰めて、床に片肘をついて上半身だけなんとか身体を起こした名前を、俺は文字通り、親の仇を見る目で睨みつけて見下ろしていた。
「お前もアイツと一緒だな。俺を好きだとか言っておいて
俺のことなんか何も考えちゃいねぇ。」
「…お願いです。仕事には行かないでください…。」
「ヘラヘラ笑って、俺にこびへつらって、自分は昔の女とは違ぇと
見せつけたかったみてぇだが、結局、同じじゃねぇか。
自分が良けりゃ、それでいいのか。最低だな。」
「…っ。休んで欲しいんです…。今日、1日だけでも、いいです…。
身体と心を休ませてあげて…っ。」
倒れた格好のままで俺を見上げる名前は、大きな瞳に涙をいっぱいに溜めていた。
溢れそうなそれを必死に堪えようと、唇を噛むその姿が余計に、俺の感情を逆撫でていた。
母親の病のことで、休みを知らなかった俺の心と身体はこの時すでに、限界どころか壊れていたのだ。
そして、誰かを傷つけることで、そのストレスを発散しようとしていたのだと思う。
本当に、俺は最低だった。
もっと、もっとー。
名前を傷つけてやりたい、立ち上がれないくらいにズタズタに引き裂いてやりたい、とそう思ってしまったのだ。
そして俺は、名前を最も傷つける言葉を、誰よりも知っていた。
「他人の都合も考えねぇで勝手なことばっか言って、
物分かりの良いフリして、自分のことしか考えてねぇ。
俺は、お前みてぇな女が一番嫌いだ。」
「…っ。私は…っ。」
名前はそこまで言うと、一度言葉を切って、唇を噛んだ。
そして、溢れそうな涙を必死に堪えて、そして、また口を開いた。
「それでも、私は…っ、リヴァイさんを仕事には行かせません…!
大切なお仕事なのは、分かるけど、でも…っ。お仕事の都合より、
リヴァイさんの身体の方が大切だかー。」
「うるせぇな。俺に指図するんじゃねぇ。
少し優しくしてやったからって調子に乗りやがって。
いい機会だから、ずっと前から言いたかったことを言ってやる。」
俺はそう言うと、膝を曲げて屈みこんで、必死に涙を堪える名前と視線を合わせた。
そして、名前を傷つけるためだけの言葉を吐き捨てた。
「俺は、お前が大嫌いだ。死ぬほど、嫌いだ。
あのとき、お前になんか会わなければよかったと、心底思ってる。
クソみたいな魔法なんか、今すぐ解けて、お前なんか消えちまえばいい。」
鋭利に尖った声が、シンと静まり返った空気を冷たくした。
ゆっくりと名前の目が見開かれていくのを、俺はただジッと見ていた。
堪えることすら忘れられた大粒の涙が、ひとつ、零れてからは、あっという間だった。
幾つもの涙が、頬を伝っては落ちていく。
それを眺める俺は、支配欲が満たされて、ひどく満足していた。
正直、スッとした。
「契約違反だ。俺の邪魔をする女は必要ねぇ。
出てけ。顔も見たくねぇ。」
「…っ。」
唇を噛んで、一度目を伏せてから、名前は逃げるように立ち上がった。
そして、走って部屋に戻ると、いつも持っているバッグを持ってリビングに戻って来た。
「迷惑ばかりかけて、ごめんなさい…っ。お世話に、なりました…っ。」
泣きながら頭を下げた後、名前は逃げるように玄関へ走った。
扉が閉まる虚しい音も、アンが出て行った時と同じだった。
でも、あのときとは違ったのは、肩がひどく重たくなったことだ。
心が重たくて、苦しくて、痛かった。
恋人が出て行ったわけではない。
ただの迷惑な居候が、やっと出て行ってくれただけのはずだった。
名前を泣かせたのだって、俺がそう望んだからだ。
それなのにー。
俺は舌打ちをして、雑に頭を掻いた。
この世で最も君を傷つけた罪を償う為なら、何だってする。
それが、永遠に君を失うという罰なら、俺は受け入れるべきなのだろうか。
リヴァイさんが、お風呂場で倒れてしまった。
最近は忙しいのか、睡眠時間を削って朝から晩まで働き詰めだったの。
ここ2,3日は目も虚ろで、話しかけても上の空だった。
私、ちゃんと分かってたの。
休ませてあげなきゃいけないって…
このままじゃリヴァイさんが倒れてしまうかもしれないって、分かってたのに…
怖かったの。
仕事に行かないで休んでくれって言ってしまったら、リヴァイさんに嫌われてしまうんじゃないかって。
リヴァイさんのすることに口出しをしたらいけないって条件も出されてるから、この家にいられなくなるかもしれないと思ったの。
私、最低ね。
リヴァイさんのそばにいたいからって、自分のことばかりだった。
だから、リヴァイさんが倒れるまで、何も出来なかった…
でも、リヴァイさんの心と身体が壊れてしまうのを見てるだけなんて、もう出来ない…。
もしも、また朝早くにリヴァイさんが仕事に行こうとしたら、今度こそ、私は引き留める。
睨まれたって、怒鳴られたって、ウザがられたって、構わない。
嫌われたって、いい。
私は、絶対にリヴァイさんを仕事には行かさない。
ちゃんと休ませる。
そうしなきゃ、死んじゃうもの…
それなら、嫌われた方がいい。
追い出されて、二度と会えなくなる方が、ずっといい。