あれから2年が経った。
調査兵団の兵団服に着替えたリヴァイだったけれど、もう戦う相手である巨人はいない。
任務内容に、巨人討伐が加わることはもう二度とないだろう。
あれから、壁の中の世界は、大きく変わったのだ。
マーレとの戦争も終わって、急激なスピードで文明が発達していっている。
なまえから聞いたことのある車や電話も、壁の中の世界にも普及し始めた。
今なら、ドライブデートにだって連れて行ってやれるけれど、車があっても、デートに誘いたい相手がいない。
なまえが、いないー。
世界は大きく変わったのに、リヴァイの寝室には、相変わらずこの世界すらちゃんと映してはくれないつぎはぎだらけの鏡が、ポツンと置かれている。
リヴァイは、鏡に触れる。
もう、なまえの肌の感触も思い出せない。
笑顔や声は思い出せるのに、感覚だけは戻って来ないー。
ため息を零したとき、ドンッと大きな音を立てて寝室の扉が蹴り開けられた。
振り返ったリヴァイは驚きで、目を見開く。

「やっと見つけたぞ、クソ野郎。」

勝手に寝室に入って来たのは、自分と同じ顔をした男だった。