◇96話◇賭けの行方
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家に帰ると、なまえはすぐに夕飯の準備を始めた。
買ってきた食材を冷蔵庫に入れて、手際よく野菜を洗い出す。
リビングで待っていてと言われたけれど、折角、料理をしている姿が見れるのなら、そばで見ていたい。
出来るだけ、そばに、いたいー。
「見られながら作るのって恥ずかしいんだけど。」
手伝うフリをしながら隣に立っていると、なまえが眉尻を下げてこちらを向いた。
見ているだけだということは、バレていたらしい。
「エプロンが可愛いせいだ。」
「また、そういうこと言う。」
なまえはさらに眉尻を下げて、でも嬉しそうに口を尖らせる。
どうせそばにいるのならちゃんと手伝ってくれー、と包丁を渡された。
兵舎で当番がまわってくれば料理をすることもある。
地下街にいたときも自炊はしていたし、料理は出来ないわけじゃない。
好んですることはないだけだ。
でも、フライパンで肉を焼いているなまえの隣で、野菜を切るのは楽しい。
野菜の大きさがデカいだとか、大きさがバラバラ過ぎるとか、文句を言われるのだって、楽しい。
なまえがいるだけで、なんてことない風景が色づき出すー。
そんなことを、今日、1日で思い出した。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、美味しそうな食事がダイニングテーブルに並べられた。
昔、なまえが作ってくれたオミソシルというのもある。
こんな風に作るのかー、と興味深く観察してみたけれど、あの頃のなまえが言っていたように、ミソという調味料はないから、今日が終わればもう二度と、また食べられなくなってしまうのだろう。
「さ、食べようっ。お腹すいちゃった~。」
「そうだな。」
今朝と同じように、ダイニングテーブルに向かい合って、両手を合わせる。
いただきますー、と丁寧に告げたあと、リヴァイは最初に味噌汁のお椀を手に取った。
あのときのオミソシルは、似せて作った偽物だと言っていた。
本物はどんな味がするのだろうとずっと知りたかったのだ。
「-美味しい?」
一口飲み終わると、なまえが真剣な顔をして訊ねる。
「あぁ、すごく美味い。」
「そっか、よかった~。この前、テレビでやってた美味しいお味噌汁の作り方に
チャレンジしてみたんだよね~。
リヴァイに作ってあげたいなって思ってたの。」
なまえはすごく嬉しそうに言って、自分も味噌汁のお椀を口に運ぶ。
そして、「美味しい。」とやっぱり嬉しそうに口元を綻ばせる。
この世界に来て、なまえは何度、この世界の男に味噌汁を作ってやったのだろうー。
「どうしたの?お腹空いてないの?」
手が止まってしまったリヴァイに、なまえが不思議そうに首を傾げる。
なんでもないー、そう言って、最後の晩餐を口に運ぶ。
この味をずっと、忘れてしまわないように噛みしめながらー。
買ってきた食材を冷蔵庫に入れて、手際よく野菜を洗い出す。
リビングで待っていてと言われたけれど、折角、料理をしている姿が見れるのなら、そばで見ていたい。
出来るだけ、そばに、いたいー。
「見られながら作るのって恥ずかしいんだけど。」
手伝うフリをしながら隣に立っていると、なまえが眉尻を下げてこちらを向いた。
見ているだけだということは、バレていたらしい。
「エプロンが可愛いせいだ。」
「また、そういうこと言う。」
なまえはさらに眉尻を下げて、でも嬉しそうに口を尖らせる。
どうせそばにいるのならちゃんと手伝ってくれー、と包丁を渡された。
兵舎で当番がまわってくれば料理をすることもある。
地下街にいたときも自炊はしていたし、料理は出来ないわけじゃない。
好んですることはないだけだ。
でも、フライパンで肉を焼いているなまえの隣で、野菜を切るのは楽しい。
野菜の大きさがデカいだとか、大きさがバラバラ過ぎるとか、文句を言われるのだって、楽しい。
なまえがいるだけで、なんてことない風景が色づき出すー。
そんなことを、今日、1日で思い出した。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、美味しそうな食事がダイニングテーブルに並べられた。
昔、なまえが作ってくれたオミソシルというのもある。
こんな風に作るのかー、と興味深く観察してみたけれど、あの頃のなまえが言っていたように、ミソという調味料はないから、今日が終わればもう二度と、また食べられなくなってしまうのだろう。
「さ、食べようっ。お腹すいちゃった~。」
「そうだな。」
今朝と同じように、ダイニングテーブルに向かい合って、両手を合わせる。
いただきますー、と丁寧に告げたあと、リヴァイは最初に味噌汁のお椀を手に取った。
あのときのオミソシルは、似せて作った偽物だと言っていた。
本物はどんな味がするのだろうとずっと知りたかったのだ。
「-美味しい?」
一口飲み終わると、なまえが真剣な顔をして訊ねる。
「あぁ、すごく美味い。」
「そっか、よかった~。この前、テレビでやってた美味しいお味噌汁の作り方に
チャレンジしてみたんだよね~。
リヴァイに作ってあげたいなって思ってたの。」
なまえはすごく嬉しそうに言って、自分も味噌汁のお椀を口に運ぶ。
そして、「美味しい。」とやっぱり嬉しそうに口元を綻ばせる。
この世界に来て、なまえは何度、この世界の男に味噌汁を作ってやったのだろうー。
「どうしたの?お腹空いてないの?」
手が止まってしまったリヴァイに、なまえが不思議そうに首を傾げる。
なんでもないー、そう言って、最後の晩餐を口に運ぶ。
この味をずっと、忘れてしまわないように噛みしめながらー。