◇44ページ◇ドレスアップ
Name change
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横抱きに抱えた名前を連れて、俺は店を出た。
ドレスを選んでいる間に、陽の短い冬の空にはあっという間に夜がやってきていた。
夜空には星まで輝いていて、今夜はホワイトクリスマスにはなりそうになかった。
休日と重なったクリスマスの夜は、デート中の恋人達が多かった。
ドレスショップの外で待っていた運転手付きの真っ白いリムジンが、そんな彼らの視線を独占していた。
寒空の下、俺達を待っていた運転手は、白いスーツを着こなす白髪の初老の紳士だった。
運転手というよりは、どちらかというと、お姫様の執事に見えた。
「もしかして、これって…!?」
「名前のためのカボチャの馬車だ。」
驚く名前を連れて、リムジンの後部座席の扉へ連れて行った。
通りがかる恋人達の視線を集めていたリムジンの元へ、所謂お姫様抱っこというやつをされたドレス姿の女がやってきて、少しざわついた。
目立ってしまったのが多少気になったが、リムジンの運転手は堂々としていた。
「名前様、お待ちしておりました。」
運転手は胸の前に右手を添えるようにして、頭を下げながら扉を開いた。
それに感動したのか、名前が喜ぶ前に、近くで見ていた若い女達が黄色い声を上げた。
抱えている名前をリムジンに乗せて、俺も隣に乗り込んだ。
いつの間にか、着替えの紙袋は運転手の男が持っていて、自分が預かっておくと俺に耳打ちをしてから扉を閉めた。
リムジンの車内は、とても広々としていて、青と白の照明で淡く照らされていた。
進行方向に対して横向きのソファのようになっている座席に俺と名前は座った。
目の前には横長の車窓があって、綺麗なイルミネーションの明かりが車内にまで差し込んでキラキラと光らせた。
ソファの前にはテーブルもあって、そこに今夜のディナーとワインが用意されていた。
ゆっくりとリムジンが動き始めて、車窓の向こうで流れていくイルミネーションが幻想的だった。
「こんなのいつ用意してたんですか?全然知らなかった…。」
車内を呆然と見渡していた名前が言った。
「魔法だ。」
いつもの名前のセリフを借りて教えてやると、名前は俺を見て困ったように笑った。
「ふふ、そっか、リヴァイさんは魔法使いでしたもんね。」
「今夜は、もっとすごい魔法見せてやるよ。」
「え、まだあるんですか?
魔法は、ドレスとカボチャの馬車なんじゃないんですか?」
「いいや、魔法使いの魔法はこれだけで終わりじゃなかっただろう?
これからが本番だ。」
「ふふ、どんな魔法かな。すごく楽しみです。」
「そうだな、まずは目を瞑ってくれ。
今夜は俺が、名前が目を閉じてる間にプレゼントを出してやる。」
「はい、わかりました。」
名前の瞼に手を触れて、そっと目を閉じさせた。
しっかりと目を閉じたのを確認して、俺は、ソファから降りると、奥に隠しておいた白い箱を出した。
そして、蓋を開けてその中からクリスマスプレゼントを取り出した。
白い小さなクッションのような台座の上に丁寧に乗せているのは、本物のガラスの靴だ。
「足を触るぞ。目は開けるなよ。」
俺は、名前の前に跪いた。
名前が頷いて、俺はドレスの裾を少し持ち上げ、足に触れた。
本物のシンデレラと同じサイズなんじゃないかと思ってしまうくらいに小さく華奢な足に思わず、口元が緩んだ。
ガラスの靴を片方とって、小さな足をそっと入れた。
「靴、ですか?」
「あぁ、履かせてやるから目を閉じて待ってろ。」
「なんか、足を触られるのって恥ずかしいです。
何も見えなくて、感覚だけだから変な感じです。」
「そうだな、エロいな。」
「言わないでください…っ。余計に恥ずかしくなりますっ。」
逃げそうになった足を捕まえて、両方の足にガラスの靴を履かせた。
ピタリとサイズが合ったガラスの靴は、白くて細い名前にとても似合っていた。
プレゼントをこれにして正解だった。
「目を開けてもいいぞ。」
名前の隣に座った後に許可を出した。
ゆっくりと、名前が瞼を上げた。
そして、自分の足元を見て、目を見開いた。
今日、一番の驚きの表情だったそれは、たったの一瞬で喜びの笑顔に変わった。
「すごいです!!ガラスの靴なんて、初めて見ました…!!
私が、履いてる!!ガラスの靴を履いてます!!」
名前は、ガラスの靴に触れてみたり、足を伸ばして自分の履くガラスの靴を見てみたり、子供みたいにハシャいだ。
そして、ひとしきりハシャいだ後、俺の目を見て、嬉しそうに礼を告げた。
「リヴァイさん、こんなに素敵なサプライズ、ありがとうございます。
今までで一番のクリスマスプレゼントです。」
「ならよかった。」
喜びで高揚した頬を撫でてやれば、名前は仔犬のようにコロコロと可愛く笑った。
そして、俺の腕に自分の腕を絡ませると、肩に頭を乗せて甘えるように寄り掛かった。
「これからどんなことがあったって、私にとって、今日が人生で一番幸せなクリスマスです。
それは、絶対に変わらない…っ。
本当に、幸せ…。幸せ過ぎて、泣きそうです…。」
細い声も、俺の腕を掴む名前の手も震えていた。
そんな名前の身体をそっと包み込むように抱きしめた。
「来年からはつまらなくなるみたいに言うんじゃねぇ。
クリスマスが来る度に、何度だって俺が魔法をかけてやる。」
俺の背中に震える手でしがみつくように抱き着いた名前だったけれど、返事はなかった。
頷きすらしなかった名前が今にも消えてしまいそうな気がして、俺は無意識に痛いくらいに強く抱きしめてしまった。
とっておきのドレスの魔法があるんだ
でも、魔法をかけたい君がいないなんて
シンデレラになったような夜だった
0時の鐘の音がなるまでの夢の時間を楽しまなくちゃ
そう思うほどに、胸が苦しくて息も出来なくなった
魔法が解けてしまうのが、怖かった
ずっとずっと、リヴァイさんと一緒にいたいから
ドレスを選んでいる間に、陽の短い冬の空にはあっという間に夜がやってきていた。
夜空には星まで輝いていて、今夜はホワイトクリスマスにはなりそうになかった。
休日と重なったクリスマスの夜は、デート中の恋人達が多かった。
ドレスショップの外で待っていた運転手付きの真っ白いリムジンが、そんな彼らの視線を独占していた。
寒空の下、俺達を待っていた運転手は、白いスーツを着こなす白髪の初老の紳士だった。
運転手というよりは、どちらかというと、お姫様の執事に見えた。
「もしかして、これって…!?」
「名前のためのカボチャの馬車だ。」
驚く名前を連れて、リムジンの後部座席の扉へ連れて行った。
通りがかる恋人達の視線を集めていたリムジンの元へ、所謂お姫様抱っこというやつをされたドレス姿の女がやってきて、少しざわついた。
目立ってしまったのが多少気になったが、リムジンの運転手は堂々としていた。
「名前様、お待ちしておりました。」
運転手は胸の前に右手を添えるようにして、頭を下げながら扉を開いた。
それに感動したのか、名前が喜ぶ前に、近くで見ていた若い女達が黄色い声を上げた。
抱えている名前をリムジンに乗せて、俺も隣に乗り込んだ。
いつの間にか、着替えの紙袋は運転手の男が持っていて、自分が預かっておくと俺に耳打ちをしてから扉を閉めた。
リムジンの車内は、とても広々としていて、青と白の照明で淡く照らされていた。
進行方向に対して横向きのソファのようになっている座席に俺と名前は座った。
目の前には横長の車窓があって、綺麗なイルミネーションの明かりが車内にまで差し込んでキラキラと光らせた。
ソファの前にはテーブルもあって、そこに今夜のディナーとワインが用意されていた。
ゆっくりとリムジンが動き始めて、車窓の向こうで流れていくイルミネーションが幻想的だった。
「こんなのいつ用意してたんですか?全然知らなかった…。」
車内を呆然と見渡していた名前が言った。
「魔法だ。」
いつもの名前のセリフを借りて教えてやると、名前は俺を見て困ったように笑った。
「ふふ、そっか、リヴァイさんは魔法使いでしたもんね。」
「今夜は、もっとすごい魔法見せてやるよ。」
「え、まだあるんですか?
魔法は、ドレスとカボチャの馬車なんじゃないんですか?」
「いいや、魔法使いの魔法はこれだけで終わりじゃなかっただろう?
これからが本番だ。」
「ふふ、どんな魔法かな。すごく楽しみです。」
「そうだな、まずは目を瞑ってくれ。
今夜は俺が、名前が目を閉じてる間にプレゼントを出してやる。」
「はい、わかりました。」
名前の瞼に手を触れて、そっと目を閉じさせた。
しっかりと目を閉じたのを確認して、俺は、ソファから降りると、奥に隠しておいた白い箱を出した。
そして、蓋を開けてその中からクリスマスプレゼントを取り出した。
白い小さなクッションのような台座の上に丁寧に乗せているのは、本物のガラスの靴だ。
「足を触るぞ。目は開けるなよ。」
俺は、名前の前に跪いた。
名前が頷いて、俺はドレスの裾を少し持ち上げ、足に触れた。
本物のシンデレラと同じサイズなんじゃないかと思ってしまうくらいに小さく華奢な足に思わず、口元が緩んだ。
ガラスの靴を片方とって、小さな足をそっと入れた。
「靴、ですか?」
「あぁ、履かせてやるから目を閉じて待ってろ。」
「なんか、足を触られるのって恥ずかしいです。
何も見えなくて、感覚だけだから変な感じです。」
「そうだな、エロいな。」
「言わないでください…っ。余計に恥ずかしくなりますっ。」
逃げそうになった足を捕まえて、両方の足にガラスの靴を履かせた。
ピタリとサイズが合ったガラスの靴は、白くて細い名前にとても似合っていた。
プレゼントをこれにして正解だった。
「目を開けてもいいぞ。」
名前の隣に座った後に許可を出した。
ゆっくりと、名前が瞼を上げた。
そして、自分の足元を見て、目を見開いた。
今日、一番の驚きの表情だったそれは、たったの一瞬で喜びの笑顔に変わった。
「すごいです!!ガラスの靴なんて、初めて見ました…!!
私が、履いてる!!ガラスの靴を履いてます!!」
名前は、ガラスの靴に触れてみたり、足を伸ばして自分の履くガラスの靴を見てみたり、子供みたいにハシャいだ。
そして、ひとしきりハシャいだ後、俺の目を見て、嬉しそうに礼を告げた。
「リヴァイさん、こんなに素敵なサプライズ、ありがとうございます。
今までで一番のクリスマスプレゼントです。」
「ならよかった。」
喜びで高揚した頬を撫でてやれば、名前は仔犬のようにコロコロと可愛く笑った。
そして、俺の腕に自分の腕を絡ませると、肩に頭を乗せて甘えるように寄り掛かった。
「これからどんなことがあったって、私にとって、今日が人生で一番幸せなクリスマスです。
それは、絶対に変わらない…っ。
本当に、幸せ…。幸せ過ぎて、泣きそうです…。」
細い声も、俺の腕を掴む名前の手も震えていた。
そんな名前の身体をそっと包み込むように抱きしめた。
「来年からはつまらなくなるみたいに言うんじゃねぇ。
クリスマスが来る度に、何度だって俺が魔法をかけてやる。」
俺の背中に震える手でしがみつくように抱き着いた名前だったけれど、返事はなかった。
頷きすらしなかった名前が今にも消えてしまいそうな気がして、俺は無意識に痛いくらいに強く抱きしめてしまった。
とっておきのドレスの魔法があるんだ
でも、魔法をかけたい君がいないなんて
シンデレラになったような夜だった
0時の鐘の音がなるまでの夢の時間を楽しまなくちゃ
そう思うほどに、胸が苦しくて息も出来なくなった
魔法が解けてしまうのが、怖かった
ずっとずっと、リヴァイさんと一緒にいたいから