◇56ページ◇母と叔父
Name change
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懐かしいガラの悪い街に帰ってきて数日が経った。
街を案内して欲しいという名前のリクエストで、比較的治安の良い場所だけを選んで散歩をした。
俺が生まれ育った街だとハシャぎながら、名前が楽しそうに笑うその道が、いつもとは違って見えた。
キラキラと輝いて、この街はこんなに明るかったかと目を疑ったくらいだ。
そして最終日の朝、俺と名前は荷物を抱えて家を出た。
見送りに出てきたケニーと母は、俺というよりも、名前と離れるのを寂しがっているようだった。
「お世話になりましたっ。とても楽しかったですっ。
ありがとうございましたっ。」
名前が笑顔で言った。
実家に来たときの堅苦しいお辞儀や言葉遣いはなくなっていて、この数日で、恋人としての俺の母と叔父と打ち解けてくれたようだった。
「私達もとっても楽しかったわ。ねぇ、ケニー。」
「あぁ、名前がいると面白ぇリヴァイが見られるから、最高だぜ。
またいつでも遊びに来やがれ。」
「はい!是非!!」
ケニーの意地の悪い笑みは気になったが、名前はとても嬉しそうにしていた。
「リヴァイ、名前ちゃんをしっかり守ってあげるのよ?
泣かせちゃダメよ。」
「分かってる。」
面倒くさそうに答えたが、母は満足したような笑みを浮かべていた。
なによりも、名前のことを気に入っていた母は、俺が名前と恋人になったことが嬉しくて仕方がない様子だった。
「じゃあ、もう帰る。またな。」
「また遊びに来させてください。ありがとうございました。」
もう一度、頭を下げた名前の手を引いて、俺と名前は、車をとめてある喫茶店の駐車場へ向かった。
「私、生きてきた中で今が一番幸せです。」
手を繋いで、俺の肩に寄り掛かりながら、名前が呟くように言った。
愛おしい名前の耳元で、俺もだと囁けば、分かりやすいくらいに頬が染まった。
今でも、あのときの「今」を超える幸せは、俺には訪れていない。
それは、寄り添う俺と名前の背中をずっと見送っていた母とケニーも知っていることだ。
俺にとっての不幸と幸せを
優しい君は勘違いしていたんだね
いつかの別れを覚悟しながら、リヴァイさんのそばにいたときよりも今の方が怖いよ。
魔法が解けてしまうのが、怖いよ。
幸せ過ぎるの。
一番怖いのは、私がリヴァイさんを不幸にしてしまうこと。
それだけは、絶対に嫌よ。
幸せだと言った私に、俺もだと囁いてくれた優しい声が、いつまでも安心したように笑ってくれますように。
ほんの少しの悲しみも、その声に乗せて欲しくないの。
街を案内して欲しいという名前のリクエストで、比較的治安の良い場所だけを選んで散歩をした。
俺が生まれ育った街だとハシャぎながら、名前が楽しそうに笑うその道が、いつもとは違って見えた。
キラキラと輝いて、この街はこんなに明るかったかと目を疑ったくらいだ。
そして最終日の朝、俺と名前は荷物を抱えて家を出た。
見送りに出てきたケニーと母は、俺というよりも、名前と離れるのを寂しがっているようだった。
「お世話になりましたっ。とても楽しかったですっ。
ありがとうございましたっ。」
名前が笑顔で言った。
実家に来たときの堅苦しいお辞儀や言葉遣いはなくなっていて、この数日で、恋人としての俺の母と叔父と打ち解けてくれたようだった。
「私達もとっても楽しかったわ。ねぇ、ケニー。」
「あぁ、名前がいると面白ぇリヴァイが見られるから、最高だぜ。
またいつでも遊びに来やがれ。」
「はい!是非!!」
ケニーの意地の悪い笑みは気になったが、名前はとても嬉しそうにしていた。
「リヴァイ、名前ちゃんをしっかり守ってあげるのよ?
泣かせちゃダメよ。」
「分かってる。」
面倒くさそうに答えたが、母は満足したような笑みを浮かべていた。
なによりも、名前のことを気に入っていた母は、俺が名前と恋人になったことが嬉しくて仕方がない様子だった。
「じゃあ、もう帰る。またな。」
「また遊びに来させてください。ありがとうございました。」
もう一度、頭を下げた名前の手を引いて、俺と名前は、車をとめてある喫茶店の駐車場へ向かった。
「私、生きてきた中で今が一番幸せです。」
手を繋いで、俺の肩に寄り掛かりながら、名前が呟くように言った。
愛おしい名前の耳元で、俺もだと囁けば、分かりやすいくらいに頬が染まった。
今でも、あのときの「今」を超える幸せは、俺には訪れていない。
それは、寄り添う俺と名前の背中をずっと見送っていた母とケニーも知っていることだ。
俺にとっての不幸と幸せを
優しい君は勘違いしていたんだね
いつかの別れを覚悟しながら、リヴァイさんのそばにいたときよりも今の方が怖いよ。
魔法が解けてしまうのが、怖いよ。
幸せ過ぎるの。
一番怖いのは、私がリヴァイさんを不幸にしてしまうこと。
それだけは、絶対に嫌よ。
幸せだと言った私に、俺もだと囁いてくれた優しい声が、いつまでも安心したように笑ってくれますように。
ほんの少しの悲しみも、その声に乗せて欲しくないの。