高校3年生(保健委員長)~Bertolt~
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真っすぐに腕を上に伸ばす。
足の裏がすべて見えるくらいに背伸びをする。
それでも、薬品棚の一番上にある薬の瓶に手が届かない。
後はもう、飛んでみるしかないのか。
「これですか?」
突然に私の後ろから長い手が伸びて、取りたかった薬品を取った。
まるで何もなかったところからぬっと現れるそれにも、最近では驚かなくなった。
存在感がない、という存在感にも慣れてきた今日この頃だ。
振り向かないままで顎を持ち上げるように上を向けば、背の高いベルトルトに見下ろされる。
17歳でこんなに背が高いのだから、20歳になったらどうなるのだろう。
それって、夏でこんなに暑いのに冬になったらどれだけ暑くなるんだろうーと同じくらい馬鹿みたいな心配だろうか。
「要らないんですか?」
「あ、いる。ごめん、ありがとう。」
ぼーっとベルトルトの端正な顔を眺めていたことに気づいて、薬品の瓶を受け取った。
保健委員会の委員長をしているベルトルトは、授業以外のほとんどの時間をこの保健室で過ごしている。
体調の悪い生徒や相談事をしていく生徒の対応なんかで溜まりに溜まっていく書類仕事の手伝いをしてくれているのだ。
ライナーやエレンといった仲の良い友人もいるようだけれど、一緒に遊んでいるところはあまり見たことがない。
友人達が時々、顔を出してはお喋りをしていく程度だ。
委員長という仕事に責任を感じているのかもしれないけれど、ここまでする必要はない。
そうやって何度も言ったのだけれど、のらりくらりとかわされて、結局こうして今日のお昼休みも、私はベルトルトと一緒に保健室で薬品の在庫チェックに忙しい。
「大学の推薦が決まったんだってね。」
ソファに座り、さっき薬品棚からとってきた薬品液を、少なくなっていた薬品の瓶へ注ぎながら、話しかける。
ベルトルトは隣に座って、ひたすら書類をホッチキスで止めてくれている。
地味だけれど、とても体力のいる仕事だから、正直とても助かる。
「はい、よかったです。
これで、これからもなまえ先生のお手伝いが出来そうです。」
「そっち?」
可笑しくて、私はクスクスと笑ってしまう。
真面目なベルトルトは、何を笑われたのか分からないという顔をしているから余計に面白い。
高校3年生の男子生徒が、何が楽しくて保健室の養護教諭の手伝いをしているのだろうと思うのだけれど、彼の親友のライナーにも、好きでしているのだから出来れば好きにやらせて欲しいと言われている。
幼い頃からの付き合いだと言っていたし、少し何を考えているか分からないところのあるベルトルトのことを一番分かっているのがライナーなのだろう。
ライナーがそうして欲しいというのなら、それがいいのだと思う。
生徒の心の健康を守るのも養護教諭の大事な仕事だ。
それに、ベルトルトが手伝ってくれると私も助かるしー。
「大学生になったら、心配です。」
ベルトルトがホッチキスで書類を止め続けながら、口を開いた。
彼が私に相談のようなことを言ってくるなんて、とても珍しい。
私は嬉しくて、でも、それを見せないようにグッと堪えてから答える。
「大学は楽しいよ。大変なこともあるかもしれないけど、
ベルトルトなら、上手に過ごせると思うなぁ~。」
「違いますよ。」
「違う?」
「僕が卒業した後のなまえ先生が心配なんですよ。」
「あ…そっち…。」
もうなんだか情けなくなって、私は顔を伏せたついでに、薬品を入れ直した瓶の蓋を閉めた。
「男子生徒に襲われないように気をつけてくださいね。」
「へ、そっち?」
驚きすぎて、上ずった声で首を傾げてしまった。
「他にどっちがあるんですか?」
「…どっちもこっちもないかなぁ、と思うかな?」
「なまえ先生、いい加減にしてください。」
ベルトルトは、テーブルの上にホッチキスと書類を置くと、私の方をまっすぐに向いた。
真剣な瞳と、なんだか本当に静かに怒っているようだったので、私も思わず、ベルトルトと向き合ってしまった。
「僕は本気で心配してるんです。
なまえ先生はすごく綺麗だから、変な男がついてしまわないか。
…あぁ、早く20歳になれたらいいのに。」
ベルトルトはため息交じりに最後に何かを付け足したけれど、チャイムの音が重なって聞こえなかった。
思春期の男子は難しい
「ライナー!ついに…、ついに、言ってやったよ!」
「おう!マジか!!それで、返事は!?」
「…返事?」
「まさか、聞いてないのか…?」
「…どうしよう。」
「ま…、まぁ、落ち込むな!!まだ卒業までチャンスはある!」
「あぁ、本当に早く20歳になって結婚したい。」
「(男は18歳から結婚できるってことは言わないでおこう。)頑張れ。」
足の裏がすべて見えるくらいに背伸びをする。
それでも、薬品棚の一番上にある薬の瓶に手が届かない。
後はもう、飛んでみるしかないのか。
「これですか?」
突然に私の後ろから長い手が伸びて、取りたかった薬品を取った。
まるで何もなかったところからぬっと現れるそれにも、最近では驚かなくなった。
存在感がない、という存在感にも慣れてきた今日この頃だ。
振り向かないままで顎を持ち上げるように上を向けば、背の高いベルトルトに見下ろされる。
17歳でこんなに背が高いのだから、20歳になったらどうなるのだろう。
それって、夏でこんなに暑いのに冬になったらどれだけ暑くなるんだろうーと同じくらい馬鹿みたいな心配だろうか。
「要らないんですか?」
「あ、いる。ごめん、ありがとう。」
ぼーっとベルトルトの端正な顔を眺めていたことに気づいて、薬品の瓶を受け取った。
保健委員会の委員長をしているベルトルトは、授業以外のほとんどの時間をこの保健室で過ごしている。
体調の悪い生徒や相談事をしていく生徒の対応なんかで溜まりに溜まっていく書類仕事の手伝いをしてくれているのだ。
ライナーやエレンといった仲の良い友人もいるようだけれど、一緒に遊んでいるところはあまり見たことがない。
友人達が時々、顔を出してはお喋りをしていく程度だ。
委員長という仕事に責任を感じているのかもしれないけれど、ここまでする必要はない。
そうやって何度も言ったのだけれど、のらりくらりとかわされて、結局こうして今日のお昼休みも、私はベルトルトと一緒に保健室で薬品の在庫チェックに忙しい。
「大学の推薦が決まったんだってね。」
ソファに座り、さっき薬品棚からとってきた薬品液を、少なくなっていた薬品の瓶へ注ぎながら、話しかける。
ベルトルトは隣に座って、ひたすら書類をホッチキスで止めてくれている。
地味だけれど、とても体力のいる仕事だから、正直とても助かる。
「はい、よかったです。
これで、これからもなまえ先生のお手伝いが出来そうです。」
「そっち?」
可笑しくて、私はクスクスと笑ってしまう。
真面目なベルトルトは、何を笑われたのか分からないという顔をしているから余計に面白い。
高校3年生の男子生徒が、何が楽しくて保健室の養護教諭の手伝いをしているのだろうと思うのだけれど、彼の親友のライナーにも、好きでしているのだから出来れば好きにやらせて欲しいと言われている。
幼い頃からの付き合いだと言っていたし、少し何を考えているか分からないところのあるベルトルトのことを一番分かっているのがライナーなのだろう。
ライナーがそうして欲しいというのなら、それがいいのだと思う。
生徒の心の健康を守るのも養護教諭の大事な仕事だ。
それに、ベルトルトが手伝ってくれると私も助かるしー。
「大学生になったら、心配です。」
ベルトルトがホッチキスで書類を止め続けながら、口を開いた。
彼が私に相談のようなことを言ってくるなんて、とても珍しい。
私は嬉しくて、でも、それを見せないようにグッと堪えてから答える。
「大学は楽しいよ。大変なこともあるかもしれないけど、
ベルトルトなら、上手に過ごせると思うなぁ~。」
「違いますよ。」
「違う?」
「僕が卒業した後のなまえ先生が心配なんですよ。」
「あ…そっち…。」
もうなんだか情けなくなって、私は顔を伏せたついでに、薬品を入れ直した瓶の蓋を閉めた。
「男子生徒に襲われないように気をつけてくださいね。」
「へ、そっち?」
驚きすぎて、上ずった声で首を傾げてしまった。
「他にどっちがあるんですか?」
「…どっちもこっちもないかなぁ、と思うかな?」
「なまえ先生、いい加減にしてください。」
ベルトルトは、テーブルの上にホッチキスと書類を置くと、私の方をまっすぐに向いた。
真剣な瞳と、なんだか本当に静かに怒っているようだったので、私も思わず、ベルトルトと向き合ってしまった。
「僕は本気で心配してるんです。
なまえ先生はすごく綺麗だから、変な男がついてしまわないか。
…あぁ、早く20歳になれたらいいのに。」
ベルトルトはため息交じりに最後に何かを付け足したけれど、チャイムの音が重なって聞こえなかった。
思春期の男子は難しい
「ライナー!ついに…、ついに、言ってやったよ!」
「おう!マジか!!それで、返事は!?」
「…返事?」
「まさか、聞いてないのか…?」
「…どうしよう。」
「ま…、まぁ、落ち込むな!!まだ卒業までチャンスはある!」
「あぁ、本当に早く20歳になって結婚したい。」
「(男は18歳から結婚できるってことは言わないでおこう。)頑張れ。」
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