◇7話◇調査兵団兵舎
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リヴァイに連れられてやってきたのは、ベッドとデスクが置いてあるだけの狭い部屋だった。
彼女の洋服が詰め込まれたバッグをデスクの上に置いたリヴァイは、部屋に入ったまま立ち止まった私を振り返る。
「まだ思い出さねぇのか。」
食い気味に首を横に振れば、リヴァイは僅かに目を伏せた。
私はきっと彼を傷つけてばかりいるのだろう。
あの絵を見た後だから余計に、その横顔がひどく傷ついて見えた。
最初は、ただの妄想男が勝手に傷ついているだけだと思っていた。
そして私は今、そうじゃないのかもしれない、と少しずつ思い始めている。
でも、もしそうじゃないのだとしても、私にはどうすることも出来ない。
この状況を理解出来ていないし、何より私は、ただー。
ただ、家に帰りたいだけー。
「俺の部屋は隣だ。何かあればいつでも来ていい。」
部屋を出て行こうとしていたリヴァイと入れ違いに、ハンジとモブリットがやって来た。
「あれ?リヴァイ、部屋に戻るの?」
「あぁ、班員に明日の説明をしておく必要がある。
エレンの様子も確認しとかねぇとな。」
「そっか。さっき、エルヴィンともあって、話したんだけど
ご家族にはまだ黙っておくことにしようと思うんだ。
まだ私達もよくわかってないのに、混乱させるだけだろうし。」
「あぁ…、そうだな。そういうことはお前達の方が分かるだろう。
任せる。」
「ありがとう。なまえのことは私達に任せてよ。
今夜は私がそばについておくからさ。」
「…あぁ。ちゃんと寝かせろよ。徹夜は身体に悪ぃ。」
リヴァイは最後に、私に視線を向けた後、部屋を出て行く。
扉が閉まってすぐにハンジが今日と明日の説明を始めた。
まずは今日はこのままこの部屋から出ないようにと指示を出される。
死んだ人間が生き返ったーそんな噂がこれ以上広まらないように身を隠しておいてほしいのだそうだ。
それが本当の理由なのか、それとも、私をこの部屋にただ閉じ込めたいだかなのかは分からない。
でも、私としても、誰も知り合いもいない建物の中をウロウロするような強い心は持っていない。
だから、この部屋から出るつもりはないと伝えれば、ハンジとモブリットは安心したようにお互いの顔を見合わせた。
「それから、明日は旧調査兵団本部に戻るよ。」
「旧調査…?」
「なまえがここに来る前にいた古城だよ。俺達はそこで任務が残ってるんだ。
だから戻らなきゃいけないんだけど、なまえを置いてもいけないから
一緒に来てもらうことにしたんだよ。」
「それに、見てもらいたいものもあるしね。」
「ハンジさん、あなたまだそんなこと言ってるんですか?
そんなことしたら、リヴァイ兵長に殺されますよ!!」
「だから、リヴァイが任務中にコッソリ見せるんだよ。」
「あなたは鬼ですか!?」
ひどく狼狽えて興奮しているモブリットとハンジが仲間割れを始めてしまった。
よくわからないけれど、本当にどうでもいいくらいに、頭が痛い。
私が知りたいのは、ただひとつー。
「どうして、古城なの?私はただ、家に帰りたいだけなのに…。」
倒れるように、ベッドの縁に腰を降ろして、頭を抱えた。
幸せそうな恋人同士の絵を見た後、モブリットが私のことを教えてくれた。
リヴァイとはもう5年以上付き合っていて、本当なら今頃夫婦になっているはずだったそうだ。
あのアパートメントは1人暮らしの家なのではなくて、そもそもが恋人2人の家で、夜勤の任務や仕事のとき以外は、私もリヴァイもあの家に帰っていたー。
結婚すれば、そこがそのまま夫婦の家になるはずだったのだなんて、そんなこと言われたって、私は知らない。
知らないのだ。
家に帰りたい。
私の、記憶にある家に。
そこに、恋人はいないけど、別にいい。
私をあんな風に愛おしそうに見つめてくれる恋人はいないけど、それでいい。
怖い。
知らない人達が、私を通して知らない私を見ているのが、ひどく怖いー。
この状況が、理解出来なくて、怖くて怖くてー。
ハンジと言い争いをしていたモブリットが、私の隣に座った。
そして、大きな腕が、私を包んだ。
リヴァイにしたように、咄嗟に突き放そうとしそうになったのに、柔らかい声がひどく優しくて、動けなかったー。
「どうすればいいか、一緒に考えよう。
心配しないで。俺がついてるから。」
頼みの綱だと思ったリコにすら、見放された気分だった。
この世界に、たったひとりぼっちみたいだった。
だから、モブリットの声と言葉は、とても優しくて温かかった。
「俺達が、じゃなくて、俺が、ねぇ…。
…あ~ぁ。私よりモブリットの方がリヴァイに殺されると思うけどね。」
「あ!!!」
モブリットが私から慌てて離れて立ち上がった。
成り行きでーと言い訳しているモブリットをハンジがからかう。
そのすぐそばで、私1人だけ、途方に暮れていた。
彼女の洋服が詰め込まれたバッグをデスクの上に置いたリヴァイは、部屋に入ったまま立ち止まった私を振り返る。
「まだ思い出さねぇのか。」
食い気味に首を横に振れば、リヴァイは僅かに目を伏せた。
私はきっと彼を傷つけてばかりいるのだろう。
あの絵を見た後だから余計に、その横顔がひどく傷ついて見えた。
最初は、ただの妄想男が勝手に傷ついているだけだと思っていた。
そして私は今、そうじゃないのかもしれない、と少しずつ思い始めている。
でも、もしそうじゃないのだとしても、私にはどうすることも出来ない。
この状況を理解出来ていないし、何より私は、ただー。
ただ、家に帰りたいだけー。
「俺の部屋は隣だ。何かあればいつでも来ていい。」
部屋を出て行こうとしていたリヴァイと入れ違いに、ハンジとモブリットがやって来た。
「あれ?リヴァイ、部屋に戻るの?」
「あぁ、班員に明日の説明をしておく必要がある。
エレンの様子も確認しとかねぇとな。」
「そっか。さっき、エルヴィンともあって、話したんだけど
ご家族にはまだ黙っておくことにしようと思うんだ。
まだ私達もよくわかってないのに、混乱させるだけだろうし。」
「あぁ…、そうだな。そういうことはお前達の方が分かるだろう。
任せる。」
「ありがとう。なまえのことは私達に任せてよ。
今夜は私がそばについておくからさ。」
「…あぁ。ちゃんと寝かせろよ。徹夜は身体に悪ぃ。」
リヴァイは最後に、私に視線を向けた後、部屋を出て行く。
扉が閉まってすぐにハンジが今日と明日の説明を始めた。
まずは今日はこのままこの部屋から出ないようにと指示を出される。
死んだ人間が生き返ったーそんな噂がこれ以上広まらないように身を隠しておいてほしいのだそうだ。
それが本当の理由なのか、それとも、私をこの部屋にただ閉じ込めたいだかなのかは分からない。
でも、私としても、誰も知り合いもいない建物の中をウロウロするような強い心は持っていない。
だから、この部屋から出るつもりはないと伝えれば、ハンジとモブリットは安心したようにお互いの顔を見合わせた。
「それから、明日は旧調査兵団本部に戻るよ。」
「旧調査…?」
「なまえがここに来る前にいた古城だよ。俺達はそこで任務が残ってるんだ。
だから戻らなきゃいけないんだけど、なまえを置いてもいけないから
一緒に来てもらうことにしたんだよ。」
「それに、見てもらいたいものもあるしね。」
「ハンジさん、あなたまだそんなこと言ってるんですか?
そんなことしたら、リヴァイ兵長に殺されますよ!!」
「だから、リヴァイが任務中にコッソリ見せるんだよ。」
「あなたは鬼ですか!?」
ひどく狼狽えて興奮しているモブリットとハンジが仲間割れを始めてしまった。
よくわからないけれど、本当にどうでもいいくらいに、頭が痛い。
私が知りたいのは、ただひとつー。
「どうして、古城なの?私はただ、家に帰りたいだけなのに…。」
倒れるように、ベッドの縁に腰を降ろして、頭を抱えた。
幸せそうな恋人同士の絵を見た後、モブリットが私のことを教えてくれた。
リヴァイとはもう5年以上付き合っていて、本当なら今頃夫婦になっているはずだったそうだ。
あのアパートメントは1人暮らしの家なのではなくて、そもそもが恋人2人の家で、夜勤の任務や仕事のとき以外は、私もリヴァイもあの家に帰っていたー。
結婚すれば、そこがそのまま夫婦の家になるはずだったのだなんて、そんなこと言われたって、私は知らない。
知らないのだ。
家に帰りたい。
私の、記憶にある家に。
そこに、恋人はいないけど、別にいい。
私をあんな風に愛おしそうに見つめてくれる恋人はいないけど、それでいい。
怖い。
知らない人達が、私を通して知らない私を見ているのが、ひどく怖いー。
この状況が、理解出来なくて、怖くて怖くてー。
ハンジと言い争いをしていたモブリットが、私の隣に座った。
そして、大きな腕が、私を包んだ。
リヴァイにしたように、咄嗟に突き放そうとしそうになったのに、柔らかい声がひどく優しくて、動けなかったー。
「どうすればいいか、一緒に考えよう。
心配しないで。俺がついてるから。」
頼みの綱だと思ったリコにすら、見放された気分だった。
この世界に、たったひとりぼっちみたいだった。
だから、モブリットの声と言葉は、とても優しくて温かかった。
「俺達が、じゃなくて、俺が、ねぇ…。
…あ~ぁ。私よりモブリットの方がリヴァイに殺されると思うけどね。」
「あ!!!」
モブリットが私から慌てて離れて立ち上がった。
成り行きでーと言い訳しているモブリットをハンジがからかう。
そのすぐそばで、私1人だけ、途方に暮れていた。