◇32話◇サヨナラ
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騒がしい仲間達の怒号や笑い声が響く酒場。
リヴァイにとって、久しぶりの酒の席だった。
酒には強い方だけれど、特に好きというわけでもない。
それでも、友人から誘われれば顔を出すことくらいはあった。
でも、あの日から、世界は白と黒になって、誰の声も耳を通り抜けて、虚しくなった。
自分を元気づけようとハンジ達が誘ってくれたのも分かっていたけれど、酒を呑んで忘れられるようなものでもないと理解していたから、返事すらしないで部屋に籠っていた。
でも、もう、違うー。
なまえは戻って来てくれた。
もう二度と放さない。
いつか消えてしまうのか、考えるのはもうやめた。
そんなこと、自分がさせなきゃいいだけだと思ったからだ。
それが、たとえー。
「なまえがいねぇが、何処へ行った。」
漸く、ゲルガーのしつこい絡み酒をナナバに押しつけたリヴァイは、ニファに声をかけた。
さっきまで、なまえはニファと話していたはずだ。
ちゃんと視界の端にとらえていたのにー。
ゲルガーをナナバのところに連れて行っている間に、姿がなくなっていた。
「トイレに行きましたよ。」
「あぁ、そうか。」
ホッとして、グラスをテーブルの上に置いた。
トイレに行っているだけなら、待っていればいいのだろうが、早くその姿を確認したかった。
彼女が生きていることを、ちゃんとこの目でー。
だから、席を立って、トイレのある店の奥へ向かう。
廊下の奥に男女別のトイレがあるつくりであることは、馴染みの店なので知っていた。
だから、廊下の入口で壁に寄り掛かり、なまえが出てくるのを待った。
だがー。
「おい、どうしてお前が出てくる。」
「…トイレに行ったからです。」
廊下の奥から出てきたのは、ミケの分隊所属のリーネだった。
僅かに目を見開き、責めるように言うリヴァイに、リーネは戸惑いがちに答えた。
この廊下の先にはトイレしかない。
だから、リーネの答えは想定通りだ。
だが、そんなのはおかしい。
だって、男女それぞれ、個室が1つあるだけなのだ。
リーネがトイレに入っていたというのなら、なまえはどこにいるのだ。
「なまえを見たか?」
「私がトイレに行く前に、なまえがニファと話してるのは見ましたけど。」
「チッ。どけ!」
リヴァイは、怒りと焦りが混ざったような様子で、リーネの肩を強引に押して、廊下の奥に走った。
手前にあるのが男子トイレ。その奥に女子トイレがある。
男子トイレには誰もいないようで、扉が開いていた。
女子トイレは、リーネが閉めたのか扉が閉まっていたから、リヴァイが勢いよく開けてー。
古城から、なまえが逃げた、あのときと同じだ。
冷たい風が、リヴァイの髪を靡かせた。
「クソッ!」
どうして目を離したー。
絶対に、放さないと決めていたのにー。
なにがなんでも、どんなことをしても、絶対に放さないとー。
「どうしたんですか!?そこ女子トイレですよ!!」
追いかけて来たリーネに、リヴァイは怒鳴るように指示を出す。
「なまえが逃げた!!すぐに探しだせ!!必ず!生きてだ!!」
「…!?はいッ!!すぐにミケ分隊長達に伝えます!!」
リーネは真っ青な顔で叫んで、来た廊下を走って戻って行く。
あぁ、またか。
どうして、なまえは逃げて行くー。
戻って来てくれたくせに、どうしてー。
リヴァイにとって、久しぶりの酒の席だった。
酒には強い方だけれど、特に好きというわけでもない。
それでも、友人から誘われれば顔を出すことくらいはあった。
でも、あの日から、世界は白と黒になって、誰の声も耳を通り抜けて、虚しくなった。
自分を元気づけようとハンジ達が誘ってくれたのも分かっていたけれど、酒を呑んで忘れられるようなものでもないと理解していたから、返事すらしないで部屋に籠っていた。
でも、もう、違うー。
なまえは戻って来てくれた。
もう二度と放さない。
いつか消えてしまうのか、考えるのはもうやめた。
そんなこと、自分がさせなきゃいいだけだと思ったからだ。
それが、たとえー。
「なまえがいねぇが、何処へ行った。」
漸く、ゲルガーのしつこい絡み酒をナナバに押しつけたリヴァイは、ニファに声をかけた。
さっきまで、なまえはニファと話していたはずだ。
ちゃんと視界の端にとらえていたのにー。
ゲルガーをナナバのところに連れて行っている間に、姿がなくなっていた。
「トイレに行きましたよ。」
「あぁ、そうか。」
ホッとして、グラスをテーブルの上に置いた。
トイレに行っているだけなら、待っていればいいのだろうが、早くその姿を確認したかった。
彼女が生きていることを、ちゃんとこの目でー。
だから、席を立って、トイレのある店の奥へ向かう。
廊下の奥に男女別のトイレがあるつくりであることは、馴染みの店なので知っていた。
だから、廊下の入口で壁に寄り掛かり、なまえが出てくるのを待った。
だがー。
「おい、どうしてお前が出てくる。」
「…トイレに行ったからです。」
廊下の奥から出てきたのは、ミケの分隊所属のリーネだった。
僅かに目を見開き、責めるように言うリヴァイに、リーネは戸惑いがちに答えた。
この廊下の先にはトイレしかない。
だから、リーネの答えは想定通りだ。
だが、そんなのはおかしい。
だって、男女それぞれ、個室が1つあるだけなのだ。
リーネがトイレに入っていたというのなら、なまえはどこにいるのだ。
「なまえを見たか?」
「私がトイレに行く前に、なまえがニファと話してるのは見ましたけど。」
「チッ。どけ!」
リヴァイは、怒りと焦りが混ざったような様子で、リーネの肩を強引に押して、廊下の奥に走った。
手前にあるのが男子トイレ。その奥に女子トイレがある。
男子トイレには誰もいないようで、扉が開いていた。
女子トイレは、リーネが閉めたのか扉が閉まっていたから、リヴァイが勢いよく開けてー。
古城から、なまえが逃げた、あのときと同じだ。
冷たい風が、リヴァイの髪を靡かせた。
「クソッ!」
どうして目を離したー。
絶対に、放さないと決めていたのにー。
なにがなんでも、どんなことをしても、絶対に放さないとー。
「どうしたんですか!?そこ女子トイレですよ!!」
追いかけて来たリーネに、リヴァイは怒鳴るように指示を出す。
「なまえが逃げた!!すぐに探しだせ!!必ず!生きてだ!!」
「…!?はいッ!!すぐにミケ分隊長達に伝えます!!」
リーネは真っ青な顔で叫んで、来た廊下を走って戻って行く。
あぁ、またか。
どうして、なまえは逃げて行くー。
戻って来てくれたくせに、どうしてー。