◇93話◇招かれざる客
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説明もほとんどないまま、リヴァイがもう1人の自分に腕を掴まれて連れて来られたのは、調査兵団の兵舎裏の倉庫の中だった。
そこには、普段はないはずのピンク色をした扉があった。
あったというよりも、倉庫の中央にピンク色の扉が浮いていたのだ。
「ここから、向こうの世界に行ける。ただし、この扉が使えるのは24時間が限界だ。
俺が、うるせぇエレン共にてめぇの居場所を吐かせるまで15分以上はかかったから、
念のため、明日のー。」
「おいおいおいおい、待て。何を言ってやがる。」
何を言っているのか、正直よく分からなかった。
文明は発達したと言っても、宙に浮く扉なんて話は聞いたことがない。
それに、パラレルワールドに繋がったのは、なまえが不思議な力を使って鏡を繋げたからじゃないのかー。
彼は面倒くさそうにチッと舌打ちをすると、このピンク色の扉のことを手短に説明し始めた。
それで漸く、この扉のことは理解する。
向こうの世界でも、ハンジはとんでもないことをしでかしているらしい。
「なまえに会いてぇなら、今から行けばいい。」
「…俺はアイツを突き放した。
今さら会いに行っても、戸惑わせるだけだ。」
リヴァイは、自分をまっすぐに見据える彼から目を反らす。
自分から目を反らす人間の気持ちが、なんとなく分かる気がした。
本音を、見抜かれそうでー。
「そうだろうな。アイツは今、俺のだ。」
「…!」
リヴァイは、彼を見ないままで目を見開いた。
あぁ、分かっていたー。
幾らあのときのなまえが心から自分のことを愛してくれていても、向こうの世界で運命の男と一緒に過ごせば、そうなってしまうのだろうということくらい。
それでも、自分のことを好きでいてほしかったー。
そんな我儘は言えない。
それは、一生、ひとりきりで生きろと言っているのと同じだ。
そして、そんなことをリヴァイは望んでいない。
『平和な世界で、幸せになれよ。』
あの言葉は、それすらも覚悟して伝えたのだ。
でもー。
それをハッキリと言われるのとでは、違うー。
なぜ、この男はわざわざ、この世界にやって来たのか、理解出来なかった。
そんなリヴァイに、彼はある提案をしてくる。
「なぁ、賭けをしねぇか。」
「何を賭ける。まさかなまえとか言わねぇよな。」
「お前は今から、向こうの世界に行け。そして、俺のフリをしろ。
俺もこっちでお前のフリしといてやるよ。兵士長ってのやればいいんだろ?」
「どうして、俺がお前のフリなんかー。」
「今日は、俺もなまえも仕事を休んでデートの予定だったんだ。
お前が代わりにデートに連れてってやってくれ。」
「だから、どうして俺がー。」
「それで、なまえがお前の正体を見抜いたら、なまえをくれてやるよ。」
「…!」
賭けの内容を理解して、リヴァイは驚愕する。
そんなのー。
負けが決まっている戦に挑むようなものだ。
鏡は割れて、もう二度と会えないと思っているなまえが、全く同じ姿かたちをしている男を見て、偽物だと気づくわけがないのにー。
「見抜けなかったら?」
「なまえは俺のだ。」
「…もうお前のなんだろ。」
「それを確かめようって言ってんだよ。」
「…分かった。」
リヴァイは、覚悟を決めた。
いいや、違う。
あの日からずっと、瞼の裏にこびりついて離れないなまえの泣き顔を確かめに行くのだ。
彼女が笑っているのなら、それでいいー。
彼から、もう一度、注意事項や向こうの世界でのリヴァイと言う男での振る舞いについて簡単に教えてもらってから、リヴァイは扉を開いた。
もうすぐ、なまえに会えるー。
2年経った彼女は、どんな顔をしているだろうか。
少し大人っぽくなっているのか。
まだ寝ているという彼女は、相変わらず子供みたいな寝顔をしているのだろうか。
せめて、柔らかい笑顔のままで、変わっていなければいいー。
あぁ、でも、どんな風でもいい。笑っていてほしい。
泣いていないで。
そして、どうかー。
そこには、普段はないはずのピンク色をした扉があった。
あったというよりも、倉庫の中央にピンク色の扉が浮いていたのだ。
「ここから、向こうの世界に行ける。ただし、この扉が使えるのは24時間が限界だ。
俺が、うるせぇエレン共にてめぇの居場所を吐かせるまで15分以上はかかったから、
念のため、明日のー。」
「おいおいおいおい、待て。何を言ってやがる。」
何を言っているのか、正直よく分からなかった。
文明は発達したと言っても、宙に浮く扉なんて話は聞いたことがない。
それに、パラレルワールドに繋がったのは、なまえが不思議な力を使って鏡を繋げたからじゃないのかー。
彼は面倒くさそうにチッと舌打ちをすると、このピンク色の扉のことを手短に説明し始めた。
それで漸く、この扉のことは理解する。
向こうの世界でも、ハンジはとんでもないことをしでかしているらしい。
「なまえに会いてぇなら、今から行けばいい。」
「…俺はアイツを突き放した。
今さら会いに行っても、戸惑わせるだけだ。」
リヴァイは、自分をまっすぐに見据える彼から目を反らす。
自分から目を反らす人間の気持ちが、なんとなく分かる気がした。
本音を、見抜かれそうでー。
「そうだろうな。アイツは今、俺のだ。」
「…!」
リヴァイは、彼を見ないままで目を見開いた。
あぁ、分かっていたー。
幾らあのときのなまえが心から自分のことを愛してくれていても、向こうの世界で運命の男と一緒に過ごせば、そうなってしまうのだろうということくらい。
それでも、自分のことを好きでいてほしかったー。
そんな我儘は言えない。
それは、一生、ひとりきりで生きろと言っているのと同じだ。
そして、そんなことをリヴァイは望んでいない。
『平和な世界で、幸せになれよ。』
あの言葉は、それすらも覚悟して伝えたのだ。
でもー。
それをハッキリと言われるのとでは、違うー。
なぜ、この男はわざわざ、この世界にやって来たのか、理解出来なかった。
そんなリヴァイに、彼はある提案をしてくる。
「なぁ、賭けをしねぇか。」
「何を賭ける。まさかなまえとか言わねぇよな。」
「お前は今から、向こうの世界に行け。そして、俺のフリをしろ。
俺もこっちでお前のフリしといてやるよ。兵士長ってのやればいいんだろ?」
「どうして、俺がお前のフリなんかー。」
「今日は、俺もなまえも仕事を休んでデートの予定だったんだ。
お前が代わりにデートに連れてってやってくれ。」
「だから、どうして俺がー。」
「それで、なまえがお前の正体を見抜いたら、なまえをくれてやるよ。」
「…!」
賭けの内容を理解して、リヴァイは驚愕する。
そんなのー。
負けが決まっている戦に挑むようなものだ。
鏡は割れて、もう二度と会えないと思っているなまえが、全く同じ姿かたちをしている男を見て、偽物だと気づくわけがないのにー。
「見抜けなかったら?」
「なまえは俺のだ。」
「…もうお前のなんだろ。」
「それを確かめようって言ってんだよ。」
「…分かった。」
リヴァイは、覚悟を決めた。
いいや、違う。
あの日からずっと、瞼の裏にこびりついて離れないなまえの泣き顔を確かめに行くのだ。
彼女が笑っているのなら、それでいいー。
彼から、もう一度、注意事項や向こうの世界でのリヴァイと言う男での振る舞いについて簡単に教えてもらってから、リヴァイは扉を開いた。
もうすぐ、なまえに会えるー。
2年経った彼女は、どんな顔をしているだろうか。
少し大人っぽくなっているのか。
まだ寝ているという彼女は、相変わらず子供みたいな寝顔をしているのだろうか。
せめて、柔らかい笑顔のままで、変わっていなければいいー。
あぁ、でも、どんな風でもいい。笑っていてほしい。
泣いていないで。
そして、どうかー。