◇27話◇作戦ミス発覚
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ハンジは、リヴァイの執務室に来ていた。
今日、調査兵達が珍しく書類仕事をしているのは、雨が降ったせいだ。
訓練も出来ず、実験も出来ない。
出来ることは、壁外調査前に溜まった書類を捌くことで、調査兵達が一番嫌いな仕事のひとつだ。
モブリットが修正を加えた壁外調査の作戦立案書を渡したハンジは、リヴァイが書類の確認をしている間、なんとなくデスクの上を眺めていた。
そこで、小さな箱を見つける。
どう見ても、中に入っているのはひとつしか考えられない。
指輪だー。
「リヴァイ、これどうしたの?」
ハンジは、見つけた小さな箱を指さした。
書類に視線を落としていたリヴァイが顔を上げる。
「なまえのだ。」
「うん、だろうね。君のは左手の薬指にあるから。
私が知りたいのは、なまえの指輪がどうしてここにあるのかってことだよ。
君が引き取るのを拒否したから、ご家族のところにあるんじゃなかった?」
「エルドに取りに行かせたからだ。
アイツはなまえの両親とも顔見知りだったからな。」
「だから、なんで?」
「なまえが記憶を取り戻しつつある。」
「…いや、ないでしょ。エレンのことちょこっと思い出しただけだよ。
あとは全く思い出してない。私達のことも、リヴァイのことも。」
「だが、俺に対する態度が柔らかくなった。」
私のお陰だけどー。演技だけどー。
そんなこと、ハンジが言えるわけがない。
なんとかため息を呑み込んで、続ける。
「…まぁ、それはそうだね。
それで、もしかして、その指輪を渡すつもり?」
「今はまだ渡さねぇ。なまえが記憶を取り戻すかも分からねぇが、
どちらにしろ、気持ちが戻れば、もう一度、プロポーズする。」
オーマイガー!
リヴァイは、現実を受け入れる時間を持つどころか、全く別のベクトルへ向かってしまった。
これは完全なるハンジの作戦ミスだ。
今、リヴァイがこんなことを考えていると彼女が知れば、今すぐにでもパラレルワールドに帰せと逃げ出すに違いない。
これは、マズい。
「ねぇ、リヴァイ。なまえはさ、確かに今はそばにいる。なぜかわからないけどね。
でも、いつまでもこの世界にいると思う?いつかきっとー。」
「なまえは消えねぇ。なぜなら、俺が放さねぇからだ。以上。」
リヴァイは、話は終わりだとばかりに言って、また書類に視線を落とす。
オーマイガー、第二弾だ。
これは絶対に、彼女に怒られる。
最愛の恋人の命が奪われ、失意のどん底の中で現れたた天使に、脳みそがやられている。
いや、きっと、深く考えないようにしているのだろう。
考えてしまえば、今の状況を疑問に思わないといけなくなるし、いつかの別れも覚悟しないといけなくなる。
だからきっとー。
「そういえば、今、なまえは何してるの?いないけど。」
ハンジは執務室を見渡した。
少し前までは、休憩場で訓練に励んでいた調査兵達に、なまえが恵みの雨を降らせていたようだった。
でも、最近はその姿も見ていないー。
ハンジの質問に、リヴァイは書類を読みながらで答える。
「あぁ、最近、夜眠れなくなっちまったみてぇで、昼間に寝かせてる。」
「えっ!?不眠症!?」
「いや、昼間はぐっすり眠ってる。夜だけ眠れねぇらしい。」
「そっか…。」
ハンジは、腕を組み、眉間に皴を寄せる。
そろそろ彼女の心も身体も限界を迎えているのかもしれない。
リヴァイの心の傷を少しでも浅くー、というのは大前提だけれど、だからといって彼女を傷つけてもいいという大義名分にはならない。
早急に帰れる方法を探しつつ、リヴァイが現実を見るきっかけを作らないといけない。
「夜も眠れないってどういうことだろうね。心配だね。」
「まぁな。」
リヴァイはやっぱり、書類に視線を落としたまま答える。
どうしてだろう。
凄く違和感があるー。
「ねぇ、本当に心配してる?」
「あぁ、してる。」
「本当?」
「うるせぇな。してるに決まってるだろ。」
リヴァイが面倒くさそうに言って、雑に頭を掻く。
嘘だ。
だって、リヴァイは書類から顔を上げない。
絶対に、ハンジの方を見ようとはしない。
それって、嘘を吐いているからじゃないのかー。
まさか本当に、なまえが身体を壊そうとしているのに、心配していないのかー。
「リヴァイ、眠れないって言うのはとても重要な身体のSOSのサインだ。
きっと無理をしてるんだよ。なぜだか分かる?君のためだよ。
もう、解放してあげた方がー。」
「記憶を戻す。もしくは、なまえがまた気持ちを戻せば、それも解決する。
俺がどうにかする。お前は何も心配しなくていい。構わないでくれ。」
「…また来るよ。とりあえず、書類は届けたから。」
ハンジはそう言って、リヴァイに背を向ける。
これ以上言っても、無駄だと判断した。
リヴァイは、今ここにあるなまえの命しか見えていない。
もうとっくに、リヴァイの心は壊れていたー。
手遅れだったのかもしれないー。
部屋を出て、扉を閉める。
そして、ハンジは頭を抱えた。
時間をかければ、リヴァイの心は元に戻ると思っていた。
浅はかだったー。
今日、調査兵達が珍しく書類仕事をしているのは、雨が降ったせいだ。
訓練も出来ず、実験も出来ない。
出来ることは、壁外調査前に溜まった書類を捌くことで、調査兵達が一番嫌いな仕事のひとつだ。
モブリットが修正を加えた壁外調査の作戦立案書を渡したハンジは、リヴァイが書類の確認をしている間、なんとなくデスクの上を眺めていた。
そこで、小さな箱を見つける。
どう見ても、中に入っているのはひとつしか考えられない。
指輪だー。
「リヴァイ、これどうしたの?」
ハンジは、見つけた小さな箱を指さした。
書類に視線を落としていたリヴァイが顔を上げる。
「なまえのだ。」
「うん、だろうね。君のは左手の薬指にあるから。
私が知りたいのは、なまえの指輪がどうしてここにあるのかってことだよ。
君が引き取るのを拒否したから、ご家族のところにあるんじゃなかった?」
「エルドに取りに行かせたからだ。
アイツはなまえの両親とも顔見知りだったからな。」
「だから、なんで?」
「なまえが記憶を取り戻しつつある。」
「…いや、ないでしょ。エレンのことちょこっと思い出しただけだよ。
あとは全く思い出してない。私達のことも、リヴァイのことも。」
「だが、俺に対する態度が柔らかくなった。」
私のお陰だけどー。演技だけどー。
そんなこと、ハンジが言えるわけがない。
なんとかため息を呑み込んで、続ける。
「…まぁ、それはそうだね。
それで、もしかして、その指輪を渡すつもり?」
「今はまだ渡さねぇ。なまえが記憶を取り戻すかも分からねぇが、
どちらにしろ、気持ちが戻れば、もう一度、プロポーズする。」
オーマイガー!
リヴァイは、現実を受け入れる時間を持つどころか、全く別のベクトルへ向かってしまった。
これは完全なるハンジの作戦ミスだ。
今、リヴァイがこんなことを考えていると彼女が知れば、今すぐにでもパラレルワールドに帰せと逃げ出すに違いない。
これは、マズい。
「ねぇ、リヴァイ。なまえはさ、確かに今はそばにいる。なぜかわからないけどね。
でも、いつまでもこの世界にいると思う?いつかきっとー。」
「なまえは消えねぇ。なぜなら、俺が放さねぇからだ。以上。」
リヴァイは、話は終わりだとばかりに言って、また書類に視線を落とす。
オーマイガー、第二弾だ。
これは絶対に、彼女に怒られる。
最愛の恋人の命が奪われ、失意のどん底の中で現れたた天使に、脳みそがやられている。
いや、きっと、深く考えないようにしているのだろう。
考えてしまえば、今の状況を疑問に思わないといけなくなるし、いつかの別れも覚悟しないといけなくなる。
だからきっとー。
「そういえば、今、なまえは何してるの?いないけど。」
ハンジは執務室を見渡した。
少し前までは、休憩場で訓練に励んでいた調査兵達に、なまえが恵みの雨を降らせていたようだった。
でも、最近はその姿も見ていないー。
ハンジの質問に、リヴァイは書類を読みながらで答える。
「あぁ、最近、夜眠れなくなっちまったみてぇで、昼間に寝かせてる。」
「えっ!?不眠症!?」
「いや、昼間はぐっすり眠ってる。夜だけ眠れねぇらしい。」
「そっか…。」
ハンジは、腕を組み、眉間に皴を寄せる。
そろそろ彼女の心も身体も限界を迎えているのかもしれない。
リヴァイの心の傷を少しでも浅くー、というのは大前提だけれど、だからといって彼女を傷つけてもいいという大義名分にはならない。
早急に帰れる方法を探しつつ、リヴァイが現実を見るきっかけを作らないといけない。
「夜も眠れないってどういうことだろうね。心配だね。」
「まぁな。」
リヴァイはやっぱり、書類に視線を落としたまま答える。
どうしてだろう。
凄く違和感があるー。
「ねぇ、本当に心配してる?」
「あぁ、してる。」
「本当?」
「うるせぇな。してるに決まってるだろ。」
リヴァイが面倒くさそうに言って、雑に頭を掻く。
嘘だ。
だって、リヴァイは書類から顔を上げない。
絶対に、ハンジの方を見ようとはしない。
それって、嘘を吐いているからじゃないのかー。
まさか本当に、なまえが身体を壊そうとしているのに、心配していないのかー。
「リヴァイ、眠れないって言うのはとても重要な身体のSOSのサインだ。
きっと無理をしてるんだよ。なぜだか分かる?君のためだよ。
もう、解放してあげた方がー。」
「記憶を戻す。もしくは、なまえがまた気持ちを戻せば、それも解決する。
俺がどうにかする。お前は何も心配しなくていい。構わないでくれ。」
「…また来るよ。とりあえず、書類は届けたから。」
ハンジはそう言って、リヴァイに背を向ける。
これ以上言っても、無駄だと判断した。
リヴァイは、今ここにあるなまえの命しか見えていない。
もうとっくに、リヴァイの心は壊れていたー。
手遅れだったのかもしれないー。
部屋を出て、扉を閉める。
そして、ハンジは頭を抱えた。
時間をかければ、リヴァイの心は元に戻ると思っていた。
浅はかだったー。