◇55ページ◇実家
Name change
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俺の部屋に案内すれば、名前はとても感激していた。
何の変哲もないどころか、何も無いつまらない部屋だ。でも、そこで俺が青春を過ごしたのなら、ここは自分にとって聖地だとかなんだとか言ってハシャぐ名前はまるで、好きなアイドルの家に思いがけずやって来たファンのようだった。
久しぶりに入った部屋は埃っぽくて、掃除をしたい衝動にかられたが、そこはぐっと堪えて1階におりると、リビングのテーブルの上には、豪華なおせち料理が所狭しと並んでいた。
「さぁ、遠慮せずに召し上がれ。」
俺と名前が並んで腰を降ろすと、母が嬉しそうにおせち料理を勧めて来た。
全て手作りだというそれは、とても気合を入れて作ったようだった。
子供の頃は母が毎年、おせちを手作りしてくれていたけれど、こんなに豪華だったのは、初めてだ。
あの頃は、おせちにかけるお金がなかったという理由もあるだろうが、今回に限っては、名前のために振舞われたものだと思う。
だって、重箱のところどころで見覚えのあるキャラクターが笑っていた。
キャラ弁というものを初めて見たから、驚いた。
可愛いおせちで喜ばせようと思ったのだろうが、一体、母は名前のことを幾つだと思っているのだろうか。
そう思ったけれど、名前は「可愛い!可愛い!」と目をキラキラさせてハシャいでいて、母の作戦は大成功したようだったから、まぁいい。
「どうしよう、クシェルさん。食べるのが勿体な過ぎます。」
箸を持ったままで、名前が困ったように眉尻を下げた。
それがまた母を喜ばせた。
「ふふ、嬉しいわ。でも、名前ちゃんのために作ったんだから、
遠慮しないで食べてね。私がお皿に盛ってあげるわ。」
嬉しそうに頬を緩めながら、母は取り皿におせちを盛りだした。
ミッキーの顔を箸でまっ二つに割ったときは、小さな悲鳴を上げて顔を真っ青にした名前の隣で俺もさすがに驚いた。
でも、母はそう言う人間だ。
笑顔でとんでもないことをすることが、昔からよくある。
それを知っているケニーが、可笑しそうに笑った。
こんな風に、家族で笑って正月を過ごすのなんて何年振りだろうか。
楽しそうにお喋りをしながらおせちを食べる、母やケニー、名前を眺めながら、俺は幸せを感じていた。
こんな風に日々を過ごして、いつか本当の家族として名前が俺達と笑い合えていたらそんなに嬉しいことはない。
「それで、名前ちゃんはリヴァイの恋人になってくれたってことでいいのかしら?」
おせち料理がほとんどなくなりかけた頃、母が名前に訊ねた。
聞かれることもなかったからわざわざ報告もしていなかったが、気になっていたようだ。
ケニーも酒を飲んでいるフリをしながら、視線を名前に向けていた。
返事に困った名前が俺を見た。
「別に隠すことじゃねぇ。」
俺の返事を聞いた途端、名前は表情をパァッと明るくさせた。
そして、母の方を向いて答えた。
「はい!両想いになれました!!永遠の片想いから、
リヴァイさんが好きでいてくれる限りずーっと両想いになりました!!」
名前が楽しそうに答えた。
それを聞いた母はとても嬉しそうに頬を緩めたし、ケニーは下手くそに口の端を上げて酒を喉の奥に流し込んでいた。
家族と名前が笑い合っている。
その光景を、これからもずっと見ていられたらー。
そんなことを、俺は本気で考えていた。
君が心から笑っていますように
それなら俺は、喜んで身を引くよ
日記さん、なんとね、私!
リヴァイさんのご実家に行ってきたのよ!
喫茶店をしてるって聞いていたから、それも楽しみだったの。
想像以上に可愛い喫茶店で、一目惚れしちゃった。
近かったら通っちゃいたいくらい。
クシェルさんもケニーさんも、恋人になった私のことを快く受け入れてくれて、本当に嬉しかった。
お嫁さんになれたらこんな感じかな、なんて想像しちゃった。
そんな日は来るかな?
魔法が解けなかったら、いつかそんな日は来る?
でも今は、ただ、魔法が解けないことを願ってる。
何の変哲もないどころか、何も無いつまらない部屋だ。でも、そこで俺が青春を過ごしたのなら、ここは自分にとって聖地だとかなんだとか言ってハシャぐ名前はまるで、好きなアイドルの家に思いがけずやって来たファンのようだった。
久しぶりに入った部屋は埃っぽくて、掃除をしたい衝動にかられたが、そこはぐっと堪えて1階におりると、リビングのテーブルの上には、豪華なおせち料理が所狭しと並んでいた。
「さぁ、遠慮せずに召し上がれ。」
俺と名前が並んで腰を降ろすと、母が嬉しそうにおせち料理を勧めて来た。
全て手作りだというそれは、とても気合を入れて作ったようだった。
子供の頃は母が毎年、おせちを手作りしてくれていたけれど、こんなに豪華だったのは、初めてだ。
あの頃は、おせちにかけるお金がなかったという理由もあるだろうが、今回に限っては、名前のために振舞われたものだと思う。
だって、重箱のところどころで見覚えのあるキャラクターが笑っていた。
キャラ弁というものを初めて見たから、驚いた。
可愛いおせちで喜ばせようと思ったのだろうが、一体、母は名前のことを幾つだと思っているのだろうか。
そう思ったけれど、名前は「可愛い!可愛い!」と目をキラキラさせてハシャいでいて、母の作戦は大成功したようだったから、まぁいい。
「どうしよう、クシェルさん。食べるのが勿体な過ぎます。」
箸を持ったままで、名前が困ったように眉尻を下げた。
それがまた母を喜ばせた。
「ふふ、嬉しいわ。でも、名前ちゃんのために作ったんだから、
遠慮しないで食べてね。私がお皿に盛ってあげるわ。」
嬉しそうに頬を緩めながら、母は取り皿におせちを盛りだした。
ミッキーの顔を箸でまっ二つに割ったときは、小さな悲鳴を上げて顔を真っ青にした名前の隣で俺もさすがに驚いた。
でも、母はそう言う人間だ。
笑顔でとんでもないことをすることが、昔からよくある。
それを知っているケニーが、可笑しそうに笑った。
こんな風に、家族で笑って正月を過ごすのなんて何年振りだろうか。
楽しそうにお喋りをしながらおせちを食べる、母やケニー、名前を眺めながら、俺は幸せを感じていた。
こんな風に日々を過ごして、いつか本当の家族として名前が俺達と笑い合えていたらそんなに嬉しいことはない。
「それで、名前ちゃんはリヴァイの恋人になってくれたってことでいいのかしら?」
おせち料理がほとんどなくなりかけた頃、母が名前に訊ねた。
聞かれることもなかったからわざわざ報告もしていなかったが、気になっていたようだ。
ケニーも酒を飲んでいるフリをしながら、視線を名前に向けていた。
返事に困った名前が俺を見た。
「別に隠すことじゃねぇ。」
俺の返事を聞いた途端、名前は表情をパァッと明るくさせた。
そして、母の方を向いて答えた。
「はい!両想いになれました!!永遠の片想いから、
リヴァイさんが好きでいてくれる限りずーっと両想いになりました!!」
名前が楽しそうに答えた。
それを聞いた母はとても嬉しそうに頬を緩めたし、ケニーは下手くそに口の端を上げて酒を喉の奥に流し込んでいた。
家族と名前が笑い合っている。
その光景を、これからもずっと見ていられたらー。
そんなことを、俺は本気で考えていた。
君が心から笑っていますように
それなら俺は、喜んで身を引くよ
日記さん、なんとね、私!
リヴァイさんのご実家に行ってきたのよ!
喫茶店をしてるって聞いていたから、それも楽しみだったの。
想像以上に可愛い喫茶店で、一目惚れしちゃった。
近かったら通っちゃいたいくらい。
クシェルさんもケニーさんも、恋人になった私のことを快く受け入れてくれて、本当に嬉しかった。
お嫁さんになれたらこんな感じかな、なんて想像しちゃった。
そんな日は来るかな?
魔法が解けなかったら、いつかそんな日は来る?
でも今は、ただ、魔法が解けないことを願ってる。