◇63ページ◇少女(1)
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重たい足をなんとか交互に持ち上げて、俺は屋上へ続く階段を上っていた。
仮眠をしようとしていたところに、嫌な予感を働かせたナイルがやってきて、ネチネチと説教を始めたせいだ。
要するに「俺の出世の邪魔をする気か。今すぐお嬢様を探し出せ。」ということが言いたかったらしかった。
説教を聞くのも面倒になって、すぐに探しに行くと適当に言って仮眠室を出た俺は、寝るのは諦めて遅すぎる昼飯をとることにした。
売店でパンとペットボトルの紅茶を買ったのはいいが、院内のカフェテリアで普通に食べていたら、またナイルに見つかってしまいそうだから、屋上に逃げて来たというわけだ。
重たい鉄の扉を身体全体で押して開けると、洗濯して干された白いシーツが、整然と並んでいた。
太陽の光に照らされ、真っ白く光りながら、風に吹かれてユラユラと揺れているその光景は圧巻だった。
シーツの波の間を縫うよう歩いていると、数メートル先にあるシーツの下の辺りに足が見えた。
地面の上に投げ出すように転がっているそれは、どう見ても小さな子供の足だった。
すぐにナイルが言っていたどこかの偉い茶道の家元のお嬢様のことを思い出した。
確か、ファーランからは小学5年生だと聞いたが、まさにそれくらいのサイズ感だ。
命令を無視してこっそりサボろうとしていたはずなのに、他の研修医達が血眼になって探している出世の道具を俺が見つけてしまったかもしれなかった。
「マジか…。」
全く嬉しくなくて、俺からは残念過ぎる声が漏れた。
でも、無視することもできない。
どうやって関係者以外立ち入り禁止の屋上に上がれたかは知らないが、白いシーツが揺れる中での昼寝はさぞかし気持ちがいいだろう。
チッと舌打ちをして、俺は子供の足が見えている方へと向かった。
シーツの波を抜けると、少女が横を向いて眠っていた。
病衣ではなく、上下ともに小花柄の女の子らしいパジャマ姿だった。
まだ赤ん坊のような透き通るような白い肌は、太陽の光を浴びて少しだけ赤くなっていた。
ファーランは検査入院だと言っていたが、こんなところで寝ていたら、体調を崩して本当に入院治療が必要になってしまう。
「おい、起きやがれ。
お前のせいで、俺は寝れなかったってのに、
お前だけ気持ちよさそうに寝てんじゃねぇ。」
俺は、声をかけながら少女の肩を揺すった。
だが、少女はうんともすんとも反応しない。
ため息を吐いて、俺は少し乱暴に肩を揺すった。
「おいっ、起きろっ。」
乱暴に肩を揺すったとき、少女の腹の辺りから何かが落ちた。
カラカラと転がって行ったのは、薬を入れる瓶のようだった。
眠りながら、少女が持っていたのかもしれない。
(薬?検査入院じゃなかったのか。)
転がった瓶を拾い上げて、俺は首を傾げた。
瓶の中には数粒の錠剤が残っているだけだった。
よく見れば、眠る少女の腹の辺りに数個の錠剤が散らばっていた。
「・・・・は?」
瓶に書いてある薬品名を確認した俺は、目を疑った。
それは、睡眠薬だった。
しかも、効き目の強いタイプのもので、普通は子供に処方することはない。
まさか、この薬を大量に服用してしまったのか。
「マジか…。」
俺は、眠っている少女の頬を叩いてみた。反応はない。
首に触れて脈を計ってみると、脈拍はしっかりしていた。
でも、この睡眠薬を大量に服用してしまったというのなら、このままではマズい。
今すぐに吐かせなければー。
俺は少女の身体を持ち上げた。
仮眠をしようとしていたところに、嫌な予感を働かせたナイルがやってきて、ネチネチと説教を始めたせいだ。
要するに「俺の出世の邪魔をする気か。今すぐお嬢様を探し出せ。」ということが言いたかったらしかった。
説教を聞くのも面倒になって、すぐに探しに行くと適当に言って仮眠室を出た俺は、寝るのは諦めて遅すぎる昼飯をとることにした。
売店でパンとペットボトルの紅茶を買ったのはいいが、院内のカフェテリアで普通に食べていたら、またナイルに見つかってしまいそうだから、屋上に逃げて来たというわけだ。
重たい鉄の扉を身体全体で押して開けると、洗濯して干された白いシーツが、整然と並んでいた。
太陽の光に照らされ、真っ白く光りながら、風に吹かれてユラユラと揺れているその光景は圧巻だった。
シーツの波の間を縫うよう歩いていると、数メートル先にあるシーツの下の辺りに足が見えた。
地面の上に投げ出すように転がっているそれは、どう見ても小さな子供の足だった。
すぐにナイルが言っていたどこかの偉い茶道の家元のお嬢様のことを思い出した。
確か、ファーランからは小学5年生だと聞いたが、まさにそれくらいのサイズ感だ。
命令を無視してこっそりサボろうとしていたはずなのに、他の研修医達が血眼になって探している出世の道具を俺が見つけてしまったかもしれなかった。
「マジか…。」
全く嬉しくなくて、俺からは残念過ぎる声が漏れた。
でも、無視することもできない。
どうやって関係者以外立ち入り禁止の屋上に上がれたかは知らないが、白いシーツが揺れる中での昼寝はさぞかし気持ちがいいだろう。
チッと舌打ちをして、俺は子供の足が見えている方へと向かった。
シーツの波を抜けると、少女が横を向いて眠っていた。
病衣ではなく、上下ともに小花柄の女の子らしいパジャマ姿だった。
まだ赤ん坊のような透き通るような白い肌は、太陽の光を浴びて少しだけ赤くなっていた。
ファーランは検査入院だと言っていたが、こんなところで寝ていたら、体調を崩して本当に入院治療が必要になってしまう。
「おい、起きやがれ。
お前のせいで、俺は寝れなかったってのに、
お前だけ気持ちよさそうに寝てんじゃねぇ。」
俺は、声をかけながら少女の肩を揺すった。
だが、少女はうんともすんとも反応しない。
ため息を吐いて、俺は少し乱暴に肩を揺すった。
「おいっ、起きろっ。」
乱暴に肩を揺すったとき、少女の腹の辺りから何かが落ちた。
カラカラと転がって行ったのは、薬を入れる瓶のようだった。
眠りながら、少女が持っていたのかもしれない。
(薬?検査入院じゃなかったのか。)
転がった瓶を拾い上げて、俺は首を傾げた。
瓶の中には数粒の錠剤が残っているだけだった。
よく見れば、眠る少女の腹の辺りに数個の錠剤が散らばっていた。
「・・・・は?」
瓶に書いてある薬品名を確認した俺は、目を疑った。
それは、睡眠薬だった。
しかも、効き目の強いタイプのもので、普通は子供に処方することはない。
まさか、この薬を大量に服用してしまったのか。
「マジか…。」
俺は、眠っている少女の頬を叩いてみた。反応はない。
首に触れて脈を計ってみると、脈拍はしっかりしていた。
でも、この睡眠薬を大量に服用してしまったというのなら、このままではマズい。
今すぐに吐かせなければー。
俺は少女の身体を持ち上げた。