◇19話◇惚れたらいけないよ
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泣き疲れたのと、痛み止めの薬が効いてなまえが眠りに着いた頃、エレンを地下まで連れて行っていたリヴァイが戻って来た。
それと入れ替わりに医務室を出たハンジとモブリットは、旧調査兵団本部の裏手に即席で建てた巨人研究所に来ていた。
巨人研究所といっても、見た目も中身もただの小屋に過ぎない。
そこで巨人の研究をすると言うよりも、夜間の見張りをする調査兵の為の寝床と化している。
自分達がエレンの巨人化実験につきっきりになっている間にも、ハンジ班のメンバーには被験体への実験をお願いしていた。
ハンジとモブリットが、巨人研究所という名の小屋にやってきたのは、その結果報告書の確認をするためだ。
すぐに、いつものようにテーブルを挟んで向かい合って座りながら、今日の報告書の確認を始めるー。
「俺、なまえも彼女も、やっぱり同一人物なんだって思ってしまったんです。」
モブリットの声に、ハンジは書類に落としていた視線を上げた。
だが、喋り出した本人は、開いた書類に視線を落としたままだった。
但し、申し訳なさそうに眉尻を下げている彼が、本当に報告書をきちんと読んでいるのかは分からない。
「でも、違ったっていう言い方だね。」
「なまえは強い女性でしたから。いつも凛々しくて、勇敢で、同期の憧れでした。
でも、彼女は、立体起動装置をつけて立つことすらままならないくらい力もなくて
巨人を思い出すだけで泣いてしまう。全く違う人間なんですね。」
「そうだね。ミケが匂いが同じだって言うくらいだから、元は同じ人間なんだろうけど、
育った環境が違うと、いろいろ違いも出てくるんだろうね。」
「彼女は、儚い。か弱くて、誰かが支えていないとすぐに倒れてしまいそうだ。」
「…惚れたらいけないよ。後で大変なことになるのはモブリットだ。」
モブリットの伏し目がちな物憂げな表情と遠い目は、報告書を読んでいるようには見えなかった。
だから、心配になって、思わず言ってしまった。
勢いよく、モブリットの顔が上がる。
「惚れませんよ!彼女はリヴァイ兵長の恋人…役なんですから!!
惚れたりなんかしたら、大変なことになるって分かってますっ!」
「違うよ。彼女はいつか元の世界に戻るんだ。
惚れたりなんかしたら、後でつらくなる。だから、惚れたらいけないよ。」
「…分かってますよ。それくらい。」
モブリットはまた、報告書に視線を落とした。
やっぱり、ちゃんと読んでいるのかは分からない。
でも、いつも通りの彼に見えた。
彼女は確かになまえじゃない。
パラレルワールドから来たのだと分かった途端に、彼女となまえの違いが明確に見えるようになったからこそ、モブリットはその違いに戸惑っているだけなのだろう。
大切な右腕が、苦しむ姿は見たくなくて、ハンジは無理やりそう結論づけた。
いや、もし、万が一のことがあっても、きっとそういうことだと強引に説得するつもりだ。
いつか必ず、彼女は元の世界に戻るのだからー。
それと入れ替わりに医務室を出たハンジとモブリットは、旧調査兵団本部の裏手に即席で建てた巨人研究所に来ていた。
巨人研究所といっても、見た目も中身もただの小屋に過ぎない。
そこで巨人の研究をすると言うよりも、夜間の見張りをする調査兵の為の寝床と化している。
自分達がエレンの巨人化実験につきっきりになっている間にも、ハンジ班のメンバーには被験体への実験をお願いしていた。
ハンジとモブリットが、巨人研究所という名の小屋にやってきたのは、その結果報告書の確認をするためだ。
すぐに、いつものようにテーブルを挟んで向かい合って座りながら、今日の報告書の確認を始めるー。
「俺、なまえも彼女も、やっぱり同一人物なんだって思ってしまったんです。」
モブリットの声に、ハンジは書類に落としていた視線を上げた。
だが、喋り出した本人は、開いた書類に視線を落としたままだった。
但し、申し訳なさそうに眉尻を下げている彼が、本当に報告書をきちんと読んでいるのかは分からない。
「でも、違ったっていう言い方だね。」
「なまえは強い女性でしたから。いつも凛々しくて、勇敢で、同期の憧れでした。
でも、彼女は、立体起動装置をつけて立つことすらままならないくらい力もなくて
巨人を思い出すだけで泣いてしまう。全く違う人間なんですね。」
「そうだね。ミケが匂いが同じだって言うくらいだから、元は同じ人間なんだろうけど、
育った環境が違うと、いろいろ違いも出てくるんだろうね。」
「彼女は、儚い。か弱くて、誰かが支えていないとすぐに倒れてしまいそうだ。」
「…惚れたらいけないよ。後で大変なことになるのはモブリットだ。」
モブリットの伏し目がちな物憂げな表情と遠い目は、報告書を読んでいるようには見えなかった。
だから、心配になって、思わず言ってしまった。
勢いよく、モブリットの顔が上がる。
「惚れませんよ!彼女はリヴァイ兵長の恋人…役なんですから!!
惚れたりなんかしたら、大変なことになるって分かってますっ!」
「違うよ。彼女はいつか元の世界に戻るんだ。
惚れたりなんかしたら、後でつらくなる。だから、惚れたらいけないよ。」
「…分かってますよ。それくらい。」
モブリットはまた、報告書に視線を落とした。
やっぱり、ちゃんと読んでいるのかは分からない。
でも、いつも通りの彼に見えた。
彼女は確かになまえじゃない。
パラレルワールドから来たのだと分かった途端に、彼女となまえの違いが明確に見えるようになったからこそ、モブリットはその違いに戸惑っているだけなのだろう。
大切な右腕が、苦しむ姿は見たくなくて、ハンジは無理やりそう結論づけた。
いや、もし、万が一のことがあっても、きっとそういうことだと強引に説得するつもりだ。
いつか必ず、彼女は元の世界に戻るのだからー。