◇96話◇賭けの行方
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食事を終えた後は、それぞれ順番に風呂に入って寝支度を整えた。
着替えは、適当に楽そうなシャツとズボンを拝借した。
タイムリミットは、明日の朝。
それまでになまえがリヴァイの正体を見抜けなければ、賭けは負けが確定する。
最初からもう負けることは分かっていた。
最後の記憶に残ったなまえの泣き顔を笑顔に書き換えることが出来たから、それだけでもう充分に満足だった。
あとは、最後の時間をただただ大切に、なまえを見つめて過ごしたい。
「はい、どうぞ。」
先に風呂に入ったリヴァイがリビングのソファに座っていると、なまえが、アイスティーを持ってやって来た。
隣に立ったなまえを見上げて、リヴァイは言葉を失う。
ゆるそうなシャツはまだいいが、また恐ろしいほどに短いショートパンツを履いて、細くて綺麗な艶めかしい脚を出している。
この世界のリヴァイは、毎晩、こんな姿のなまえを見て理性を保てているのだろうかー。
「どうしたの?」
「…いや、なんでもねぇ。」
なまえの生足から目を反らして、リヴァイはグラスを受け取った。
理性を保つ必要なんて、あの男にはないのだと思い出したからだ。
隣に腰をおろしたなまえは、グラスに口をつけた。
彼女がアイスティーを流し込む度に、細い喉が動くー。
その姿が凄く色っぽくて、無意識に生唾を飲み込む。
リヴァイは小さく首を振って目を反らした。
ダメだ、見てはいけない。
押し倒してしまうー。
禁欲生活が長すぎた上に隣にほぼ裸みたいななまえがいるこの状況は、頭がおかしくなりそうだ。
頭の中が厭らしいことでいっぱいのリヴァイの気持ちなんて知りもしないなまえは、リヴァイの方を見てニコリと微笑む。
「久しぶりのデート、すごく楽しかったよ。ありがとう。」
「あぁ、俺も楽しかった。」
リヴァイの返事に満足したのか、なまえは嬉しそうな笑みを浮かべて、小さな笑い声を漏らした。
それから、なまえはアイスティーが半分ほど残ったグラスをテーブルに置いてから、リモコンを手に取った。
そして、ソファの背もたれに身体を預けた格好で、テレビの電源をつける。
「あ、ラブ・トリップの再放送してる。」
適当にテレビのチャンネルを変え続けていたなまえが、リモコンのボタンを押す指を止めた。
「もう最終回じゃーん。私がこのドラマ好きなの知ってるのに
どうして、リヴァイ、教えてくれなかったの~。」
「…悪かった。」
「クスッ、なんでリヴァイが謝るの?」
「…なんとなく。」
理不尽な気もしたけれど、とりあえず謝れば、可笑しそうに笑われてしまった。
頬を膨らませたり、笑ったり、クルクルと表情が変わるなまえが可愛いからいい。
テレビの向こうでは、涙を流す女を男が抱きしめていた。
切なそうに彼らが交わす会話には、身に覚えがあった。
あの日、自分がなまえに言った最後の言葉と重なった。
好きなドラマの話なら聞いたことがある。
違う世界にトリップというのをした女が住む世界の違う男と恋に落ちる話だったはずだ。
最終回を楽しみにしていたが、悲しい結末だと知ったからもう見たくないと言っていたのを覚えている。
記憶を蘇らせながらなまえを見ていると、彼女はテレビをまっすぐ見たままで話し始めた。
「今度、これの続きが映画化されるんだって。」
「へぇ。」
「理由知ってる?ビックリするよ。」
「何なんだ?」
「違う世界に離れ離れになっちゃう結末が気に入らないって
クレームが入ったんだって。
それで、2人が結ばれる結末をわざわざ作ったらしいよ。」
「横暴だな。」
「ねぇ。仕方ないよね。…住む世界が、違うんだから。」
なまえはそう言ったっきり、口を開くことはなかった。
サヨナラのキスを交わし、お互いに納得して終わりを迎えようとしている彼らの姿を、どんな気持ちで観ているのだろう。
すべてを捨ててもいいと思うくらいに愛した男に、無理やり元の世界に帰されて、納得も出来ないまま泣いていたなまえはー。
住む世界が違うから仕方ないー。
この2年間で、なまえはそうやって咀嚼していったのか。
そうして、そばにいてくれた男のおかげで『幸せだ。』と笑えるくらいに穏やかな日々を過ごしている。
とても良いことじゃないか。
この世界に来て、本当に良かったー。
リヴァイは、壁掛けの時計に目をやる。
タイムリミットは明日の朝、あっという間の1日だったー。
アイスティーの入ったグラスをテーブルに置き、リヴァイもドラマを観る。
でも、観始めたときから最終回のクライマックスだったドラマもあっという間にエンドロールに変わった。
すぐにテレビの電源を切ったなまえが、リヴァイの方を見て訊ねる。
「今日、初めて時計を気にしたね。」
「そうか?」
「そうだよ。もうすぐ、帰る時間なんだね。
ー向こうの世界に。」
真っすぐに自分を見つめるなまえの瞳を見つめたまま目を見開き、リヴァイの時間が止まったー。
着替えは、適当に楽そうなシャツとズボンを拝借した。
タイムリミットは、明日の朝。
それまでになまえがリヴァイの正体を見抜けなければ、賭けは負けが確定する。
最初からもう負けることは分かっていた。
最後の記憶に残ったなまえの泣き顔を笑顔に書き換えることが出来たから、それだけでもう充分に満足だった。
あとは、最後の時間をただただ大切に、なまえを見つめて過ごしたい。
「はい、どうぞ。」
先に風呂に入ったリヴァイがリビングのソファに座っていると、なまえが、アイスティーを持ってやって来た。
隣に立ったなまえを見上げて、リヴァイは言葉を失う。
ゆるそうなシャツはまだいいが、また恐ろしいほどに短いショートパンツを履いて、細くて綺麗な艶めかしい脚を出している。
この世界のリヴァイは、毎晩、こんな姿のなまえを見て理性を保てているのだろうかー。
「どうしたの?」
「…いや、なんでもねぇ。」
なまえの生足から目を反らして、リヴァイはグラスを受け取った。
理性を保つ必要なんて、あの男にはないのだと思い出したからだ。
隣に腰をおろしたなまえは、グラスに口をつけた。
彼女がアイスティーを流し込む度に、細い喉が動くー。
その姿が凄く色っぽくて、無意識に生唾を飲み込む。
リヴァイは小さく首を振って目を反らした。
ダメだ、見てはいけない。
押し倒してしまうー。
禁欲生活が長すぎた上に隣にほぼ裸みたいななまえがいるこの状況は、頭がおかしくなりそうだ。
頭の中が厭らしいことでいっぱいのリヴァイの気持ちなんて知りもしないなまえは、リヴァイの方を見てニコリと微笑む。
「久しぶりのデート、すごく楽しかったよ。ありがとう。」
「あぁ、俺も楽しかった。」
リヴァイの返事に満足したのか、なまえは嬉しそうな笑みを浮かべて、小さな笑い声を漏らした。
それから、なまえはアイスティーが半分ほど残ったグラスをテーブルに置いてから、リモコンを手に取った。
そして、ソファの背もたれに身体を預けた格好で、テレビの電源をつける。
「あ、ラブ・トリップの再放送してる。」
適当にテレビのチャンネルを変え続けていたなまえが、リモコンのボタンを押す指を止めた。
「もう最終回じゃーん。私がこのドラマ好きなの知ってるのに
どうして、リヴァイ、教えてくれなかったの~。」
「…悪かった。」
「クスッ、なんでリヴァイが謝るの?」
「…なんとなく。」
理不尽な気もしたけれど、とりあえず謝れば、可笑しそうに笑われてしまった。
頬を膨らませたり、笑ったり、クルクルと表情が変わるなまえが可愛いからいい。
テレビの向こうでは、涙を流す女を男が抱きしめていた。
切なそうに彼らが交わす会話には、身に覚えがあった。
あの日、自分がなまえに言った最後の言葉と重なった。
好きなドラマの話なら聞いたことがある。
違う世界にトリップというのをした女が住む世界の違う男と恋に落ちる話だったはずだ。
最終回を楽しみにしていたが、悲しい結末だと知ったからもう見たくないと言っていたのを覚えている。
記憶を蘇らせながらなまえを見ていると、彼女はテレビをまっすぐ見たままで話し始めた。
「今度、これの続きが映画化されるんだって。」
「へぇ。」
「理由知ってる?ビックリするよ。」
「何なんだ?」
「違う世界に離れ離れになっちゃう結末が気に入らないって
クレームが入ったんだって。
それで、2人が結ばれる結末をわざわざ作ったらしいよ。」
「横暴だな。」
「ねぇ。仕方ないよね。…住む世界が、違うんだから。」
なまえはそう言ったっきり、口を開くことはなかった。
サヨナラのキスを交わし、お互いに納得して終わりを迎えようとしている彼らの姿を、どんな気持ちで観ているのだろう。
すべてを捨ててもいいと思うくらいに愛した男に、無理やり元の世界に帰されて、納得も出来ないまま泣いていたなまえはー。
住む世界が違うから仕方ないー。
この2年間で、なまえはそうやって咀嚼していったのか。
そうして、そばにいてくれた男のおかげで『幸せだ。』と笑えるくらいに穏やかな日々を過ごしている。
とても良いことじゃないか。
この世界に来て、本当に良かったー。
リヴァイは、壁掛けの時計に目をやる。
タイムリミットは明日の朝、あっという間の1日だったー。
アイスティーの入ったグラスをテーブルに置き、リヴァイもドラマを観る。
でも、観始めたときから最終回のクライマックスだったドラマもあっという間にエンドロールに変わった。
すぐにテレビの電源を切ったなまえが、リヴァイの方を見て訊ねる。
「今日、初めて時計を気にしたね。」
「そうか?」
「そうだよ。もうすぐ、帰る時間なんだね。
ー向こうの世界に。」
真っすぐに自分を見つめるなまえの瞳を見つめたまま目を見開き、リヴァイの時間が止まったー。