◇45ページ◇魔法の世界
Name change
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ガラスの靴は履くことは出来ても、痛くて歩くことは出来ない。
遅くまでリムジンでのドライブデートを楽しんで、ホテルに着いた頃にはもう11時を過ぎていたから、ロビーにはあまり人がいなかった。
それでも、ホテルのロビーも廊下も、ドレス姿で俺にお姫様抱っこされていた名前はとても目立っていて、すごく恥ずかしそうだった。
それが、俺はすごく面白かったからまたしたいと思ってしまったのは、秘密だ。
ホテルの部屋は、キングサイズのベッドが1つとソファ、テーブルがある、凄く普通というわけでもないけれど、豪華というわけでもなかった。
最初に俺は、名前をソファに降ろしてから、ガラスの靴を脱がした。
「とても広い部屋ですね。」
ソファに座ったままで名前は、部屋を見渡した。
確かに広さだけはあるかもしれない。
見晴らしのいい部屋がよくて、一応、それなりに良い部屋を選んだ。
重たいカーテンで閉め切られた窓辺に立った俺は、腕時計を確認した。
リムジンで遅くまでドライブデートを楽しんだおかげで、ちょうどいい時間だった。
「名前、魔法は終わってねぇぞ。こっちに来い。」
「え、まだあるんですか?今度はなんだろう~?
喋るロウソク?魔法の薔薇かな?」
俺に声をかけられた名前が、ワクワクした顔で裸足のまま駆け寄ってきた。
違う世界の魔法の話になっている気がしたが、確かにシンデレラは、ドレスを着てカボチャの馬車に乗るまでで魔法のすべてが終わってしまうから仕方がないかもしれない。
でも、名前はシンデレラよりも綺麗だし、俺は中途半端な魔法使いなんかじゃない。
魔法はまだ、終わってない。
「目を閉じてろ。」
「またですねっ、はい!」
名前が嬉しそうに目を閉じた。
しっかり閉じたことを確認して、俺は、閉め切っていたカーテンを開いた。
シャーっとカーテンが開く音がする度に、目を閉じたままワクワクした表情でカーテンの行方を追いかける姿が、俺のこともワクワクさせた。
「目を開けていいぞ。」
「はい!」
待ちきれなかったらしい名前は、すぐに目を開いた。
そして、美しい夜景を映した瞳が、さらに大きく見開かれた。
大きな窓の向こうにあったのは、美しすぎる魔法の世界だった。
真正面に見えるのは、眩しいくらいに輝くシンデレラ城だ。
そして、それを取り囲む煌びやかなイルミネーションと妖精たち。
小さくてよく見えなかったが、シンデレラ城の前にはキラキラと輝くカボチャの馬車もあった。
今日の今までのすべては、これを見せるためのプロローグに過ぎなかったのだ。
「すごい…、魔法の世界だ…。」
名前は窓にそっと手を乗せた。
ガラスの靴を見せたときのハイテンションとは違い、名前はただ静かに感動しているようだった。
そのとき、シンデレラ城の鐘の音が鳴りだした。
1回、2回、3回…、12回を数え終えたら0時になる。
シンデレラにとって、夢の終わりを知らせる鐘の音だ。
「もうすぐ、0時なんですね。魔法が、解けますね…。」
窓ガラスに手を添えて、名前はただじっと魔法の世界を見つめて、終わりの時を待っていた。
シンデレラ城の鐘の音が12回を数えたとき、名前の瞳からガラスのような綺麗な涙が一粒零れ落ちた。
その涙が、頬を伝って床に落ちるのを待っていたように、眩しいくらいの光と大きな音が夜空に鳴り響いた。
幾千もの花火が、解けなかった魔法を祝うように、打ち上げられていく。
名前は、信じられないという顔をして、夜空に咲く花火を見つめていた。
「0時を過ぎたが、魔法は解けたか?」
「…っ。」
名前は涙を流すまいと唇を噛んで、首を横に振った。
そんな名前の頬にそっと触れると、俺の方を向いた。
涙はさっきの一粒だけで、もう泣いてはいなかったけれど、今にも泣いてしまいそうだった。
「俺が名前にかけた魔法は、0時を過ぎたくらいじゃ解けねぇ。
名前が俺にかけた魔法も、永遠に解けない。約束する。
俺はこれからもずっと、生涯をかけて、名前を愛する。」
俺を見つめる名前の瞳から、涙が一粒、二粒、と零れ落ちた。
それを指で優しく拭いながら、俺は続けた。
「それでも、もしも、俺が名前にかけた魔法が解けてしまいそうになったら、
俺が何度だって魔法にかけてやる。だから、ガラスの靴を割るなんてもう言うな。
何度でも、俺が履かせてやるから。」
鏡には、優しく微笑んでいる俺の横顔が映っていた。
俺にこんな表情が出来るなんて知らなかった。
不安を拭ってやりたい、そんな優しいことを願う俺に名前が変えたのだ。
静かに涙を流しながら、名前はゆっくりと手を俺に伸ばした。
そして、俺の腕に触れようとして、躊躇った。
俺に触れる直前で止まってしまった震える指は、何かに怯えているようだった。
でも、一度そっと目を閉じた名前が、唇を痛いくらいに噛んだ瞬間に、大粒の涙が零れた。
そして、もう堪えられないとばかりに、俺に勢いよく抱き着いた。
「リヴァイさん…っ、私も、ずっと…っ、好き…っ、愛してる…っ。
ずっと…っ、ずっと…!」
俺の背中に手をまわし、しがみつくように抱き着いて泣きじゃくる名前は、とても儚くて、なぜかわからないけれど、胸が締め付けられた。
だから、強く抱きしめ返せば、とても温かくて、安心したのだ。
どうしてあの日、そばにいて守ってやれなかったんだろう
たったひとりで、どんな気持ちで、魔法のない世界へ消えていったの
0時の鐘の音が鳴ったとき、私はガラスの靴を粉々に割って走って逃げなくちゃいけなかった。
そうしなくちゃ、私とリヴァイさんのハッピーエンドに繋がらないと分かっているの。
でも、私は信じたい。
リヴァイさんのこと、永遠に解けない魔法が存在すること、それから
ただ一途にリヴァイさんだけを想い続けた自分を、最後にもう一度、信じてあげたい。
遅くまでリムジンでのドライブデートを楽しんで、ホテルに着いた頃にはもう11時を過ぎていたから、ロビーにはあまり人がいなかった。
それでも、ホテルのロビーも廊下も、ドレス姿で俺にお姫様抱っこされていた名前はとても目立っていて、すごく恥ずかしそうだった。
それが、俺はすごく面白かったからまたしたいと思ってしまったのは、秘密だ。
ホテルの部屋は、キングサイズのベッドが1つとソファ、テーブルがある、凄く普通というわけでもないけれど、豪華というわけでもなかった。
最初に俺は、名前をソファに降ろしてから、ガラスの靴を脱がした。
「とても広い部屋ですね。」
ソファに座ったままで名前は、部屋を見渡した。
確かに広さだけはあるかもしれない。
見晴らしのいい部屋がよくて、一応、それなりに良い部屋を選んだ。
重たいカーテンで閉め切られた窓辺に立った俺は、腕時計を確認した。
リムジンで遅くまでドライブデートを楽しんだおかげで、ちょうどいい時間だった。
「名前、魔法は終わってねぇぞ。こっちに来い。」
「え、まだあるんですか?今度はなんだろう~?
喋るロウソク?魔法の薔薇かな?」
俺に声をかけられた名前が、ワクワクした顔で裸足のまま駆け寄ってきた。
違う世界の魔法の話になっている気がしたが、確かにシンデレラは、ドレスを着てカボチャの馬車に乗るまでで魔法のすべてが終わってしまうから仕方がないかもしれない。
でも、名前はシンデレラよりも綺麗だし、俺は中途半端な魔法使いなんかじゃない。
魔法はまだ、終わってない。
「目を閉じてろ。」
「またですねっ、はい!」
名前が嬉しそうに目を閉じた。
しっかり閉じたことを確認して、俺は、閉め切っていたカーテンを開いた。
シャーっとカーテンが開く音がする度に、目を閉じたままワクワクした表情でカーテンの行方を追いかける姿が、俺のこともワクワクさせた。
「目を開けていいぞ。」
「はい!」
待ちきれなかったらしい名前は、すぐに目を開いた。
そして、美しい夜景を映した瞳が、さらに大きく見開かれた。
大きな窓の向こうにあったのは、美しすぎる魔法の世界だった。
真正面に見えるのは、眩しいくらいに輝くシンデレラ城だ。
そして、それを取り囲む煌びやかなイルミネーションと妖精たち。
小さくてよく見えなかったが、シンデレラ城の前にはキラキラと輝くカボチャの馬車もあった。
今日の今までのすべては、これを見せるためのプロローグに過ぎなかったのだ。
「すごい…、魔法の世界だ…。」
名前は窓にそっと手を乗せた。
ガラスの靴を見せたときのハイテンションとは違い、名前はただ静かに感動しているようだった。
そのとき、シンデレラ城の鐘の音が鳴りだした。
1回、2回、3回…、12回を数え終えたら0時になる。
シンデレラにとって、夢の終わりを知らせる鐘の音だ。
「もうすぐ、0時なんですね。魔法が、解けますね…。」
窓ガラスに手を添えて、名前はただじっと魔法の世界を見つめて、終わりの時を待っていた。
シンデレラ城の鐘の音が12回を数えたとき、名前の瞳からガラスのような綺麗な涙が一粒零れ落ちた。
その涙が、頬を伝って床に落ちるのを待っていたように、眩しいくらいの光と大きな音が夜空に鳴り響いた。
幾千もの花火が、解けなかった魔法を祝うように、打ち上げられていく。
名前は、信じられないという顔をして、夜空に咲く花火を見つめていた。
「0時を過ぎたが、魔法は解けたか?」
「…っ。」
名前は涙を流すまいと唇を噛んで、首を横に振った。
そんな名前の頬にそっと触れると、俺の方を向いた。
涙はさっきの一粒だけで、もう泣いてはいなかったけれど、今にも泣いてしまいそうだった。
「俺が名前にかけた魔法は、0時を過ぎたくらいじゃ解けねぇ。
名前が俺にかけた魔法も、永遠に解けない。約束する。
俺はこれからもずっと、生涯をかけて、名前を愛する。」
俺を見つめる名前の瞳から、涙が一粒、二粒、と零れ落ちた。
それを指で優しく拭いながら、俺は続けた。
「それでも、もしも、俺が名前にかけた魔法が解けてしまいそうになったら、
俺が何度だって魔法にかけてやる。だから、ガラスの靴を割るなんてもう言うな。
何度でも、俺が履かせてやるから。」
鏡には、優しく微笑んでいる俺の横顔が映っていた。
俺にこんな表情が出来るなんて知らなかった。
不安を拭ってやりたい、そんな優しいことを願う俺に名前が変えたのだ。
静かに涙を流しながら、名前はゆっくりと手を俺に伸ばした。
そして、俺の腕に触れようとして、躊躇った。
俺に触れる直前で止まってしまった震える指は、何かに怯えているようだった。
でも、一度そっと目を閉じた名前が、唇を痛いくらいに噛んだ瞬間に、大粒の涙が零れた。
そして、もう堪えられないとばかりに、俺に勢いよく抱き着いた。
「リヴァイさん…っ、私も、ずっと…っ、好き…っ、愛してる…っ。
ずっと…っ、ずっと…!」
俺の背中に手をまわし、しがみつくように抱き着いて泣きじゃくる名前は、とても儚くて、なぜかわからないけれど、胸が締め付けられた。
だから、強く抱きしめ返せば、とても温かくて、安心したのだ。
どうしてあの日、そばにいて守ってやれなかったんだろう
たったひとりで、どんな気持ちで、魔法のない世界へ消えていったの
0時の鐘の音が鳴ったとき、私はガラスの靴を粉々に割って走って逃げなくちゃいけなかった。
そうしなくちゃ、私とリヴァイさんのハッピーエンドに繋がらないと分かっているの。
でも、私は信じたい。
リヴァイさんのこと、永遠に解けない魔法が存在すること、それから
ただ一途にリヴァイさんだけを想い続けた自分を、最後にもう一度、信じてあげたい。