◇18話◇兵士の記憶(後編)
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どういう状況で巨人化してしまったのかは、エレンの説明で理解した。
おそらく、なまえとリヴァイに対して罪悪感のあったエレンは、彼女の誤解を解きたいと心から願ってしまったのだろう。
それが、巨人化する目的になってしまったー。
自傷行為が続いたせいで、右手が傷だらけだったのも、彼が巨人化出来てしまった原因のひとつだと思われる。
「一応、連れて行くけど…。
リヴァイが近づけてくれるかは分からないよ。」
どうしてもなまえに謝りたいというエレンの熱意に負けて、ハンジとモブリットは医務室へ向かっていた。
正直、なまえが死んでしまった状況も、今回の状況も、エレンだけを責めるのは酷だと思う。
彼も、どうして自分が巨人化出来るのか分かっていないようだし、そもそもなまえは任務中の戦死だ。
だから、リヴァイも、エレンに対して思うことがあろうがなかろうが、彼を守るという任務を遂行しているのだ。
ただ、今回のことをリヴァイがどう受け止めているのか。
正直自信がないー。
ハンジに続いて、モブリットとエレンも医務室に入る。
なまえのベッドは、一番奥だった。
その空間だけを仕切るようにカーテンが引かれていて、中の様子は分からない。
彼女は無事だったのだろうか。リヴァイは、無事だろうか。
エレンには、カーテンの向こうで待っているように目で指示を出して、ハンジは、一度深呼吸をすると、カーテンを開くー。
そこには、誰も想像もしていなかった、絶句が待っていた。
「…何やってんの?」
ベッドの上で起き上がったなまえが、リヴァイの両頬をつねって遊んでいた。
やられっぱなしな男ではないリヴァイは、なまえの唇を片手でつまんでいる。
何をしているのかは分からないが、2人ともとてつもなく間抜けな顔をしているのだけは確かだ。
そんな間抜けな姿を他人に見られると思っていなかったらしいなまえとリヴァイは、その間抜けな顔のまま固まってしまった。
そして、そっと手が離れた。
「何もしてねぇ。」
「何もしてない。」
リヴァイとなまえは同時に嘘をついた。
「いやいやっ!してたから!なまえがリヴァイの頬つねって、
リヴァイがなまえの口摘まんでたよ!2人で無言で間抜けな顔してたから!
異様だったよ!すごく!すごく異様だった!!」
「見間違いだよ。私達、すごく静かにしてただけだもん。」
「何言ってんの!?見たから!ねぇ、モブリットも見たよね!?
異様な光景!!あれは何!?」
「ハンジさん、もうやめてあげましょう…。可哀想です。」
「なんで!?だって、分かんないから!!意味が分かんないから!!」
「イチャイチャしてたんですよっ!そっとしてあげてくだー。」
「あーッ!もううるせぇな!何しに来たんだ!!」
リヴァイがキレた。
顔が真っ赤だ。
こんな顔もするのか。知らなかった。
あぁ、そうか、イチャイチャしてたのか。
なまえを見ると、殴られた兵士のように斜め下を向いて項垂れていた。
「エレンが、君達に謝りたいって言っててー。」
「失せろ、と伝えとけ。」
なまえが生きていた頃の柔らかい雰囲気に戻ったようなリヴァイだったのに、エレンの名前が出た途端、纏う空気が一瞬で変わった。
冷たい声色と瞳は、もうエレンを二度と許してやれそうにはなかった。
とりあえず、今は諦めた方がいい。
そう思ったのに、猪突猛進のエレンは、カーテンの向こうから飛び出してきてしまった。
「兵長っ!なまえさんっ!本当にすみませんでしたっ!」
地面に頭がつきそうな勢いでエレンが頭を下げた。
その次の瞬間には、椅子を蹴るように立ち上がったリヴァイが、思いっきりエレンの腹を蹴り飛ばしていた。
後ろのベッドの縁に背中をぶつけて、エレンが地面に落ちる。
そのエレンの胸ぐらを、リヴァイが掴み上げた。
「てめぇには、なまえには近づくなと命令してたはずだ…!
ぶっ殺されたくなけりゃ、二度と俺の前に顔を出すんじゃねぇ!!」
エレンを怒鳴りつけて、リヴァイが拳を振り上げた。
殴られるー。
覚悟をしたのか、エレンは強く目を瞑った。
でもー。
「やめて!!」
なまえが焦ったように叫んだ。
その後すぐに、身体に痛みが走ったのか、苦痛に顔を歪めて、胸のあたりを押さえだす。
「なまえ…!!」
リヴァイがすぐになまえに駆け寄った。
なまえの肩に手を添えて、大丈夫かと顔を覗き込むリヴァイは、ついさっきエレンを本気で殺そうとしていた男とは別人のようだった。
纏う空気もすっかり変わってしまった。
生前のなまえがそばにいたときの、リヴァイの柔らかい空気とも違う。
ただ、また大切な人を失うかもしれないと言う不安と、恐怖と、そして、申し訳ないという罪悪感が、彼を包んでいるようだった。
「…もう、大丈夫。ごめんなさい…。」
なまえは、背中を擦るリヴァイの腕に手を添えて止めた。
そして、ゆっくり顔を上げた彼女は、呆然としているエレンの名前を呼んだー。
おそらく、なまえとリヴァイに対して罪悪感のあったエレンは、彼女の誤解を解きたいと心から願ってしまったのだろう。
それが、巨人化する目的になってしまったー。
自傷行為が続いたせいで、右手が傷だらけだったのも、彼が巨人化出来てしまった原因のひとつだと思われる。
「一応、連れて行くけど…。
リヴァイが近づけてくれるかは分からないよ。」
どうしてもなまえに謝りたいというエレンの熱意に負けて、ハンジとモブリットは医務室へ向かっていた。
正直、なまえが死んでしまった状況も、今回の状況も、エレンだけを責めるのは酷だと思う。
彼も、どうして自分が巨人化出来るのか分かっていないようだし、そもそもなまえは任務中の戦死だ。
だから、リヴァイも、エレンに対して思うことがあろうがなかろうが、彼を守るという任務を遂行しているのだ。
ただ、今回のことをリヴァイがどう受け止めているのか。
正直自信がないー。
ハンジに続いて、モブリットとエレンも医務室に入る。
なまえのベッドは、一番奥だった。
その空間だけを仕切るようにカーテンが引かれていて、中の様子は分からない。
彼女は無事だったのだろうか。リヴァイは、無事だろうか。
エレンには、カーテンの向こうで待っているように目で指示を出して、ハンジは、一度深呼吸をすると、カーテンを開くー。
そこには、誰も想像もしていなかった、絶句が待っていた。
「…何やってんの?」
ベッドの上で起き上がったなまえが、リヴァイの両頬をつねって遊んでいた。
やられっぱなしな男ではないリヴァイは、なまえの唇を片手でつまんでいる。
何をしているのかは分からないが、2人ともとてつもなく間抜けな顔をしているのだけは確かだ。
そんな間抜けな姿を他人に見られると思っていなかったらしいなまえとリヴァイは、その間抜けな顔のまま固まってしまった。
そして、そっと手が離れた。
「何もしてねぇ。」
「何もしてない。」
リヴァイとなまえは同時に嘘をついた。
「いやいやっ!してたから!なまえがリヴァイの頬つねって、
リヴァイがなまえの口摘まんでたよ!2人で無言で間抜けな顔してたから!
異様だったよ!すごく!すごく異様だった!!」
「見間違いだよ。私達、すごく静かにしてただけだもん。」
「何言ってんの!?見たから!ねぇ、モブリットも見たよね!?
異様な光景!!あれは何!?」
「ハンジさん、もうやめてあげましょう…。可哀想です。」
「なんで!?だって、分かんないから!!意味が分かんないから!!」
「イチャイチャしてたんですよっ!そっとしてあげてくだー。」
「あーッ!もううるせぇな!何しに来たんだ!!」
リヴァイがキレた。
顔が真っ赤だ。
こんな顔もするのか。知らなかった。
あぁ、そうか、イチャイチャしてたのか。
なまえを見ると、殴られた兵士のように斜め下を向いて項垂れていた。
「エレンが、君達に謝りたいって言っててー。」
「失せろ、と伝えとけ。」
なまえが生きていた頃の柔らかい雰囲気に戻ったようなリヴァイだったのに、エレンの名前が出た途端、纏う空気が一瞬で変わった。
冷たい声色と瞳は、もうエレンを二度と許してやれそうにはなかった。
とりあえず、今は諦めた方がいい。
そう思ったのに、猪突猛進のエレンは、カーテンの向こうから飛び出してきてしまった。
「兵長っ!なまえさんっ!本当にすみませんでしたっ!」
地面に頭がつきそうな勢いでエレンが頭を下げた。
その次の瞬間には、椅子を蹴るように立ち上がったリヴァイが、思いっきりエレンの腹を蹴り飛ばしていた。
後ろのベッドの縁に背中をぶつけて、エレンが地面に落ちる。
そのエレンの胸ぐらを、リヴァイが掴み上げた。
「てめぇには、なまえには近づくなと命令してたはずだ…!
ぶっ殺されたくなけりゃ、二度と俺の前に顔を出すんじゃねぇ!!」
エレンを怒鳴りつけて、リヴァイが拳を振り上げた。
殴られるー。
覚悟をしたのか、エレンは強く目を瞑った。
でもー。
「やめて!!」
なまえが焦ったように叫んだ。
その後すぐに、身体に痛みが走ったのか、苦痛に顔を歪めて、胸のあたりを押さえだす。
「なまえ…!!」
リヴァイがすぐになまえに駆け寄った。
なまえの肩に手を添えて、大丈夫かと顔を覗き込むリヴァイは、ついさっきエレンを本気で殺そうとしていた男とは別人のようだった。
纏う空気もすっかり変わってしまった。
生前のなまえがそばにいたときの、リヴァイの柔らかい空気とも違う。
ただ、また大切な人を失うかもしれないと言う不安と、恐怖と、そして、申し訳ないという罪悪感が、彼を包んでいるようだった。
「…もう、大丈夫。ごめんなさい…。」
なまえは、背中を擦るリヴァイの腕に手を添えて止めた。
そして、ゆっくり顔を上げた彼女は、呆然としているエレンの名前を呼んだー。