◇25話◇白いロングワンピース
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昼間、眠ることが出来たからか、少し頭がスッキリしていた。
執務室の窓を開ければ、外気が流れて、白いカーテンと白いワンピースをふわりと揺らした。
夕方になって、冷たくなった風が頬をひんやりと撫でて、気持ちがいい。
だから、頬を撫でたあの暖かい大きな手を思い出す。
『ツラいことがあればいつでも言って。
事情を知ってる俺にしか言えないこともあるだろう?』
休憩が終わって、任務に戻る前にモブリットが言ってくれた言葉はとても心強かった。
意味の分からないパラレルワールドなんかに飛ばされてしまって、いきなり知らない男の恋人役を押しつけられて、そしてー。
この世界は、ツラいことしかない。
「窓を開けたのか。」
扉が開く音に気づかなかった。
リヴァイが帰って来たらしい。
振り返れば、彼は、いつものように兵団ジャケットをクローゼットにかけていた。
「空気を入れ替えようかなと思って。」
「そうか。」
さほど興味もなさそうに言いながらクラヴァットを外したリヴァイは、それもクローゼットにかけてから、窓辺へとやってきた。
「昼間は天使が恵みの雨を降らせてたと聞いたが、それはお前か。」
隣に立った途端、そう訊いてきたリヴァイは、どこか忌々し気に私を見た。
何が気に入らなかったのかよく分からず、戸惑いながら答える。
「訓練場の休憩所に行ったら、みんなが水浴びしてたから
私がかけましょうかって声をかけてみたの。
危ないことはしてないと思うんだけど…、ダメだった?」
「いや。ハンジも、今日の訓練は部下もやる気が出ていてよかったと言っていたから、
それはいい。むしろ、ありがたい。」
「そっか。ならよかった。
じゃあ、明日も遊びに行こうかな。」
リヴァイが、私のしたことを褒めてくれたみたいで、嬉しかった。
赤い夕陽に照らされる顔を隠すように少し下を向いて、笑顔を噛みしめる。
「でも、もうその服は着るな。」
「え?」
なんで?-。
意味が分からな過ぎて、それを聞くことすら出来ずにポカンとリヴァイを見た。
でも、リヴァイは忌々し気に私をー。
違う、白いロングワンピースを睨んでいるのだ。
「そんなものを着てるから天使なんてわけのわからねぇことを言われちまうんだ。
ちゃんと、自分の服を着ろ。」
「…っ、違うよ。これだって、私の服だよっ。
レースも綺麗だし、風にユラユラ揺れて可愛いー。」
「俺は好きじゃねぇ。」
とにかく元々の自分の服を着ろー。
リヴァイはそれだけを、まるで部下に命令でもするように言って、寝室へと入って行った。
兵団服を脱いで、部屋着に着替えるのだろう。
夕方になって冷えた風が、暖かくて大きな手が撫でた私の頬に触れる。
そうやって、体温を奪っていく。
今朝、私はどうして、この白いロングワンピースを選んで着たのだろう。
今日までは、リヴァイが持ってきたなまえの洋服を素直に着ていたはずなのに、どうしてー。
私は、なまえでいないといけないのに、どうしてー。
『俺は、いつでも君の味方だからね。
これは、なまえじゃなくて、君に言ってるんだよ。』
赤い夕陽が照らす虚しいだけの部屋で、モブリットの声がBGMみたいに蘇って、フラッシュ映像みたいに、昨日の夜の記憶がチラつく。
星空を見上げるリヴァイの端正な横顔。
なまえしか見えていない真っすぐで綺麗な瞳。
あぁ、今、凄く、元の世界にー。
「リヴァイ。私は、この服、好きなんだよ…。」
帰りたいー。
執務室の窓を開ければ、外気が流れて、白いカーテンと白いワンピースをふわりと揺らした。
夕方になって、冷たくなった風が頬をひんやりと撫でて、気持ちがいい。
だから、頬を撫でたあの暖かい大きな手を思い出す。
『ツラいことがあればいつでも言って。
事情を知ってる俺にしか言えないこともあるだろう?』
休憩が終わって、任務に戻る前にモブリットが言ってくれた言葉はとても心強かった。
意味の分からないパラレルワールドなんかに飛ばされてしまって、いきなり知らない男の恋人役を押しつけられて、そしてー。
この世界は、ツラいことしかない。
「窓を開けたのか。」
扉が開く音に気づかなかった。
リヴァイが帰って来たらしい。
振り返れば、彼は、いつものように兵団ジャケットをクローゼットにかけていた。
「空気を入れ替えようかなと思って。」
「そうか。」
さほど興味もなさそうに言いながらクラヴァットを外したリヴァイは、それもクローゼットにかけてから、窓辺へとやってきた。
「昼間は天使が恵みの雨を降らせてたと聞いたが、それはお前か。」
隣に立った途端、そう訊いてきたリヴァイは、どこか忌々し気に私を見た。
何が気に入らなかったのかよく分からず、戸惑いながら答える。
「訓練場の休憩所に行ったら、みんなが水浴びしてたから
私がかけましょうかって声をかけてみたの。
危ないことはしてないと思うんだけど…、ダメだった?」
「いや。ハンジも、今日の訓練は部下もやる気が出ていてよかったと言っていたから、
それはいい。むしろ、ありがたい。」
「そっか。ならよかった。
じゃあ、明日も遊びに行こうかな。」
リヴァイが、私のしたことを褒めてくれたみたいで、嬉しかった。
赤い夕陽に照らされる顔を隠すように少し下を向いて、笑顔を噛みしめる。
「でも、もうその服は着るな。」
「え?」
なんで?-。
意味が分からな過ぎて、それを聞くことすら出来ずにポカンとリヴァイを見た。
でも、リヴァイは忌々し気に私をー。
違う、白いロングワンピースを睨んでいるのだ。
「そんなものを着てるから天使なんてわけのわからねぇことを言われちまうんだ。
ちゃんと、自分の服を着ろ。」
「…っ、違うよ。これだって、私の服だよっ。
レースも綺麗だし、風にユラユラ揺れて可愛いー。」
「俺は好きじゃねぇ。」
とにかく元々の自分の服を着ろー。
リヴァイはそれだけを、まるで部下に命令でもするように言って、寝室へと入って行った。
兵団服を脱いで、部屋着に着替えるのだろう。
夕方になって冷えた風が、暖かくて大きな手が撫でた私の頬に触れる。
そうやって、体温を奪っていく。
今朝、私はどうして、この白いロングワンピースを選んで着たのだろう。
今日までは、リヴァイが持ってきたなまえの洋服を素直に着ていたはずなのに、どうしてー。
私は、なまえでいないといけないのに、どうしてー。
『俺は、いつでも君の味方だからね。
これは、なまえじゃなくて、君に言ってるんだよ。』
赤い夕陽が照らす虚しいだけの部屋で、モブリットの声がBGMみたいに蘇って、フラッシュ映像みたいに、昨日の夜の記憶がチラつく。
星空を見上げるリヴァイの端正な横顔。
なまえしか見えていない真っすぐで綺麗な瞳。
あぁ、今、凄く、元の世界にー。
「リヴァイ。私は、この服、好きなんだよ…。」
帰りたいー。