◇94話◇平和な世界で生きる彼女と友人達
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自動で扉が開くと、なまえに続いてリヴァイも中に入る。
中は、透明な壁に囲まれた四角い箱のようだった。
なまえは、すぐにボタンを押す。
これが何なのかはよく分からないが、透明な壁の向こうにいる人間がどんどん小さくなっていく。
どうやらこの箱は、自分達を乗せて宙を浮きながら上に上がっているようだ。
空を飛んでいるようだー。
小さくなる人間を見下ろしていると、なまえに不思議そうに首を傾げられた。
リヴァイは、下の様子を見ていた視線を、箱の上中央でピカピカと光る文字に移した。
不審な行動に対して何か言われるかと思ったが、扉が開いてくれたおかげで、なまえの意識が扉へかわりなんとか助かった。
なまえに続いて、リヴァイも箱の中から降りる。
「あれ?なまえさんとリヴァイさん、何やってんですか?
今日は休みじゃなかったですか?」
声をかけてきたのは、書類を抱えたエレンだった。
こっちの世界でも一緒に仕事をしているようだ。
エレンに、さん付けで呼ばれるのは、奇妙な感じだ。
「私がちょっとやり残した仕事があって、
ついでにリヴァイにも見てもらおうと思ってついてきてもらったの。ね?」
「あ?あ~…あぁ。」
リヴァイは曖昧に返事をする。
仕事があるというのは聞いていたが、それをついでに自分が見てやることになっていたのは知らなかった。
何の仕事をしているのかは前に聞いたことがあるし、見てみたいとは思っていた。
でも、見てやる、ということは出来ない。
適当に聞き流して、連休明けにもう一度自分に確認するように言っておこうー。
そんなことを考えている間に、ミケに指示されてミーティング資料を貰いに来たというエレンは、動く箱のある方へ慌ただしく走っていった。
その背中を眺めながら、なまえは感慨深げに言う。
「エレン達がこの会社に来てもう2年なんだね。長かったなぁ…。」
「…あぁ、そうだな。」
「エレン達も少しは戦力になってきた?」
「少しはマシになったかもしれねぇが、うるせぇな。」
「そっか。そんな感じ。」
どうせどっちの世界のエレン達も同じだろうと思って答えると、なまえが可笑しそうに笑った。
それからなまえと一緒にがフロアに入ると、さっきのエレンのように、休みの2人がどうして出勤しているのかと何人もの社員に訊ねられた。
部署が違うというリヴァイが休みであることも知っているということは、この2人の関係は会社公認ということなのかもしれない。
「おはよう。」
なまえは、リコの隣のデスクまで行くと、椅子に座ることはせずに、立ったままで前屈みになり、薄い本のようなものを上下に開いた。
どのデスクにもあるそれは、ほとんどの社員が使っていた。
薄い本型のテレビのようだった。
なまえがボタンを押すと、黒い画面に映像が表示されだす。
そのボタンで電源を入れるようだ。
「あぁ、おはよう。騒がしい声がすると思ったら、お前らか。
休みの日にまで出勤とは、ご苦労だな。」
「リヴァイに見せておきたいものがあって。」
リコと話をしながら、なまえは手元に持っている黒い丸いものを器用にカチカチとして、画面を切り替えていくー。
真剣に画面を食い入るように見ている横顔は、リヴァイが初めて見る仕事をしているなまえの姿だ。
とても凛々しくて、綺麗ー。
駐屯兵として戦っていた彼女と同じだ。
やっぱり、ここが、なまえの生きる世界なのだなといろんなところで思い知る。
この世界は本当に、自分がいた世界と文明の発達が全く違う。
今でこそ、車や電話、テレビなんかも普及してきたけれど、なまえがいた頃には何もなかったのだ。
それで彼女はよく、元の世界に戻らなくても大丈夫だと思えたものだと感心する。
便利なものを知っていたなまえにとって、あの世界は不便で仕方がなかったはずなのにー。
なまえの横顔を見つめるリヴァイを、愛おしさと切なさが同時に襲ってくる。
この世界がなまえの生きる世界だと思い知るほど、あの頃のなまえの愛の深さも分かるのだ。
それはなんてー。
「あった!ねぇ、見て。」
嬉しそうに声を上げたなまえは、薄い本型のテレビを持ち上げてリヴァイに見せて来た。
「ん?」
なまえの仕事とはどんなものだろうー。
素直に興味があって、リヴァイは画面を覗き込む。
「これとこれ、この前、成功したプロジェクトの元々のデザイン画と一緒に考えてた案なんだけどね。
その話をしたら、それでも何かできないかって言われてたの。
連休明けに案をくれって言われてて…。リヴァイは、こっちとこっち、どっちがいいと思う?」
「・・・・右?」
とりあえず直感で答えたのはいいものの、一応、連休明けにもう一度、上司に相談してみるのがいいとそれらしいことを言っておいた。
でも、答えられないようなものではなくてよかったと安心する。
プリントアウトしてくるー、とよく分からないことを言ってどこかへ行ってしまったなまえを待っていると、リコに話しかけられた。
「そういえば、リヴァイ。半袖なんて珍しいな。」
薄い本型のテレビの上で忙しなく動いていた手を止めて、リコがリヴァイを見上げる。
「なまえにも言われた。」
「そりゃ、言われるだろ。
この暑い中、いつまでも長袖を着てる男が横にいれば気になるー。」
「おーーーっ!リヴァイじゃないかっ!!どっち!?どっちのリヴァイ!?」
騒がしい声がフロア中に響いた。
マズいと思って、声のする方を見れば、白衣を雑に羽織ったハンジがガツガツと大股でやって来る。
そのすぐそばに、不思議そうにハンジを見ながらこちらにやって来ているなまえの姿まで見つけてしまったリヴァイは焦る。
ハンジがなまえにネタバレをしてしまう前に捕まえないとー。
急いでハンジの元へ走ったが、一足遅かった。
「お!!なまえも来てたのか!!そういうプレイは楽しんだ?!」
「そういうプレイ?」
「かくれんぼプレイだよっ!パラr--モゴッ!!」
走り込んだ勢いのままで、ハンジの口に右腕をぶつけた。
なんとか間一髪で、おかしな声を出して後ろに倒れたハンジの口を手で塞ぐことに成功する。
ついでに鼻も塞いでやったので、息が出来なくなったハンジは、リヴァイの右腕に首を絞められた格好で、もがき苦しみ出す。
ー焦らせた罰だ。
「どうしたの?・・・ハンジ、死にそうだけど。」
「コイツはそう簡単に死にはしねぇよ。なぁ、ハンジ?」
リヴァイが、ハンジに視線を送る。
余計なことを喋るなー。
目でそう訴えれば、真っ青な顔でハンジが必死に頷く。
とりあえず、空気も読めない馬鹿だけれど、頭はいいハンジは、今自分がどうするべきなのかは理解したらしい。
「そう?それならいいけど…。私、今から少し仕事が出来ちゃったの。
ちょうどいいし、ハンジと一緒に自分の部署に行って待っててくれる?」
「あぁ、分かった。」
「終わったら、迎えに行くね。すぐ終わらせる。」
「俺のことは気にしねぇで、自分のペースで仕事しろ。」
「うん、ありがとうっ。」
なまえを見送ってから、右腕で首を絞めた格好で鼻と口を抑えたままのハンジを見下ろした。
「あ…。」
だらんと両手足を投げ出したハンジが、死体になっていたー。
中は、透明な壁に囲まれた四角い箱のようだった。
なまえは、すぐにボタンを押す。
これが何なのかはよく分からないが、透明な壁の向こうにいる人間がどんどん小さくなっていく。
どうやらこの箱は、自分達を乗せて宙を浮きながら上に上がっているようだ。
空を飛んでいるようだー。
小さくなる人間を見下ろしていると、なまえに不思議そうに首を傾げられた。
リヴァイは、下の様子を見ていた視線を、箱の上中央でピカピカと光る文字に移した。
不審な行動に対して何か言われるかと思ったが、扉が開いてくれたおかげで、なまえの意識が扉へかわりなんとか助かった。
なまえに続いて、リヴァイも箱の中から降りる。
「あれ?なまえさんとリヴァイさん、何やってんですか?
今日は休みじゃなかったですか?」
声をかけてきたのは、書類を抱えたエレンだった。
こっちの世界でも一緒に仕事をしているようだ。
エレンに、さん付けで呼ばれるのは、奇妙な感じだ。
「私がちょっとやり残した仕事があって、
ついでにリヴァイにも見てもらおうと思ってついてきてもらったの。ね?」
「あ?あ~…あぁ。」
リヴァイは曖昧に返事をする。
仕事があるというのは聞いていたが、それをついでに自分が見てやることになっていたのは知らなかった。
何の仕事をしているのかは前に聞いたことがあるし、見てみたいとは思っていた。
でも、見てやる、ということは出来ない。
適当に聞き流して、連休明けにもう一度自分に確認するように言っておこうー。
そんなことを考えている間に、ミケに指示されてミーティング資料を貰いに来たというエレンは、動く箱のある方へ慌ただしく走っていった。
その背中を眺めながら、なまえは感慨深げに言う。
「エレン達がこの会社に来てもう2年なんだね。長かったなぁ…。」
「…あぁ、そうだな。」
「エレン達も少しは戦力になってきた?」
「少しはマシになったかもしれねぇが、うるせぇな。」
「そっか。そんな感じ。」
どうせどっちの世界のエレン達も同じだろうと思って答えると、なまえが可笑しそうに笑った。
それからなまえと一緒にがフロアに入ると、さっきのエレンのように、休みの2人がどうして出勤しているのかと何人もの社員に訊ねられた。
部署が違うというリヴァイが休みであることも知っているということは、この2人の関係は会社公認ということなのかもしれない。
「おはよう。」
なまえは、リコの隣のデスクまで行くと、椅子に座ることはせずに、立ったままで前屈みになり、薄い本のようなものを上下に開いた。
どのデスクにもあるそれは、ほとんどの社員が使っていた。
薄い本型のテレビのようだった。
なまえがボタンを押すと、黒い画面に映像が表示されだす。
そのボタンで電源を入れるようだ。
「あぁ、おはよう。騒がしい声がすると思ったら、お前らか。
休みの日にまで出勤とは、ご苦労だな。」
「リヴァイに見せておきたいものがあって。」
リコと話をしながら、なまえは手元に持っている黒い丸いものを器用にカチカチとして、画面を切り替えていくー。
真剣に画面を食い入るように見ている横顔は、リヴァイが初めて見る仕事をしているなまえの姿だ。
とても凛々しくて、綺麗ー。
駐屯兵として戦っていた彼女と同じだ。
やっぱり、ここが、なまえの生きる世界なのだなといろんなところで思い知る。
この世界は本当に、自分がいた世界と文明の発達が全く違う。
今でこそ、車や電話、テレビなんかも普及してきたけれど、なまえがいた頃には何もなかったのだ。
それで彼女はよく、元の世界に戻らなくても大丈夫だと思えたものだと感心する。
便利なものを知っていたなまえにとって、あの世界は不便で仕方がなかったはずなのにー。
なまえの横顔を見つめるリヴァイを、愛おしさと切なさが同時に襲ってくる。
この世界がなまえの生きる世界だと思い知るほど、あの頃のなまえの愛の深さも分かるのだ。
それはなんてー。
「あった!ねぇ、見て。」
嬉しそうに声を上げたなまえは、薄い本型のテレビを持ち上げてリヴァイに見せて来た。
「ん?」
なまえの仕事とはどんなものだろうー。
素直に興味があって、リヴァイは画面を覗き込む。
「これとこれ、この前、成功したプロジェクトの元々のデザイン画と一緒に考えてた案なんだけどね。
その話をしたら、それでも何かできないかって言われてたの。
連休明けに案をくれって言われてて…。リヴァイは、こっちとこっち、どっちがいいと思う?」
「・・・・右?」
とりあえず直感で答えたのはいいものの、一応、連休明けにもう一度、上司に相談してみるのがいいとそれらしいことを言っておいた。
でも、答えられないようなものではなくてよかったと安心する。
プリントアウトしてくるー、とよく分からないことを言ってどこかへ行ってしまったなまえを待っていると、リコに話しかけられた。
「そういえば、リヴァイ。半袖なんて珍しいな。」
薄い本型のテレビの上で忙しなく動いていた手を止めて、リコがリヴァイを見上げる。
「なまえにも言われた。」
「そりゃ、言われるだろ。
この暑い中、いつまでも長袖を着てる男が横にいれば気になるー。」
「おーーーっ!リヴァイじゃないかっ!!どっち!?どっちのリヴァイ!?」
騒がしい声がフロア中に響いた。
マズいと思って、声のする方を見れば、白衣を雑に羽織ったハンジがガツガツと大股でやって来る。
そのすぐそばに、不思議そうにハンジを見ながらこちらにやって来ているなまえの姿まで見つけてしまったリヴァイは焦る。
ハンジがなまえにネタバレをしてしまう前に捕まえないとー。
急いでハンジの元へ走ったが、一足遅かった。
「お!!なまえも来てたのか!!そういうプレイは楽しんだ?!」
「そういうプレイ?」
「かくれんぼプレイだよっ!パラr--モゴッ!!」
走り込んだ勢いのままで、ハンジの口に右腕をぶつけた。
なんとか間一髪で、おかしな声を出して後ろに倒れたハンジの口を手で塞ぐことに成功する。
ついでに鼻も塞いでやったので、息が出来なくなったハンジは、リヴァイの右腕に首を絞められた格好で、もがき苦しみ出す。
ー焦らせた罰だ。
「どうしたの?・・・ハンジ、死にそうだけど。」
「コイツはそう簡単に死にはしねぇよ。なぁ、ハンジ?」
リヴァイが、ハンジに視線を送る。
余計なことを喋るなー。
目でそう訴えれば、真っ青な顔でハンジが必死に頷く。
とりあえず、空気も読めない馬鹿だけれど、頭はいいハンジは、今自分がどうするべきなのかは理解したらしい。
「そう?それならいいけど…。私、今から少し仕事が出来ちゃったの。
ちょうどいいし、ハンジと一緒に自分の部署に行って待っててくれる?」
「あぁ、分かった。」
「終わったら、迎えに行くね。すぐ終わらせる。」
「俺のことは気にしねぇで、自分のペースで仕事しろ。」
「うん、ありがとうっ。」
なまえを見送ってから、右腕で首を絞めた格好で鼻と口を抑えたままのハンジを見下ろした。
「あ…。」
だらんと両手足を投げ出したハンジが、死体になっていたー。