◇34話◇言葉にしてはいけない気持ち
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少し前に、ハンジとモブリットは出て行った。
エルヴィンの元へ行くそうだ。今回のことの報告は、彼らの方が正しい情報を伝えられるからだろう。
当然だけれど、寝室の窓から見る外の景色は、古城とは違っていた。
でも、やけに空が綺麗なところは同じで、私はまだ知らない世界にいるのだなと思い知らされる。
『もしも、このまま元の世界に帰れなかったら、私はなまえになるよ。
私は巨人とは戦えないし、頼れる人もいないし、
この世界で生きていくには、それしかないから…。』
必ず元の世界に帰れる道を探すからと言ってくれた彼らに、私は、鏡が割れたときからずっと考えていたことを伝えた。
仕方がない。
もう私には、その道しか残っていない。
それに対して、ハンジとモブリットが反対することはなかった。
それがいいとも悪いとも言わなかったのはきっと、彼らも、どちらにしろそうするしかないのだと分かっていたのだろう。
カチャリー。
静かに扉が開く音がして、窓の外を向いていた視線を移した。
部屋に入ってきたリヴァイと目が合う。
「明日は一日休めだそうだ。」
「そっか…。迷惑かけて、ごめんね。」
「心配はしたが、迷惑だとは思ってねぇ。」
リヴァイはベッドに座ると、私の手に触れた。
低めの体温は、いつも私が温めている。
なまえが、彼の冷たい身体と心を温めてくれればいいのにー。
パラレルワールドだと分かったときから、私が思うことは変わらない。
「明日、どこか行きたい場所はあるか?」
「行きたい場所?」
「あぁ、好きなとこに連れてってやる。」
「でも、どこに何があるのかも分からないし…。」
「それなら、よく2人で行った飯屋にー。」
「行きたくない。」
気づいたら、へそを曲げた子供みたいに不機嫌に頬を膨らませていた。
なまえになる、と言ったそばから、私は何をしてるのだろう。
リヴァイも戸惑っているじゃないか。
不機嫌から一転して、瞬く間に、自己嫌悪に陥る。
「今まで、2人で行ったことのない場所に、行ってみたい。
初めて行く場所に、一緒に行きたい。」
「よし、分かった。何処へ行くか考えておく。
明日は、初めての場所に2人でデートに行こう。」
リヴァイの口から、デートなんて言葉が出るのが意外で、思わず笑ってしまった。
さっきまでの塞ぎ込んだ気持ちが、リヴァイの言葉であっという間に浄化されていく。
あっという間に、絶望的だった明日が、楽しみな明日に変わる。
その心の変化の理由を説明する言葉はもう、ひとつしか思いつかなかったけれど、私はそれを認めてはいけない。
私は、この世界の人間では、ないのだからー。
どんなに足掻こうが、この世界で私は、偽物にしかなれないのだ。
エルヴィンの元へ行くそうだ。今回のことの報告は、彼らの方が正しい情報を伝えられるからだろう。
当然だけれど、寝室の窓から見る外の景色は、古城とは違っていた。
でも、やけに空が綺麗なところは同じで、私はまだ知らない世界にいるのだなと思い知らされる。
『もしも、このまま元の世界に帰れなかったら、私はなまえになるよ。
私は巨人とは戦えないし、頼れる人もいないし、
この世界で生きていくには、それしかないから…。』
必ず元の世界に帰れる道を探すからと言ってくれた彼らに、私は、鏡が割れたときからずっと考えていたことを伝えた。
仕方がない。
もう私には、その道しか残っていない。
それに対して、ハンジとモブリットが反対することはなかった。
それがいいとも悪いとも言わなかったのはきっと、彼らも、どちらにしろそうするしかないのだと分かっていたのだろう。
カチャリー。
静かに扉が開く音がして、窓の外を向いていた視線を移した。
部屋に入ってきたリヴァイと目が合う。
「明日は一日休めだそうだ。」
「そっか…。迷惑かけて、ごめんね。」
「心配はしたが、迷惑だとは思ってねぇ。」
リヴァイはベッドに座ると、私の手に触れた。
低めの体温は、いつも私が温めている。
なまえが、彼の冷たい身体と心を温めてくれればいいのにー。
パラレルワールドだと分かったときから、私が思うことは変わらない。
「明日、どこか行きたい場所はあるか?」
「行きたい場所?」
「あぁ、好きなとこに連れてってやる。」
「でも、どこに何があるのかも分からないし…。」
「それなら、よく2人で行った飯屋にー。」
「行きたくない。」
気づいたら、へそを曲げた子供みたいに不機嫌に頬を膨らませていた。
なまえになる、と言ったそばから、私は何をしてるのだろう。
リヴァイも戸惑っているじゃないか。
不機嫌から一転して、瞬く間に、自己嫌悪に陥る。
「今まで、2人で行ったことのない場所に、行ってみたい。
初めて行く場所に、一緒に行きたい。」
「よし、分かった。何処へ行くか考えておく。
明日は、初めての場所に2人でデートに行こう。」
リヴァイの口から、デートなんて言葉が出るのが意外で、思わず笑ってしまった。
さっきまでの塞ぎ込んだ気持ちが、リヴァイの言葉であっという間に浄化されていく。
あっという間に、絶望的だった明日が、楽しみな明日に変わる。
その心の変化の理由を説明する言葉はもう、ひとつしか思いつかなかったけれど、私はそれを認めてはいけない。
私は、この世界の人間では、ないのだからー。
どんなに足掻こうが、この世界で私は、偽物にしかなれないのだ。