エピローグのその先~魔法使いとガラスの靴~
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喫茶店を出たヒッチとミーナは、少し歩いたところにある広めの公園にいた。
想像以上に美味しくて、ランチセットの後にパフェまで食べてしまったため、食後の運動でもしようかとやってきたのだが、結局、広場のベンチに座ってお喋りを始めていた。
休日ということもあってか、公園には、若い夫婦が小さな子供を連れて遊びに来ている姿が幾つもあった。
子供の頃は怖い場所というイメージでスラム街と呼ばれたこの街も、すっかり明るく豊かな場所になっていた。
「歩いた…!!リヴァイさん、見た!?
イザベルが歩いたよ!!」
「待て、イザベル!今じゃねぇ。待て、よく考えろ。
俺はまだ、カメラを構えてねぇ…!!」
驚くような大きな声がして、ヒッチもミーナも思わず声のした方を見てしまう。
急に騒ぎ出したのは、すぐ近くの大きな木の木陰でシートを敷いて美味しそうなお弁当を食べていた家族連れだった。
ふわりとした白いワンピースの柔らかい雰囲気の美人なママとメガネの似合うイケメンのパパ、そして、赤毛の目がクリクリした1歳にも満たないくらいの小さな女の子が可愛くて、家族連れの多い公園だけれど特に目を引いていた。
可愛い娘が初めて歩いたらしく、大袈裟に感激するママの隣で、パパはカメラを構えて連写している。
「なんかいいね。」
「そうだね。笑えるけど。」
ヒッチが正直すぎて、ミーナは思わずプッと吹き出してしまう。
初めて歩いた割には、ヨチヨチながらも上手にカメラに向かって歩いた女の子が、パパに抱きついた。
すると、パパが無言でギューッと抱きしめ返した。
感情表現が下手なのかもしれないけれど、多分彼は今、とても感激しているのだろう。
その証拠に、パパの横で、ママが感動して泣いている。
ヒッチの言う通り、笑える。
でも、幸せそうな素敵な家族だ。とても憧れる。
楽しそうに、定番のパパのとこへおいで、ママのとこへおいでを始めたのほほん家族を眺めていると、ヒッチのスマホが鳴った。
「珍しい、アニじゃん。」
「友達?」
「うん、高校の時の友達。去年デキ婚してから付き合い悪くなってたのよね~。
ちょっと出ていい?」
「いいよ。」
ミーナが頷くと、ヒッチは応答ボタンを押してスマホを耳にあてた。
「もしもし~、超久しぶりじゃん!死んでんのかと思ってたわ!」
≪当たり。死んでた。0歳の体力はなめない方がいい。≫
「ハハッ、あんたもすっかりママしてんのね!」
ヒッチが可笑しそうに笑った。
無言になったスマホの向こうから、イラッとしたのが伝わってきて、ヒッチの笑い声を大きくした。
「それで、何か用?」
≪今度の高校の同窓会のはがき送ったのにヒッチから返事がないって
あたしのとこに連絡が来た。≫
「あ~、ごめんごめん。返事出すの忘れてたわ。行く行く!
あんたも行くでしょ?ていうか来なさいよ。」
≪ママ友に子供見てもらえるようにお願いしてある。≫
「へぇ、珍しい。子供いるからいけないとか言うのかと思ってたわ。」
≪たまには子供から離れたい。≫
「そういうわけね。」
ヒッチはまた可笑しそうに笑った。
久しぶりの友人からの連絡が嬉しかったヒッチは、話題を変えて話を続けた。
「ねぇ、あんたは昨日のドラマ見た?
魔法使いとガラスの靴。」
≪あ~…見てない。見てたから。≫
「はぁ?何それ。」
答えになっていない答えに、ヒッチは眉を顰めた。
スマホの向こうにいる友人は、昔から人とのコミュニケーションが下手だ。
会話が成り立たないこともよくあったけれど、今のは過去と比べてもダントツに意味が分からなかった。
≪リアルタイムで見てた。≫
「ドラマを?」
≪違う。≫
「じゃあ、何よ。意味わかんないんだけど。」
≪昨日のドラマの主人公の元になったの私の友達。≫
「はッ!?」
≪魔法使いとくっついたり離れたりすんのを生で見てた。≫
「はぁッ!?何それ!?どういうこと!?聞いてないし!!」
≪同窓会の日に子供預かってもらうママ友もその友達。≫
「早く言ってよ、それ!!紹介して!!紹介しなさい!!」
≪あ、子供が泣き出した。腹減ったっぽい。じゃ。≫
「ちょ…、ちょっと、待って!!待ちなさいって!!!」
思わず立ち上がって、ヒッチが叫んだ。
だが、耳に届くのは、ツー、ツー、という虚しい機械音で、呆然と立ち尽くす。
今度はママの方へヨチヨチ歩こうとしていた女の子が、ヒッチを見て面白そうに笑っていた。
想像以上に美味しくて、ランチセットの後にパフェまで食べてしまったため、食後の運動でもしようかとやってきたのだが、結局、広場のベンチに座ってお喋りを始めていた。
休日ということもあってか、公園には、若い夫婦が小さな子供を連れて遊びに来ている姿が幾つもあった。
子供の頃は怖い場所というイメージでスラム街と呼ばれたこの街も、すっかり明るく豊かな場所になっていた。
「歩いた…!!リヴァイさん、見た!?
イザベルが歩いたよ!!」
「待て、イザベル!今じゃねぇ。待て、よく考えろ。
俺はまだ、カメラを構えてねぇ…!!」
驚くような大きな声がして、ヒッチもミーナも思わず声のした方を見てしまう。
急に騒ぎ出したのは、すぐ近くの大きな木の木陰でシートを敷いて美味しそうなお弁当を食べていた家族連れだった。
ふわりとした白いワンピースの柔らかい雰囲気の美人なママとメガネの似合うイケメンのパパ、そして、赤毛の目がクリクリした1歳にも満たないくらいの小さな女の子が可愛くて、家族連れの多い公園だけれど特に目を引いていた。
可愛い娘が初めて歩いたらしく、大袈裟に感激するママの隣で、パパはカメラを構えて連写している。
「なんかいいね。」
「そうだね。笑えるけど。」
ヒッチが正直すぎて、ミーナは思わずプッと吹き出してしまう。
初めて歩いた割には、ヨチヨチながらも上手にカメラに向かって歩いた女の子が、パパに抱きついた。
すると、パパが無言でギューッと抱きしめ返した。
感情表現が下手なのかもしれないけれど、多分彼は今、とても感激しているのだろう。
その証拠に、パパの横で、ママが感動して泣いている。
ヒッチの言う通り、笑える。
でも、幸せそうな素敵な家族だ。とても憧れる。
楽しそうに、定番のパパのとこへおいで、ママのとこへおいでを始めたのほほん家族を眺めていると、ヒッチのスマホが鳴った。
「珍しい、アニじゃん。」
「友達?」
「うん、高校の時の友達。去年デキ婚してから付き合い悪くなってたのよね~。
ちょっと出ていい?」
「いいよ。」
ミーナが頷くと、ヒッチは応答ボタンを押してスマホを耳にあてた。
「もしもし~、超久しぶりじゃん!死んでんのかと思ってたわ!」
≪当たり。死んでた。0歳の体力はなめない方がいい。≫
「ハハッ、あんたもすっかりママしてんのね!」
ヒッチが可笑しそうに笑った。
無言になったスマホの向こうから、イラッとしたのが伝わってきて、ヒッチの笑い声を大きくした。
「それで、何か用?」
≪今度の高校の同窓会のはがき送ったのにヒッチから返事がないって
あたしのとこに連絡が来た。≫
「あ~、ごめんごめん。返事出すの忘れてたわ。行く行く!
あんたも行くでしょ?ていうか来なさいよ。」
≪ママ友に子供見てもらえるようにお願いしてある。≫
「へぇ、珍しい。子供いるからいけないとか言うのかと思ってたわ。」
≪たまには子供から離れたい。≫
「そういうわけね。」
ヒッチはまた可笑しそうに笑った。
久しぶりの友人からの連絡が嬉しかったヒッチは、話題を変えて話を続けた。
「ねぇ、あんたは昨日のドラマ見た?
魔法使いとガラスの靴。」
≪あ~…見てない。見てたから。≫
「はぁ?何それ。」
答えになっていない答えに、ヒッチは眉を顰めた。
スマホの向こうにいる友人は、昔から人とのコミュニケーションが下手だ。
会話が成り立たないこともよくあったけれど、今のは過去と比べてもダントツに意味が分からなかった。
≪リアルタイムで見てた。≫
「ドラマを?」
≪違う。≫
「じゃあ、何よ。意味わかんないんだけど。」
≪昨日のドラマの主人公の元になったの私の友達。≫
「はッ!?」
≪魔法使いとくっついたり離れたりすんのを生で見てた。≫
「はぁッ!?何それ!?どういうこと!?聞いてないし!!」
≪同窓会の日に子供預かってもらうママ友もその友達。≫
「早く言ってよ、それ!!紹介して!!紹介しなさい!!」
≪あ、子供が泣き出した。腹減ったっぽい。じゃ。≫
「ちょ…、ちょっと、待って!!待ちなさいって!!!」
思わず立ち上がって、ヒッチが叫んだ。
だが、耳に届くのは、ツー、ツー、という虚しい機械音で、呆然と立ち尽くす。
今度はママの方へヨチヨチ歩こうとしていた女の子が、ヒッチを見て面白そうに笑っていた。
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