とりあえず、着替えは諦めて、俺と名前は簡単な朝食を始めていた。

「警察に連絡しておく。」

そう言うと、トーストを齧ろうとしていた名前が顔を上げた。

「そこまでしなくていいですよ。
　洋服は全部あげるって言ったのは私ですから。」
「そういうことじゃねぇだろ。これからも名前が使うって分かってて
　アイツはわざわざ服を全部盗んで、下着を切り裂いたんだぞ。」
「嫌われちゃいましたね～。」
「何をほのぼの言ってんだ。」

心配する俺に、名前は服なんて買えばいいのだから問題ないと答えた。
それよりも、大事にする方がよくないという意見だった。
確かに、アンの性格上、本当に警察を呼んだら逆上して、名前に危害を加えそうだ。

「…分かった。とりあえず、写真を撮って残しておく。　
　そして、万が一またアイツが何かしてきたときは、そのときは警察に突き出す。」

被害者である名前が訴えたくないのであれば、まずは様子見を受け入れることにした。
でも、心配は残っていた。
なんでも自分の思い通りにいかないと気が済まないアンが、あれくらいの嫌がらせで終わらせてくれるとは、どうしても思えなかったのだ。
今回は服や料理に怒りをぶつけてくれたからよかったが、アンが執念深い性格だということは3年間恋人だった俺がよく知っている。
しかも、包丁を持ち出して自殺未遂までしたこともあるのだ。
あのときは俺の気を引くために自分を傷つけようとしたが、今度は名前に手を出しても不思議じゃない。

「アイツが何もしてこないと分かるまでは、1人になるな。」
「心配性ですね。大丈夫だと思いますよ？」
「万が一のためだ、分かったな？」
「リヴァイさんが言うのなら、わかりました。」
「それから、バイトの送り迎えも俺がする。」
「え！？」

俺の宣言に名前は驚いて目を丸くしていた。
だが、本気だった。









どんなことがあっても、必ず俺が君を守ると約束したんだ










今日は、何の日か知ってる？
そう、クリスマス。そして、リヴァイさんの誕生日。
とても素敵な1日にしなくちゃね。
たとえばずっと記憶に残るくらいに、忘れられないくらいに、幸せな1日に。
今日は1日中、笑って過ごしたい。
愛する人の隣で、愛する人の誕生日を祝えるだなんて、奇跡なのだから。何よりも素敵な、奇跡なのだから。