◇35話◇可愛い
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兵舎の廊下を歩くだけでも、興味深かった。
書類を抱えて走る調査兵や、談笑しながら歩く調査兵達。
生前のなまえと知り合いだったらしい調査兵から声をかけられることもあった。
記憶喪失であることも周知済みのようで、話を合わせる必要もなかったから、暇をせずに済んで逆に有難いくらいだった。
(こんなところで働いてるんだ。)
長い廊下を眺めながら、なんだか不思議な気持ちになる。
調査兵団の兵舎はとても古い建物で、当然のように私が働いていたビルやオフィス内とは雰囲気が全く違う。
そもそも私は、リヴァイの仕事がどんなものなのかよく分かっていない。
兵士だし、巨人と戦うという仕事なのだろうか。それにしては、書類仕事をしている調査兵もいるようだった。
それに、調査と言うくらいだから、何かを調べている兵団なのかもしれない。
巨人と戦う訓練というのは、たとえば自衛隊のように、何かあったときの戦闘スキルを身に着けているということなのだろう。
なまえの身には、その何かがあってしまって、巨人と戦うことになったのだろうかー。
考えてもよく分からないし、巨人のことは思い出すだけで怖いので、思考はそこで停止させた。
分かったのは、私は、この世界のことを何も知らないということだけー。
しばらく歩いていると、すぐ近くの扉が開いた。
出てきたのは、ミケだった。その後ろから、ナナバとゲルガーが続く。
彼らはいつも3人でいるけれど、ハンジとモブリットがいつもセットでいるのと同じような感じだろうか。
「あぁ、今日はなまえが兵舎の見回りをしているんだったな。」
ミケが私を見て少し驚いた後、納得したように言う。
「そうだったの?
昨日の夜は、今日はリヴァイが非番でデートに行くんだってハンジから聞いたけど?」
「アレだろ、今朝、エレンが発作起こしたんだよ。
だから、また巨人化しちまわねぇようにリヴァイは1日中監視だって聞いたぜ。」
「あぁ、そうだ。今日は1日中、リヴァイは地下牢の見張りだ。」
「へぇ、そうだったのか。デートの日に、困った新兵だね。」
ミケ達の話で、急遽任務が入ったリヴァイの事情を理解した。
私も聞こうとはしなかったし、リヴァイもハンジ達も、教えてはくれなかったから。
リヴァイ達は、私がまた怖がると思って、エレンの話をしなかったのかもしれない。
今日は1日中兵舎を見回って何をするのかと訊いてきたミケ達に、とりあえず隅々まで観察すると伝える。
すると、彼らは今日は1日中、書類仕事で会議室にいるので、何かあればいつでも頼っていいと言ってくれた。
礼を言って、私は彼らに背を向ける。
でも、すぐにゲルガーに呼び止められた。
「もう高いとこに上るんじゃねぇぞ。
また滑って転んで落っこちるからな。」
振り返った私に、ゲルガーが意地悪く言う。
飛び降りたのを見ていたはずの彼の優しい言い方に、なまえは友人に恵まれていたのだと知った。
「心配しないで。もう二度と落ちないよ。」
私は笑って、彼らに手を振った。
書類を抱えて走る調査兵や、談笑しながら歩く調査兵達。
生前のなまえと知り合いだったらしい調査兵から声をかけられることもあった。
記憶喪失であることも周知済みのようで、話を合わせる必要もなかったから、暇をせずに済んで逆に有難いくらいだった。
(こんなところで働いてるんだ。)
長い廊下を眺めながら、なんだか不思議な気持ちになる。
調査兵団の兵舎はとても古い建物で、当然のように私が働いていたビルやオフィス内とは雰囲気が全く違う。
そもそも私は、リヴァイの仕事がどんなものなのかよく分かっていない。
兵士だし、巨人と戦うという仕事なのだろうか。それにしては、書類仕事をしている調査兵もいるようだった。
それに、調査と言うくらいだから、何かを調べている兵団なのかもしれない。
巨人と戦う訓練というのは、たとえば自衛隊のように、何かあったときの戦闘スキルを身に着けているということなのだろう。
なまえの身には、その何かがあってしまって、巨人と戦うことになったのだろうかー。
考えてもよく分からないし、巨人のことは思い出すだけで怖いので、思考はそこで停止させた。
分かったのは、私は、この世界のことを何も知らないということだけー。
しばらく歩いていると、すぐ近くの扉が開いた。
出てきたのは、ミケだった。その後ろから、ナナバとゲルガーが続く。
彼らはいつも3人でいるけれど、ハンジとモブリットがいつもセットでいるのと同じような感じだろうか。
「あぁ、今日はなまえが兵舎の見回りをしているんだったな。」
ミケが私を見て少し驚いた後、納得したように言う。
「そうだったの?
昨日の夜は、今日はリヴァイが非番でデートに行くんだってハンジから聞いたけど?」
「アレだろ、今朝、エレンが発作起こしたんだよ。
だから、また巨人化しちまわねぇようにリヴァイは1日中監視だって聞いたぜ。」
「あぁ、そうだ。今日は1日中、リヴァイは地下牢の見張りだ。」
「へぇ、そうだったのか。デートの日に、困った新兵だね。」
ミケ達の話で、急遽任務が入ったリヴァイの事情を理解した。
私も聞こうとはしなかったし、リヴァイもハンジ達も、教えてはくれなかったから。
リヴァイ達は、私がまた怖がると思って、エレンの話をしなかったのかもしれない。
今日は1日中兵舎を見回って何をするのかと訊いてきたミケ達に、とりあえず隅々まで観察すると伝える。
すると、彼らは今日は1日中、書類仕事で会議室にいるので、何かあればいつでも頼っていいと言ってくれた。
礼を言って、私は彼らに背を向ける。
でも、すぐにゲルガーに呼び止められた。
「もう高いとこに上るんじゃねぇぞ。
また滑って転んで落っこちるからな。」
振り返った私に、ゲルガーが意地悪く言う。
飛び降りたのを見ていたはずの彼の優しい言い方に、なまえは友人に恵まれていたのだと知った。
「心配しないで。もう二度と落ちないよ。」
私は笑って、彼らに手を振った。