◇9話◇逃げたい
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目が覚めると、見覚えのある寝室のベッドの上にいた。
でも、ここは私の知っている部屋じゃない。
リヴァイの寝室で、意味の分からない恐怖が始まった場所だ。
大きな身体とギョロギョロした4つの目を思い出して、私は震えながら自分を抱きしめた。
(あれ…、なに…?…巨人?そんなもの、本当にいるわけ…。)
自分で見たものが、現実だなんて思えない。思いたくない。
あれはただの悪夢に違いないー。
必死に頭の中でそう繰り返す。
でも、蘇る恐怖と瞼の裏に残像として残る恐ろしい光景が、あれがお前の現実だと私を今以上の恐怖のどん底に落とそうとしてくる。
もういやだー。
こんなところ、いたくないー。
より一層、家に帰りたい気持ちが強くなる。
ベッドから降りた私は、寝室を出た。
執務室には誰もいなくて、リヴァイは夕方に帰ってくると言っていたのを思い出す。
窓の外を見れば、少しずつ空が赤くなろうとしていた。
もうすぐリヴァイが帰ってくる。
あの男が帰ってきたらきっと、また私から離れてくれない。
そしたらもう逃げられない。
きっと今がチャンスだ。
「ニファ、リヴァイ兵長の執務室の前で何やってんだ?」
執務室の扉を開けようとした私は、すぐそこで人の声が聞こえて動きを止めた。
声をかけられたらしい女性は、私が勝手に部屋から出ないように見張っているのだと答える。
「鍵もかけてあるから、何処にも逃げられないとは思うんだけどね。
何かあったときのためにここにいてくれってハンジ分隊長に頼まれちゃって。」
女性の言った言葉にハッとする。
鍵をかけられているなんて、思いつきもしなかった。
でも、リヴァイから、部屋から出るなと言われていたし、最初から鍵をかけて私を閉じ込めていたのだろう。
巨人なんかがいる恐ろしい場所にー。
リヴァイ達は、あの巨人を使って何をする気なんだろう。
もしかして、私を食わせるとかー。
巨人が人を食べるのかどうかは分からないけれど、襲われたら死んでしまう。
でも、部屋の外は見張りがついているみたいだし、そもそも鍵がかかっているのなら部屋から出られない。
「なまえさん、気絶したんだろう?」
「うん。真っ青な顔で倒れちゃって…。
モブリットさんが部屋まで運んでくれたの。」
「可哀想に…。あの人もヒドいことをするよなぁ。
なまえが何体もの巨人に喰われて殺されたって分かってるはずなのに。」
「だからこそ、巨人を見たら何か思い出すかもって考えたみたいよ。」
「それも分からんでもないが、あまりにも荒療治過ぎやしないか。
だから、リヴァイ兵長も巨人は見せるなと言っていたんだろう。」
「ハンジ分隊長は、答えが欲しい人だからね…。」
「まぁ、そうだな。」
ドアノブに触れていた手が、カタカタと震える。
今、彼らは何と言ったか。
(私、が…、巨人に食べられた…?)
私が何体もの巨人に食べられて死んだー。そう言ったのか。
確かに、私はもう死んだはずだと、リコにハッキリと言われた。
そういえば、どうやって死んだのかは聞いていない。
(嘘…、嘘…。)
身体が震える。
もうこれ以上はないと思っていた恐怖を軽く超えて、私は今、今度こそ恐怖の沼に落ちていこうとしている。
このままここにいたら、その沼の底の底に落ちて、本当に逃げられなくなる。
私は踵を返した。
部屋から出られないのなら、窓からでも、どこからでもいい。
逃げよう。
こんな恐ろしい場所から、早く。早くー。
もうどこでもいい。
自分の家がどこにあるのかわからないけど、いい。
ここじゃないなら、巨人のいないところならどこだっていい。
早く、早く、逃げなくちゃー。
殺されるー。
巨人に、リヴァイ達にー。
私は殺されてしまうー。
でも、ここは私の知っている部屋じゃない。
リヴァイの寝室で、意味の分からない恐怖が始まった場所だ。
大きな身体とギョロギョロした4つの目を思い出して、私は震えながら自分を抱きしめた。
(あれ…、なに…?…巨人?そんなもの、本当にいるわけ…。)
自分で見たものが、現実だなんて思えない。思いたくない。
あれはただの悪夢に違いないー。
必死に頭の中でそう繰り返す。
でも、蘇る恐怖と瞼の裏に残像として残る恐ろしい光景が、あれがお前の現実だと私を今以上の恐怖のどん底に落とそうとしてくる。
もういやだー。
こんなところ、いたくないー。
より一層、家に帰りたい気持ちが強くなる。
ベッドから降りた私は、寝室を出た。
執務室には誰もいなくて、リヴァイは夕方に帰ってくると言っていたのを思い出す。
窓の外を見れば、少しずつ空が赤くなろうとしていた。
もうすぐリヴァイが帰ってくる。
あの男が帰ってきたらきっと、また私から離れてくれない。
そしたらもう逃げられない。
きっと今がチャンスだ。
「ニファ、リヴァイ兵長の執務室の前で何やってんだ?」
執務室の扉を開けようとした私は、すぐそこで人の声が聞こえて動きを止めた。
声をかけられたらしい女性は、私が勝手に部屋から出ないように見張っているのだと答える。
「鍵もかけてあるから、何処にも逃げられないとは思うんだけどね。
何かあったときのためにここにいてくれってハンジ分隊長に頼まれちゃって。」
女性の言った言葉にハッとする。
鍵をかけられているなんて、思いつきもしなかった。
でも、リヴァイから、部屋から出るなと言われていたし、最初から鍵をかけて私を閉じ込めていたのだろう。
巨人なんかがいる恐ろしい場所にー。
リヴァイ達は、あの巨人を使って何をする気なんだろう。
もしかして、私を食わせるとかー。
巨人が人を食べるのかどうかは分からないけれど、襲われたら死んでしまう。
でも、部屋の外は見張りがついているみたいだし、そもそも鍵がかかっているのなら部屋から出られない。
「なまえさん、気絶したんだろう?」
「うん。真っ青な顔で倒れちゃって…。
モブリットさんが部屋まで運んでくれたの。」
「可哀想に…。あの人もヒドいことをするよなぁ。
なまえが何体もの巨人に喰われて殺されたって分かってるはずなのに。」
「だからこそ、巨人を見たら何か思い出すかもって考えたみたいよ。」
「それも分からんでもないが、あまりにも荒療治過ぎやしないか。
だから、リヴァイ兵長も巨人は見せるなと言っていたんだろう。」
「ハンジ分隊長は、答えが欲しい人だからね…。」
「まぁ、そうだな。」
ドアノブに触れていた手が、カタカタと震える。
今、彼らは何と言ったか。
(私、が…、巨人に食べられた…?)
私が何体もの巨人に食べられて死んだー。そう言ったのか。
確かに、私はもう死んだはずだと、リコにハッキリと言われた。
そういえば、どうやって死んだのかは聞いていない。
(嘘…、嘘…。)
身体が震える。
もうこれ以上はないと思っていた恐怖を軽く超えて、私は今、今度こそ恐怖の沼に落ちていこうとしている。
このままここにいたら、その沼の底の底に落ちて、本当に逃げられなくなる。
私は踵を返した。
部屋から出られないのなら、窓からでも、どこからでもいい。
逃げよう。
こんな恐ろしい場所から、早く。早くー。
もうどこでもいい。
自分の家がどこにあるのかわからないけど、いい。
ここじゃないなら、巨人のいないところならどこだっていい。
早く、早く、逃げなくちゃー。
殺されるー。
巨人に、リヴァイ達にー。
私は殺されてしまうー。