◇8ページ◇仔犬
Name change
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面倒だと思ったが、結局、俺はハンジの誘いに乗っていつもの居酒屋で馴染みのメンバーと酒を呑んでいた。
家では名前が夕食を作って待っているのは分かっていたけれど、連絡はしていない。
名前に連絡をする手段を持っていないし、勝手に部屋に上がり込んできたくせに名前は連絡先を教えて欲しいとは言わなかった。
でも、もしも、連絡先を交換していたとしても、俺は連絡を入れなかったはずだ。
たぶん、俺は知りたかったのだ。
お試し恋人だと自分のことを呼ぶ女が、連絡もなく俺が酒を呑みに行って遅く帰ってきたら、どんな反応をするのかー。
その反応によっては、プライベートに口出しをしないという契約違反だと追い出すことだって出来る。
帰りを待っている名前には悪いが、俺にとってはメリットしかなかった。
「それで、リヴァイ。この前言ってた問題は解決したのかい?」
店員が持ってきたばかりの唐揚げにレモンを絞りながら、ハンジが俺に訊ねた。
何の話だったか、と一瞬だけ考えてすぐに思い出した。
そういえば、名前が家にやって来た日、問題の解決がどうのと話した気がする。
「まぁ、とりあえずの解決策は出た。」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
モブリットが心配そうに訊ねてくる。
俺の知り合いで一番の酒飲みだが、今日はまだそれほど飲んでいる印象はなかった。
前回、酒を呑みすぎて、街のゴミ捨て場で寝てしまったのを気にしているのだろう。
今夜は、酔っぱらって絡み酒になったモブリットをゴミ捨て場に投げ捨てなくて済むと思うと、俺も嬉しい。
「たいしたことじゃねぇよ。」
「そうかな?あの日のリヴァイは朝からソワソワしてて
とても様子がおかしかったよ。私も何があったか知りたいな。」
唐揚げを頬張りながら、ハンジが訊ねた。
一度、気になることが出来たら、それがハッキリするまで調べないと気が済まない性格は、長い付き合いで承知している。
ここで、何でもないと繰り返したとしても、俺が話すまで質問は続くに決まっているのだ。
面倒くさいと思いながらも、心の中だけでチッと舌打ちをして、俺は適当に話した。
「キャンキャンうるせぇ仔犬に懐かれちまったんだよ」
「仔犬?」
「あぁ、死にかけてんのを思わず助けちまったら、親かなんかだと勘違いしたらしい。
あの日は追いだして捨てるつもりだったが、とりあえずは、害もねぇし置いてやってる。」
「じゃあ、今、リヴァイさんの家に仔犬ちゃんがいるってことですかっ?」
食いついてきたのは、ニファだった。
キラキラさせている目が、名前と重なった。
「いるだろうな。」
「仔犬が家にいるのに、酒を呑みに来ても大丈夫だったんすか?
ほら、餌とか…。よく分からねぇっすけど。」
ケイジがそう言えば、ハンジ達も仔犬の心配を始め出した。
犬好きらしいニファなんて、世話も出来ないくせに仔犬を飼うなと怒り出し、説教のようなものまで受けてしまう始末だった。
「問題ねぇ。自分の飯の準備くらい自分で出来る。」
「仔犬が?餌置いてきたってこと?」
「…まぁ、そんなもんだ。」
「産まれたての仔犬なんですか?」
「いや、たぶん、違ぇな。頭の中は赤ん坊みてぇだが。」
「2か月くらいとか?」
「…さぁ、3歳よりは上らしい。」
「それ、仔犬じゃないよ、リヴァイ。」
ハンジに冷静につっこまれた。
まぁ、犬なら3歳はもうそれなりに大人だろう。
そうか。名前は3歳の犬よりもガキだったのか。
それからも、俺の家にいる仔犬の話でハンジ達は盛り上がりだした。
主に、俺という冷酷そうな人間が動物を飼うということもイメージ外だし、俺に懐く物好きな犬がいるなんてー、というひたすら失礼な盛り上がり方だ。
だが、とりあえずは誤魔化すのに成功したようで、俺は適当に相槌を打ちながら酒とつまみを口に運び続けた。
そうしていると、ふ、とニファが思い出したように俺に訊ねて来た。
「そういえば、何犬なんですか?」
「何犬?」
「犬の種類ですよ。柴犬とかミニチュアダックスとかあるでしょう?」
「あ~…チワワ系じゃねぇのか?」
「系ってなんですか、それ。」
ニファが可笑しそうにクスクスと笑う。
「チワワ系かぁ~。あ、オスですか?メスですか?」
「メス。」
「そうなんだ~。可愛いですか?」
「可愛い…、俺は興味はねぇが、他の奴らが見たら可愛いと思う顔をしてんじゃねぇのか。」
「リヴァイさん、ワンちゃんの写真はないんですか?
見てみたいですっ。」
「ねぇ。」
「えー、見たかったなぁ~。」
「私も、見たい、見たい、見たい!!
ということで、今からリヴァイの家に仔犬見に行きたい人~!!」
ハンジが楽しそうに手を挙げた。
その後、俺以外の全員の酔っ払い共の両手が、気持ちがいいくらいに真っすぐに天井に向かって伸びた。
家では名前が夕食を作って待っているのは分かっていたけれど、連絡はしていない。
名前に連絡をする手段を持っていないし、勝手に部屋に上がり込んできたくせに名前は連絡先を教えて欲しいとは言わなかった。
でも、もしも、連絡先を交換していたとしても、俺は連絡を入れなかったはずだ。
たぶん、俺は知りたかったのだ。
お試し恋人だと自分のことを呼ぶ女が、連絡もなく俺が酒を呑みに行って遅く帰ってきたら、どんな反応をするのかー。
その反応によっては、プライベートに口出しをしないという契約違反だと追い出すことだって出来る。
帰りを待っている名前には悪いが、俺にとってはメリットしかなかった。
「それで、リヴァイ。この前言ってた問題は解決したのかい?」
店員が持ってきたばかりの唐揚げにレモンを絞りながら、ハンジが俺に訊ねた。
何の話だったか、と一瞬だけ考えてすぐに思い出した。
そういえば、名前が家にやって来た日、問題の解決がどうのと話した気がする。
「まぁ、とりあえずの解決策は出た。」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
モブリットが心配そうに訊ねてくる。
俺の知り合いで一番の酒飲みだが、今日はまだそれほど飲んでいる印象はなかった。
前回、酒を呑みすぎて、街のゴミ捨て場で寝てしまったのを気にしているのだろう。
今夜は、酔っぱらって絡み酒になったモブリットをゴミ捨て場に投げ捨てなくて済むと思うと、俺も嬉しい。
「たいしたことじゃねぇよ。」
「そうかな?あの日のリヴァイは朝からソワソワしてて
とても様子がおかしかったよ。私も何があったか知りたいな。」
唐揚げを頬張りながら、ハンジが訊ねた。
一度、気になることが出来たら、それがハッキリするまで調べないと気が済まない性格は、長い付き合いで承知している。
ここで、何でもないと繰り返したとしても、俺が話すまで質問は続くに決まっているのだ。
面倒くさいと思いながらも、心の中だけでチッと舌打ちをして、俺は適当に話した。
「キャンキャンうるせぇ仔犬に懐かれちまったんだよ」
「仔犬?」
「あぁ、死にかけてんのを思わず助けちまったら、親かなんかだと勘違いしたらしい。
あの日は追いだして捨てるつもりだったが、とりあえずは、害もねぇし置いてやってる。」
「じゃあ、今、リヴァイさんの家に仔犬ちゃんがいるってことですかっ?」
食いついてきたのは、ニファだった。
キラキラさせている目が、名前と重なった。
「いるだろうな。」
「仔犬が家にいるのに、酒を呑みに来ても大丈夫だったんすか?
ほら、餌とか…。よく分からねぇっすけど。」
ケイジがそう言えば、ハンジ達も仔犬の心配を始め出した。
犬好きらしいニファなんて、世話も出来ないくせに仔犬を飼うなと怒り出し、説教のようなものまで受けてしまう始末だった。
「問題ねぇ。自分の飯の準備くらい自分で出来る。」
「仔犬が?餌置いてきたってこと?」
「…まぁ、そんなもんだ。」
「産まれたての仔犬なんですか?」
「いや、たぶん、違ぇな。頭の中は赤ん坊みてぇだが。」
「2か月くらいとか?」
「…さぁ、3歳よりは上らしい。」
「それ、仔犬じゃないよ、リヴァイ。」
ハンジに冷静につっこまれた。
まぁ、犬なら3歳はもうそれなりに大人だろう。
そうか。名前は3歳の犬よりもガキだったのか。
それからも、俺の家にいる仔犬の話でハンジ達は盛り上がりだした。
主に、俺という冷酷そうな人間が動物を飼うということもイメージ外だし、俺に懐く物好きな犬がいるなんてー、というひたすら失礼な盛り上がり方だ。
だが、とりあえずは誤魔化すのに成功したようで、俺は適当に相槌を打ちながら酒とつまみを口に運び続けた。
そうしていると、ふ、とニファが思い出したように俺に訊ねて来た。
「そういえば、何犬なんですか?」
「何犬?」
「犬の種類ですよ。柴犬とかミニチュアダックスとかあるでしょう?」
「あ~…チワワ系じゃねぇのか?」
「系ってなんですか、それ。」
ニファが可笑しそうにクスクスと笑う。
「チワワ系かぁ~。あ、オスですか?メスですか?」
「メス。」
「そうなんだ~。可愛いですか?」
「可愛い…、俺は興味はねぇが、他の奴らが見たら可愛いと思う顔をしてんじゃねぇのか。」
「リヴァイさん、ワンちゃんの写真はないんですか?
見てみたいですっ。」
「ねぇ。」
「えー、見たかったなぁ~。」
「私も、見たい、見たい、見たい!!
ということで、今からリヴァイの家に仔犬見に行きたい人~!!」
ハンジが楽しそうに手を挙げた。
その後、俺以外の全員の酔っ払い共の両手が、気持ちがいいくらいに真っすぐに天井に向かって伸びた。