◇77話◇人質
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苦しいー。
喉の奥にまわされた男の腕が、私の息を止めようとしているみたいだった。
頭に硬くて冷たいものが当たっているのにも気づいている。
男が持っている銃がチラリと見えてからは、あぁ、殺されるのだーと身体の震えが止まらない。
助けに来てくれたリヴァイが目の前にいるのにー。
彼の名前を口に出すことすら出来ないなんてー。
「巨人が多数襲来!!ウォール・ローゼが突破された模様です!!」
血相を変えたモブリットが部屋に飛び込んできた。
最悪の状況だと分かったせいだろうか。
私は、彼が言っていることが理解出来なかった。
でも、リヴァイとハンジから一気に血の気が引いたのが、私からも見えた。
すぐ上から、クスクスと楽しそうに笑う男の声がする。
この最悪の状況を作り上げたのは、憲兵のフリをして私を騙したこの男のようだ。
「てめぇ…、何をした。」
リヴァイが私を拘束する男を睨みつける。
そのひと睨みだけで人を殺せそうな殺気を帯びているのに、銀縁眼鏡の男はまったく気にしていない様子で、呑気に答える。
「それはこっちのセリフだよ~。
うちの大事な戦士を最初に拘束したのはそっちだろう?
それを返してくれって言ってるだけじゃないか。」
「ほう、最初に喧嘩を吹っかけてきたのはてめぇら巨人の方じゃなかったか?」
「さぁ、どうだったのかな。君達が覚えていないだけで
最初に喧嘩をふっかけたのはそっちなのかもしれないよ?」
「あぁ?」
リヴァイと銀縁の眼鏡の睨み合いが始まる。
その隣で、ハンジは忙しなくモブリットに指示を出していた。
ライナーとベルトルト達の見張りは残し、襲来した巨人の討伐及びに壁の破壊個所を特定、エルヴィンにも早馬を出せー。
素早い判断でハンジが飛ばした指示に力強く返事をしたモブリットは、私の方をチラリと心配そうに見た。
「リヴァイ兵長、なまえのこと宜しくお願いしますよ。」
「お前に言われなくても、分かってる。」
イラついた様子で答えたリヴァイに敬礼して、モブリットは今度こそ部屋から飛び出していった。
「大変そうだね~。人類最強の兵士も早く巨人討伐に向かった方がいいんじゃないの?」
「分かってんなら、早くソイツを放せ。」
「違うだろ。分かってんなら、早くライナー達を返せ。
そしたら、彼女も放してあげるよ。」
「…クソが。」
リヴァイが悔しそうに拳を握る。
この世界の人類にとって、ライナーとベルトルトと言う存在は、巨人を駆逐するために大切な存在だということは理解している。
私のために、それを放棄することは出来ないー。
ここで諦めるべきは、私の命ー。
でも、嫌だー。
私はリヴァイと一緒にいたい。生きていたい。
「---!」
首の前にまわっていた銀縁眼鏡の男の腕を、私は思いっきり噛んだ。
不意打ちのそれに驚いた男は、声にならない悲鳴のようなものを上げて、私を振り払った。
やったー。
男の拘束が解けたー。
「なまえ!!」
「リヴァイ!!」
すぐに駆け寄ろうとしたリヴァイに、私も必死に手を伸ばした。
でも、指先がリヴァイの手をかすった感触だけ残して、私は後ろに腕を引かれた。
硬いものにガタンッと音を立ててぶつかった後、私は尻餅をつくように床に落ちた。
「あ~、痛かった~。ビックリしちゃったじゃないの。
舐めた真似しないでくれる?」
私を見ろ押す銀縁眼鏡の男に銃口を向けられた。
せっかく、息が苦しいくらいの男の拘束から逃れたのにー。
銃を向けられて、結局、私は自由を奪われるー。
リヴァイの手に、触れたのにー。
嫌だ、死にたくない。
「死にたいの?」
「いや…。いや…。」
震えながら、私は必死に首を振る。
それさえも、震える身体ではぎこちない動きになっているのが自分でも分かった。
恐怖の対象から逃げようと、ジタバタと両脚を動かせば少しずつ後ろにさがれたけれど、落ちていた布に手が触れて滑ってしまった。
バランスを崩した私が、背中をガンッと何かにぶつけると、古い布が手元に落ちて来た。
後ろをチラリと見れば、そこには見覚えのある鏡があった。
(リヴァイの…鏡…?なんで、こんなところに…?)
鏡には恐怖に怯える私の顔と、私に銃口を向ける銀縁の眼鏡の男、少し離れたところに狼狽しているリヴァイとハンジが映っていた。
やっぱり、布に雁字搦めに覆われていたのは、リヴァイの全身鏡だったようだ。
でも、割ったはずのそれがどうしてここにあるのかー。
今は考える余裕なんてあるわけもなく、私は目の前に迫った銃口にただ身体を震えさせていた。
「リヴァイ…っ。」
震える声で、私が助けを求めて彼の名前を呼んだ時だった。
部屋を、目が眩むほどに強い光が包んだ。
それは、見覚えのある光でー。
少なくとも私はすぐに、何が起きたのか分かってしまったー。
喉の奥にまわされた男の腕が、私の息を止めようとしているみたいだった。
頭に硬くて冷たいものが当たっているのにも気づいている。
男が持っている銃がチラリと見えてからは、あぁ、殺されるのだーと身体の震えが止まらない。
助けに来てくれたリヴァイが目の前にいるのにー。
彼の名前を口に出すことすら出来ないなんてー。
「巨人が多数襲来!!ウォール・ローゼが突破された模様です!!」
血相を変えたモブリットが部屋に飛び込んできた。
最悪の状況だと分かったせいだろうか。
私は、彼が言っていることが理解出来なかった。
でも、リヴァイとハンジから一気に血の気が引いたのが、私からも見えた。
すぐ上から、クスクスと楽しそうに笑う男の声がする。
この最悪の状況を作り上げたのは、憲兵のフリをして私を騙したこの男のようだ。
「てめぇ…、何をした。」
リヴァイが私を拘束する男を睨みつける。
そのひと睨みだけで人を殺せそうな殺気を帯びているのに、銀縁眼鏡の男はまったく気にしていない様子で、呑気に答える。
「それはこっちのセリフだよ~。
うちの大事な戦士を最初に拘束したのはそっちだろう?
それを返してくれって言ってるだけじゃないか。」
「ほう、最初に喧嘩を吹っかけてきたのはてめぇら巨人の方じゃなかったか?」
「さぁ、どうだったのかな。君達が覚えていないだけで
最初に喧嘩をふっかけたのはそっちなのかもしれないよ?」
「あぁ?」
リヴァイと銀縁の眼鏡の睨み合いが始まる。
その隣で、ハンジは忙しなくモブリットに指示を出していた。
ライナーとベルトルト達の見張りは残し、襲来した巨人の討伐及びに壁の破壊個所を特定、エルヴィンにも早馬を出せー。
素早い判断でハンジが飛ばした指示に力強く返事をしたモブリットは、私の方をチラリと心配そうに見た。
「リヴァイ兵長、なまえのこと宜しくお願いしますよ。」
「お前に言われなくても、分かってる。」
イラついた様子で答えたリヴァイに敬礼して、モブリットは今度こそ部屋から飛び出していった。
「大変そうだね~。人類最強の兵士も早く巨人討伐に向かった方がいいんじゃないの?」
「分かってんなら、早くソイツを放せ。」
「違うだろ。分かってんなら、早くライナー達を返せ。
そしたら、彼女も放してあげるよ。」
「…クソが。」
リヴァイが悔しそうに拳を握る。
この世界の人類にとって、ライナーとベルトルトと言う存在は、巨人を駆逐するために大切な存在だということは理解している。
私のために、それを放棄することは出来ないー。
ここで諦めるべきは、私の命ー。
でも、嫌だー。
私はリヴァイと一緒にいたい。生きていたい。
「---!」
首の前にまわっていた銀縁眼鏡の男の腕を、私は思いっきり噛んだ。
不意打ちのそれに驚いた男は、声にならない悲鳴のようなものを上げて、私を振り払った。
やったー。
男の拘束が解けたー。
「なまえ!!」
「リヴァイ!!」
すぐに駆け寄ろうとしたリヴァイに、私も必死に手を伸ばした。
でも、指先がリヴァイの手をかすった感触だけ残して、私は後ろに腕を引かれた。
硬いものにガタンッと音を立ててぶつかった後、私は尻餅をつくように床に落ちた。
「あ~、痛かった~。ビックリしちゃったじゃないの。
舐めた真似しないでくれる?」
私を見ろ押す銀縁眼鏡の男に銃口を向けられた。
せっかく、息が苦しいくらいの男の拘束から逃れたのにー。
銃を向けられて、結局、私は自由を奪われるー。
リヴァイの手に、触れたのにー。
嫌だ、死にたくない。
「死にたいの?」
「いや…。いや…。」
震えながら、私は必死に首を振る。
それさえも、震える身体ではぎこちない動きになっているのが自分でも分かった。
恐怖の対象から逃げようと、ジタバタと両脚を動かせば少しずつ後ろにさがれたけれど、落ちていた布に手が触れて滑ってしまった。
バランスを崩した私が、背中をガンッと何かにぶつけると、古い布が手元に落ちて来た。
後ろをチラリと見れば、そこには見覚えのある鏡があった。
(リヴァイの…鏡…?なんで、こんなところに…?)
鏡には恐怖に怯える私の顔と、私に銃口を向ける銀縁の眼鏡の男、少し離れたところに狼狽しているリヴァイとハンジが映っていた。
やっぱり、布に雁字搦めに覆われていたのは、リヴァイの全身鏡だったようだ。
でも、割ったはずのそれがどうしてここにあるのかー。
今は考える余裕なんてあるわけもなく、私は目の前に迫った銃口にただ身体を震えさせていた。
「リヴァイ…っ。」
震える声で、私が助けを求めて彼の名前を呼んだ時だった。
部屋を、目が眩むほどに強い光が包んだ。
それは、見覚えのある光でー。
少なくとも私はすぐに、何が起きたのか分かってしまったー。