◇38話◇留守番
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デスクに座ったリコは、私の話を聞きながら、真剣にメモをとっている。
なんとなく気まずい雰囲気を誤魔化すために始めた元の世界の話だったけれど、この世界とは全く違う文明の話は、リコにも興味深かったようで、意外と食いついていろいろと質問攻めにあっているところだ。
特に、スマホのことが気になって仕方がないようだった。
「なぁ、話を聞きながら思ったんだが。」
メモを取っていた顔を上げ、リコが私の方を見た。
「何?トリップしたヒロインとイケメンの話の続き?」
「あぁ、それはクソほどどうでもいい。」
「あっそう…。」
ドラマの話を聞いてくれるのは、優しいモブリットだけだ。
まだ話し足りないから、モブリットが帰ってきたら、また話し相手になってもらおう。
「この世界と向こうの世界が合わせ鏡なら、
あんたのいた世界にもリヴァイはいるんじゃないのか。」
「え…?」
考えたこともなかった。
あぁ、そうか。
イアンとミタビもこの世界にいたのなら、向こうの世界のハンジやモブリット、そして、リヴァイもいるのかもしれない。
出逢っていないだけで、どこかで私の知る世界で普通に暮らしているのかもしれない。
「戻れたら、探してみたらどうだ。」
「探す?元の世界にいるリヴァイを?」
「向こうのリコに、年がら年中恋人募集中の可哀想な女だと言われてたんだろ。
リヴァイなら、あんたと恋人になってくれるかもしれないじゃないか。
-この世界のなまえが、リヴァイと恋人になったみたいに。」
最後に付け足したそれは、私への牽制に聞こえた。
棘があったから、私の胸を刺してー。
違う、リコの声の棘じゃない。
確かに棘はあったけど、私の胸を刺したのはそれじゃない。
私が勝手に、心に棘を作ったのだ。それはいつだって、私を刺そうとしていてー。
息の根を止める瞬間を今か今かと待ち構えているー。
「向こうの世界にリヴァイがいても、会いたくない。」
「…なぜだ?会ってみたら、好きになるかもしれないぞ。」
「そうかもしれないね。一目惚れとか、しちゃうのかもしれない。
そして、私は、誰が好きなのか分かんなくてパニックだ、きっと…。」
膝の上に乗せていたクッションを抱きしめた。
リコは、何も言わなかった。
きっと、私の気持ちを分かってる。
だから、向こうのリヴァイと恋をしろと突き放したんだろう。
だって、この世界のリヴァイは、リコの大切な親友のなまえの恋人だからー。
あぁ、本当にもう嫌だ。
リヴァイのいない世界に行きたいー。
戻った世界に、絶対にリヴァイはいないでほしい。
だって、私はー。
「リヴァイみたいにヒドいこと、私はしたくないー。」
誰かの代わりに、誰かを愛したりしたくない。
そんな不毛なこと、したくない。
そんな悲しいこと、したくない。
なんとなく気まずい雰囲気を誤魔化すために始めた元の世界の話だったけれど、この世界とは全く違う文明の話は、リコにも興味深かったようで、意外と食いついていろいろと質問攻めにあっているところだ。
特に、スマホのことが気になって仕方がないようだった。
「なぁ、話を聞きながら思ったんだが。」
メモを取っていた顔を上げ、リコが私の方を見た。
「何?トリップしたヒロインとイケメンの話の続き?」
「あぁ、それはクソほどどうでもいい。」
「あっそう…。」
ドラマの話を聞いてくれるのは、優しいモブリットだけだ。
まだ話し足りないから、モブリットが帰ってきたら、また話し相手になってもらおう。
「この世界と向こうの世界が合わせ鏡なら、
あんたのいた世界にもリヴァイはいるんじゃないのか。」
「え…?」
考えたこともなかった。
あぁ、そうか。
イアンとミタビもこの世界にいたのなら、向こうの世界のハンジやモブリット、そして、リヴァイもいるのかもしれない。
出逢っていないだけで、どこかで私の知る世界で普通に暮らしているのかもしれない。
「戻れたら、探してみたらどうだ。」
「探す?元の世界にいるリヴァイを?」
「向こうのリコに、年がら年中恋人募集中の可哀想な女だと言われてたんだろ。
リヴァイなら、あんたと恋人になってくれるかもしれないじゃないか。
-この世界のなまえが、リヴァイと恋人になったみたいに。」
最後に付け足したそれは、私への牽制に聞こえた。
棘があったから、私の胸を刺してー。
違う、リコの声の棘じゃない。
確かに棘はあったけど、私の胸を刺したのはそれじゃない。
私が勝手に、心に棘を作ったのだ。それはいつだって、私を刺そうとしていてー。
息の根を止める瞬間を今か今かと待ち構えているー。
「向こうの世界にリヴァイがいても、会いたくない。」
「…なぜだ?会ってみたら、好きになるかもしれないぞ。」
「そうかもしれないね。一目惚れとか、しちゃうのかもしれない。
そして、私は、誰が好きなのか分かんなくてパニックだ、きっと…。」
膝の上に乗せていたクッションを抱きしめた。
リコは、何も言わなかった。
きっと、私の気持ちを分かってる。
だから、向こうのリヴァイと恋をしろと突き放したんだろう。
だって、この世界のリヴァイは、リコの大切な親友のなまえの恋人だからー。
あぁ、本当にもう嫌だ。
リヴァイのいない世界に行きたいー。
戻った世界に、絶対にリヴァイはいないでほしい。
だって、私はー。
「リヴァイみたいにヒドいこと、私はしたくないー。」
誰かの代わりに、誰かを愛したりしたくない。
そんな不毛なこと、したくない。
そんな悲しいこと、したくない。