見つけてくれたイケメンはいかがですか?~Erwin~
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ブカブカの大きなスウェットは、着ているというよりも、毛布に包まれているみたいだった。
両手足の裾を何度も折り曲げて、やっと、なんとか歩ける状態になる。
リビングへ行くと、キッチンで飲み物を用意しているスミス部長の後姿を見つけた。
「あ、あの…、お風呂、ありがとうございました。
おかげで、とても温まりました。」
声をかけると、スミス部長が振り返る。
スーツから着替えて白いTシャツと緩い大きめの黒いスウェットになっていて、仕事中のイメージよりも随分と柔らかい印象に変わっている。
「それならよかった。
今、紅茶を淹れてるところなんだけど、好きかな?」
「はい。ありがとうございます。」
「ならよかった。」
「あの、私もお手伝いを…っ。」
「すぐにできるから、構わないよ。
お客様に手伝わせてしまったら、私の方が落ち着かないから、
ソファに座って待っててくれるかい?」
私に遠慮をさせないようにしている柔らかい笑みに、大人だなぁととても尊敬する。
彼の言葉に甘えて、私はリビングのソファに座った。
大きなカウチソファだった。
このままここで眠ってしまえそうなほどに大きくて、ベッドみたいだ。
座り心地も最高で、柔らかくて気持ちがいい。
本当に上司に紅茶を出してもらってもいいのだろうか———自問自答を繰り返しながらも、ソファに座っていてくれと言われた手前、動き出すことも出来ずに、失礼にならない程度に部屋を観察した。
『とにかく、そんなびしょ濡れだと風邪をひいてしまう。
うちがすぐそこだから来なさい。すぐに温まった方がいい。』
びしょ濡れで座り込む私を見つけたスミス部長は、そういうと私の腕を引っ張って立ち上がらせた。
そして、涙で頭がボーッとしていた私は、言われるままについてきてしまったのだ。
スミス部長の住むマンションは、本当にすぐ近くにあった。
会社から見える一番大きな高層マンション、そこが、スミス部長のマンションだった。
よく、後輩が『あんな超高級マンション、どんな人が住んでるんでしょうね。』と言っていたけれど、すぐそばにその人がいたというわけだ。
カーテンの必要のない高層階にあるスミス部長の部屋からは、眠らない煌びやかな街が良く見える。
部屋は、木の温もりが柔らかいカントリー調の家具で統一されている。
大人っぽいシックなイメージだったから、少しだけ意外だった。
でも、本棚には難しそうな書籍やおしゃれなレコードが綺麗に並んでいて、スミス部長の部屋らしいなとも思う。
「お待たせ。どうぞ。
私の友人が厳選した紅茶の葉だから、とても美味しいと思うよ。」
スミス部長は、ローテーブルに紅茶を淹れたティーセットをそっと置くと、私と少し距離を空けて腰を降ろした。
「ありがとうございます。
———わぁ、本当。とても良い香りがします。」
ティーカップを手に取って、口元に持ってきた途端にふわりと広がった香りに思わず感動した。
すると、スミス部長が本当に嬉しそうに微笑む。
「それはよかった。友人も喜ぶよ。
まぁ、彼みたいに上手に淹れられたかは自信がないけどね。」
「スミス部長は、そのご友人がとても好きなんですね。」
あまりにも嬉しそうに微笑む彼の姿が優しくて、ふふっと笑うと、スミス部長が不思議そうに首を傾げた。
「確かに大切な友人だが、どうしてそう思ったんだい?」
「私がこの紅茶の香りに感動したら、とても嬉しそうに喜んでいらっしゃったので。
大好きなご友人の選んだ紅茶の葉が褒められて、嬉しかったのだなと思ったんです。」
私が答えると、スミス部長は「あぁ。」と納得したように一度頷いた後、少しだけ苦笑して続けた。
「間違ってはいないけれど、私が嬉しかったのはそこではないよ。」
「・・・というと?」
どういうことだろう、と首を傾げる。
すると、スミス部長がまた柔らかく微笑んだ。
「さっきのは、君がとても嬉しそうに笑ってくれたのが、嬉しかっただけだ。」
「え。」
驚いてしまって、恥ずかしさを誤魔化すようにティーカップで口元を隠した。
だって、まるで———。
馬鹿な勘違いをしそうになっている自分を叱咤しようとしつつも、どうしてもスミス部長が気になって横目で見てしまう。
ニコニコとなんだかやけに嬉しそうに微笑んでいるのに、またビックリした。
だって、会社ではいつもとても真面目な顔をしていて、すごくクールで、包容力のあるような笑みを見ることはあっても、こんな子供みたいに嬉しそうにしている姿なんて、見たことがなかったから——。
見ちゃいけないものな気がして、私はティーカップに淹れられた紅茶に視線を落とした。
「い…、いただきます…っ。」
「あぁ、どうぞ。」
スミス部長が、クスリと笑う。
それが、子ども扱いされたみたいで、恥ずかしくなった。
でもそんなもの、紅茶を一口飲んでしまえば、呆気なく忘れてしまう。
「美味しい…!」
感激して、自然と言葉が出た。
「よかった。」
微笑んだスミス部長は、本当に嬉しそうだった。
両手足の裾を何度も折り曲げて、やっと、なんとか歩ける状態になる。
リビングへ行くと、キッチンで飲み物を用意しているスミス部長の後姿を見つけた。
「あ、あの…、お風呂、ありがとうございました。
おかげで、とても温まりました。」
声をかけると、スミス部長が振り返る。
スーツから着替えて白いTシャツと緩い大きめの黒いスウェットになっていて、仕事中のイメージよりも随分と柔らかい印象に変わっている。
「それならよかった。
今、紅茶を淹れてるところなんだけど、好きかな?」
「はい。ありがとうございます。」
「ならよかった。」
「あの、私もお手伝いを…っ。」
「すぐにできるから、構わないよ。
お客様に手伝わせてしまったら、私の方が落ち着かないから、
ソファに座って待っててくれるかい?」
私に遠慮をさせないようにしている柔らかい笑みに、大人だなぁととても尊敬する。
彼の言葉に甘えて、私はリビングのソファに座った。
大きなカウチソファだった。
このままここで眠ってしまえそうなほどに大きくて、ベッドみたいだ。
座り心地も最高で、柔らかくて気持ちがいい。
本当に上司に紅茶を出してもらってもいいのだろうか———自問自答を繰り返しながらも、ソファに座っていてくれと言われた手前、動き出すことも出来ずに、失礼にならない程度に部屋を観察した。
『とにかく、そんなびしょ濡れだと風邪をひいてしまう。
うちがすぐそこだから来なさい。すぐに温まった方がいい。』
びしょ濡れで座り込む私を見つけたスミス部長は、そういうと私の腕を引っ張って立ち上がらせた。
そして、涙で頭がボーッとしていた私は、言われるままについてきてしまったのだ。
スミス部長の住むマンションは、本当にすぐ近くにあった。
会社から見える一番大きな高層マンション、そこが、スミス部長のマンションだった。
よく、後輩が『あんな超高級マンション、どんな人が住んでるんでしょうね。』と言っていたけれど、すぐそばにその人がいたというわけだ。
カーテンの必要のない高層階にあるスミス部長の部屋からは、眠らない煌びやかな街が良く見える。
部屋は、木の温もりが柔らかいカントリー調の家具で統一されている。
大人っぽいシックなイメージだったから、少しだけ意外だった。
でも、本棚には難しそうな書籍やおしゃれなレコードが綺麗に並んでいて、スミス部長の部屋らしいなとも思う。
「お待たせ。どうぞ。
私の友人が厳選した紅茶の葉だから、とても美味しいと思うよ。」
スミス部長は、ローテーブルに紅茶を淹れたティーセットをそっと置くと、私と少し距離を空けて腰を降ろした。
「ありがとうございます。
———わぁ、本当。とても良い香りがします。」
ティーカップを手に取って、口元に持ってきた途端にふわりと広がった香りに思わず感動した。
すると、スミス部長が本当に嬉しそうに微笑む。
「それはよかった。友人も喜ぶよ。
まぁ、彼みたいに上手に淹れられたかは自信がないけどね。」
「スミス部長は、そのご友人がとても好きなんですね。」
あまりにも嬉しそうに微笑む彼の姿が優しくて、ふふっと笑うと、スミス部長が不思議そうに首を傾げた。
「確かに大切な友人だが、どうしてそう思ったんだい?」
「私がこの紅茶の香りに感動したら、とても嬉しそうに喜んでいらっしゃったので。
大好きなご友人の選んだ紅茶の葉が褒められて、嬉しかったのだなと思ったんです。」
私が答えると、スミス部長は「あぁ。」と納得したように一度頷いた後、少しだけ苦笑して続けた。
「間違ってはいないけれど、私が嬉しかったのはそこではないよ。」
「・・・というと?」
どういうことだろう、と首を傾げる。
すると、スミス部長がまた柔らかく微笑んだ。
「さっきのは、君がとても嬉しそうに笑ってくれたのが、嬉しかっただけだ。」
「え。」
驚いてしまって、恥ずかしさを誤魔化すようにティーカップで口元を隠した。
だって、まるで———。
馬鹿な勘違いをしそうになっている自分を叱咤しようとしつつも、どうしてもスミス部長が気になって横目で見てしまう。
ニコニコとなんだかやけに嬉しそうに微笑んでいるのに、またビックリした。
だって、会社ではいつもとても真面目な顔をしていて、すごくクールで、包容力のあるような笑みを見ることはあっても、こんな子供みたいに嬉しそうにしている姿なんて、見たことがなかったから——。
見ちゃいけないものな気がして、私はティーカップに淹れられた紅茶に視線を落とした。
「い…、いただきます…っ。」
「あぁ、どうぞ。」
スミス部長が、クスリと笑う。
それが、子ども扱いされたみたいで、恥ずかしくなった。
でもそんなもの、紅茶を一口飲んでしまえば、呆気なく忘れてしまう。
「美味しい…!」
感激して、自然と言葉が出た。
「よかった。」
微笑んだスミス部長は、本当に嬉しそうだった。