◇81ページ◇魔法のお城
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お城の中はホテルのロビーになっていた。
冬季だけ期間限定で営業しているホテルなのだそうだ。
ロビーで休んでいた宿泊客が、ウェディングドレス姿で現れた私に気づいて注目を浴びてしまった。
ルームキーは小瓶だからというヒストリアに手を引かれ、エレベーターに乗って最上階までやって来た。
赤い絨毯が敷かれている高級感あふれる廊下を進むと、奥の部屋の前に白いタキシード姿の長身の男の人が立っていて、私達を見つけて小さく手を上げた。
知り合いなのだろうか。
「ファーランさん!馬と元ネズミ達が無事にシンデレラを連れてきました!!」
ヒストリアが嬉しそうに言った。
「ご苦労様。」
ファーランと呼ばれた男の人が苦笑しながら言った。
「そっか、ウェディングドレス姿なんだな。
こんな綺麗な花嫁を手放さなきゃいけなかったなんて王子が不憫だよ。」
「ファーランさんっ!」
「悪い、悪い。アイツに奪われちまうのが勿体ねぇくらい綺麗だなと思ってさ。
で、この部屋の鍵は持ってきたかな?」
「えっと…、これ、でいいんですか?」
ファーランに訊ねられて、私は躊躇いがちにユミルから渡された小瓶を見せた。
「それでオッケー。
ヒストリア、名前にその薬の注意事項は伝えたか?」
「あ、忘れてました…っ。」
ハッとした顔をしたヒストリアが、私の方を向いた。
「その小瓶ね、魔法の薬が入ってるの。」
「魔法の薬?」
「そう。だから、その小瓶を持ってこの扉を開けたら、
記憶がすべて戻ってしまうの。きっと、辛い記憶もあると思う。
後悔して傷つくこともたくさんあるかもしれない。大丈夫?」
ヒストリアが、とても真剣な瞳で私を見つめる。
小瓶を握る手に思わずギュッと力がこもった。
記憶が戻るなんて思ってもいなかったけれど、私は何でも受け止める覚悟をしてここまで来た。
だから、答えは決まってる。
「リヴァイさんに会えないこと以上にツラいことなんてないよ。」
「ふふ、名前ならそう言うと思ってた。
昔から、魔法使いさんが大好きだったもんね。」
変わってなくて良かったー。
ヒストリアはひどく嬉しそうに頬を緩めた。
「じゃあ、ファーランさん。よろしくお願いします。」
「了解。」
ファーランさんが、ルームキーで鍵をあけた。
カチャリと音がして、ゆっくりと扉が開いていく。
あぁ、この先に、魔法使いさんが待っている。
ずっと、会いたいと焦がれていたリヴァイさんがー。
扉の向こうは魔法の世界に違いないの
だって、そこに貴方がいるだけですべてが輝いて見えるから
冬季だけ期間限定で営業しているホテルなのだそうだ。
ロビーで休んでいた宿泊客が、ウェディングドレス姿で現れた私に気づいて注目を浴びてしまった。
ルームキーは小瓶だからというヒストリアに手を引かれ、エレベーターに乗って最上階までやって来た。
赤い絨毯が敷かれている高級感あふれる廊下を進むと、奥の部屋の前に白いタキシード姿の長身の男の人が立っていて、私達を見つけて小さく手を上げた。
知り合いなのだろうか。
「ファーランさん!馬と元ネズミ達が無事にシンデレラを連れてきました!!」
ヒストリアが嬉しそうに言った。
「ご苦労様。」
ファーランと呼ばれた男の人が苦笑しながら言った。
「そっか、ウェディングドレス姿なんだな。
こんな綺麗な花嫁を手放さなきゃいけなかったなんて王子が不憫だよ。」
「ファーランさんっ!」
「悪い、悪い。アイツに奪われちまうのが勿体ねぇくらい綺麗だなと思ってさ。
で、この部屋の鍵は持ってきたかな?」
「えっと…、これ、でいいんですか?」
ファーランに訊ねられて、私は躊躇いがちにユミルから渡された小瓶を見せた。
「それでオッケー。
ヒストリア、名前にその薬の注意事項は伝えたか?」
「あ、忘れてました…っ。」
ハッとした顔をしたヒストリアが、私の方を向いた。
「その小瓶ね、魔法の薬が入ってるの。」
「魔法の薬?」
「そう。だから、その小瓶を持ってこの扉を開けたら、
記憶がすべて戻ってしまうの。きっと、辛い記憶もあると思う。
後悔して傷つくこともたくさんあるかもしれない。大丈夫?」
ヒストリアが、とても真剣な瞳で私を見つめる。
小瓶を握る手に思わずギュッと力がこもった。
記憶が戻るなんて思ってもいなかったけれど、私は何でも受け止める覚悟をしてここまで来た。
だから、答えは決まってる。
「リヴァイさんに会えないこと以上にツラいことなんてないよ。」
「ふふ、名前ならそう言うと思ってた。
昔から、魔法使いさんが大好きだったもんね。」
変わってなくて良かったー。
ヒストリアはひどく嬉しそうに頬を緩めた。
「じゃあ、ファーランさん。よろしくお願いします。」
「了解。」
ファーランさんが、ルームキーで鍵をあけた。
カチャリと音がして、ゆっくりと扉が開いていく。
あぁ、この先に、魔法使いさんが待っている。
ずっと、会いたいと焦がれていたリヴァイさんがー。
扉の向こうは魔法の世界に違いないの
だって、そこに貴方がいるだけですべてが輝いて見えるから