◇41話◇病室の彼
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「リヴァイ…っ!」
教えられた病室の扉を勢いよく開けて、走って来た勢いのまま転がるように中に入った。
個室になっているそこには、団長のエルヴィンとハンジ、モブリット。それから、エレン以外のリヴァイ班のみんながいた。
彼らはみんな、暗い顔をしてベッドの上で横たわるリヴァイを見下ろしていた。
リヴァイは頭と肩に包帯を巻いていた。
布団に隠れている部分もきっと、包帯だらけなのだろうと思う。
だって、まるで死んでしまったみたいに、リヴァイの顔色は真っ白でー。
私は、ベッドに近づけなかった。
怖くて、ひどく、怖くってー。
「おいで、なまえ。大丈夫、生きてるから。」
弱々しい笑みを浮かべて、ハンジが手招きをする。
怖かったけれど、私はゆっくりとベッドへと歩み寄る。
近くに来ると、包帯の巻かれていない頬や首、肩にも擦り傷のようなものがあるのが分かった。
どうして、こんな大怪我をー。
リヴァイは、散歩に行くだけだって、そう言ったのにー。
おずおずと、リヴァイの頬に触れてみた。
温かいー。
死んでないー。
よかった…-。
「リヴァイのおかげで、作戦は成功した。大した男だ。」
私の横に立っていたエルヴィンが、口を開いた。
たぶん、私に教えてやろうとしたのだと思う。
「成功?」
顔を上げて、私はエルヴィンを見る。
目と目が合ったけれど、たぶん、心は通じてない。
エルヴィンは、堂々と私に告げたからー。
「今回の壁外調査の目的を果たせた。
作戦は大成功だ。それもこれもー。」
パァーンと激しく頬を打つ音が響いた。
私を怒らせるなんて予想だにしていなかったらしいエルヴィンは、斜め下を向いたまま目を見開いていた。
驚いているのは、エルヴィンだけではなかった。
ハンジ達も、言葉を失っていた。
だって、許せないでしょう。今のエルヴィンの言葉は、許せない。
もしかして、エルヴィンは、作戦が成功したとか言えば、私が納得するとでも思ったのだろうか。
喜ぶとでも、思ったのだろうかー。
「ふざけないでよ!リヴァイが大怪我してるのに、何が成功なの!?
目的がなんだか、それがどんなにすごいことなのか知らないけど、
少なくとも私にとっては!!成功なんかじゃない!!こんなの…!!成功なんかじゃ…!!」
自分でも信じられないくらいに声を荒げた。
私に、こんな大きな声が出せるのかと驚くくらいだったのに、次第に震え出したそれは最後まで続けられなかった。
悔しくて、泣けてきた。
唇を噛んで、拳を握る。
本当に、悔しい。悔しいー。
何も知らないで、散歩だって嘘を信じたフリして、不安から目を反らした。
何も知らないで、私は、いってらっしゃいって普通に見送ってしまった。
もしかしたら、もう会えないかもしれなかったなんて、知らないでー。
私はー。
「なまえ、リヴァイ兵長の手を握ってやろう。
大丈夫、きっと、大丈夫だから。」
モブリットが、私の肩を持ってベッド脇の椅子に座らせる。
そして、私の手をとって、布団の下へと強引に入れた。
そうすれば、熱いくらいの体温に触れる。
硬くて、華奢で細い、リヴァイの指だ。私を振り回すリヴァイの手だー。
「リヴァイ…っ。死んじゃ、いやだよ…っ。」
リヴァイの手を握ったまま、私はベッドに突っ伏して泣いた。
知らなかった。こんなに怖いのか。
大切な人が、死んでしまう恐怖はこんなにー。
足がすくんで、目の前が真っ白になって、心臓が冷えて、息が出来なくてー。
この世の苦しみすべてが押し寄せて来たみたいな地獄だ。
なまえに触れられなくなった日から、今までずっと、リヴァイはひとりでそれを抱えていたのかー。
なんて、苦しかったんだろう。
そんなの、心が壊れてしまうに決まってる。
だから、私、決めたー。
リヴァイが、目が覚めたら、私ー。
教えられた病室の扉を勢いよく開けて、走って来た勢いのまま転がるように中に入った。
個室になっているそこには、団長のエルヴィンとハンジ、モブリット。それから、エレン以外のリヴァイ班のみんながいた。
彼らはみんな、暗い顔をしてベッドの上で横たわるリヴァイを見下ろしていた。
リヴァイは頭と肩に包帯を巻いていた。
布団に隠れている部分もきっと、包帯だらけなのだろうと思う。
だって、まるで死んでしまったみたいに、リヴァイの顔色は真っ白でー。
私は、ベッドに近づけなかった。
怖くて、ひどく、怖くってー。
「おいで、なまえ。大丈夫、生きてるから。」
弱々しい笑みを浮かべて、ハンジが手招きをする。
怖かったけれど、私はゆっくりとベッドへと歩み寄る。
近くに来ると、包帯の巻かれていない頬や首、肩にも擦り傷のようなものがあるのが分かった。
どうして、こんな大怪我をー。
リヴァイは、散歩に行くだけだって、そう言ったのにー。
おずおずと、リヴァイの頬に触れてみた。
温かいー。
死んでないー。
よかった…-。
「リヴァイのおかげで、作戦は成功した。大した男だ。」
私の横に立っていたエルヴィンが、口を開いた。
たぶん、私に教えてやろうとしたのだと思う。
「成功?」
顔を上げて、私はエルヴィンを見る。
目と目が合ったけれど、たぶん、心は通じてない。
エルヴィンは、堂々と私に告げたからー。
「今回の壁外調査の目的を果たせた。
作戦は大成功だ。それもこれもー。」
パァーンと激しく頬を打つ音が響いた。
私を怒らせるなんて予想だにしていなかったらしいエルヴィンは、斜め下を向いたまま目を見開いていた。
驚いているのは、エルヴィンだけではなかった。
ハンジ達も、言葉を失っていた。
だって、許せないでしょう。今のエルヴィンの言葉は、許せない。
もしかして、エルヴィンは、作戦が成功したとか言えば、私が納得するとでも思ったのだろうか。
喜ぶとでも、思ったのだろうかー。
「ふざけないでよ!リヴァイが大怪我してるのに、何が成功なの!?
目的がなんだか、それがどんなにすごいことなのか知らないけど、
少なくとも私にとっては!!成功なんかじゃない!!こんなの…!!成功なんかじゃ…!!」
自分でも信じられないくらいに声を荒げた。
私に、こんな大きな声が出せるのかと驚くくらいだったのに、次第に震え出したそれは最後まで続けられなかった。
悔しくて、泣けてきた。
唇を噛んで、拳を握る。
本当に、悔しい。悔しいー。
何も知らないで、散歩だって嘘を信じたフリして、不安から目を反らした。
何も知らないで、私は、いってらっしゃいって普通に見送ってしまった。
もしかしたら、もう会えないかもしれなかったなんて、知らないでー。
私はー。
「なまえ、リヴァイ兵長の手を握ってやろう。
大丈夫、きっと、大丈夫だから。」
モブリットが、私の肩を持ってベッド脇の椅子に座らせる。
そして、私の手をとって、布団の下へと強引に入れた。
そうすれば、熱いくらいの体温に触れる。
硬くて、華奢で細い、リヴァイの指だ。私を振り回すリヴァイの手だー。
「リヴァイ…っ。死んじゃ、いやだよ…っ。」
リヴァイの手を握ったまま、私はベッドに突っ伏して泣いた。
知らなかった。こんなに怖いのか。
大切な人が、死んでしまう恐怖はこんなにー。
足がすくんで、目の前が真っ白になって、心臓が冷えて、息が出来なくてー。
この世の苦しみすべてが押し寄せて来たみたいな地獄だ。
なまえに触れられなくなった日から、今までずっと、リヴァイはひとりでそれを抱えていたのかー。
なんて、苦しかったんだろう。
そんなの、心が壊れてしまうに決まってる。
だから、私、決めたー。
リヴァイが、目が覚めたら、私ー。