◇71話◇デート~本番編~
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知らない賑やかな街を大好きな人と腕を組んで歩くー。
本当に、それだけで私は幸せだった。
恋人はいなくても、紹介された男の人とデートくらいならはしていた。
でも、当然なのだろうけれど、相手が好きな人だと、ただ歩くだけのデートも最高になる。
だから、本当にそれだけでいいのだけれどー。
「えいがかん?」
「映画を流してくれるところなんだけど…。
この世界の映画があるなら観てみたいなと思って。」
「えいが?」
リヴァイが訝し気に首を傾げる。
どうやら、そもそも映画というものがないようだ。
パラレルワールドではどんなデートをするのかと訊かれたので、さっきからいろいろと答えてはいるのだけれど、すべて首を傾げられてしまっている。
水族館どころか、海も知らないと言われたときには、変な声を上げて驚いてしまった。
でも、よく考えれば、この壁の中しか見たことのない彼らが、海を知っているわけがないのだ。
私の知っている海よりもずっと、この世界は狭いのだろう。
いつか、広い世界で自由に生きてるリヴァイが見てみたいー。
「いいよ。元の世界のデートじゃなくても。」
「…つまらねぇだろ。」
「え?」
「いろんなことが出来る世界を知ってるなまえにとって、
こんな狭ぇ世界はつまらねぇのは分かってる。
だから、少しでも、なまえに楽しいことをさせてやりてぇ。」
リヴァイは足を止めると、悔し気に絞り出すように言って目を伏せる。
あぁ、そんなことを気にしていたのかー。
この世界が狭いのも、文明の発達が遅れているのも、彼のせいではない。
それに、この世界に残りたいと願ったのは、私なのにー。
でも、私は、彼の優しさとか、申し訳なさとか、不安とか。私のために感じているその気持ちがすごく嬉しかった。
「元いた世界の方がいろんなことが出来たかもしれないけど
リヴァイとこうしてデート出来るのは、この世界だけだよ。」
僅かに伏せられた顔を覗き込むようにして、私はニコリと微笑む。
一瞬だけ、リヴァイの頬が緩んだ気がしたけれど、すぐにハッとしたように目を見開いた。
そしてー。
「…出来るだろ。あっちにも俺はいる。」
リヴァイが、拗ねたように口を尖らせる。
あぁ、そういえばそうだった。
変人だらけの企画調査部に入社した元探偵というのがリヴァイなのだと、リコから聞いた。
彼は、一緒に企画調査部に入社した仲間と共に私の行方を捜してくれているらしい。
元の世界にいるリヴァイというのはどんな人なんだろうー。
そんな風に思ったことがないと言ったら嘘になる。
嘘にはなるけれど、それは興味で、興味が湧くのは、この世界のリヴァイが好きだからだ。
「私の好きなリヴァイは、1人しかいないよ。
信じてないの?」
「…ズリぃな。」
リヴァイは呟くように言うと、長めに息を吐いた。
やっと顔を上げてくれた彼の表情が少しだけ柔らかくなった気がしてホッとする。
でもー。
「それで、お前はどんなデートが好きだったんだ?」
「まだ聞くの?」
また歩き出してくれたリヴァイだったけれど、質問内容は変わらなかった。
これはお前のことが知りたいだけだー、とズルい言い訳をするから、私も嘘は吐けなくなる。
だって、私のことなら知ってほしいからー。
「デートっていうんじゃないけど…。」
「なんだ?」
「ドライブが好きだったかな。」
「どらいぶ?」
「んー…、車って言う自動で動く乗り物があるの。
スピードもすごく速い乗り物で、それに乗って、窓全開にして、風をいっぱい顔に受けながら
疾走するのがすごく気持ちがいいの。」
気持ちのいい風を受ける感覚を思い出して、久しぶりに、ドライブに行きたくなった。
でも、そもそも自動車のないこの世界では、出来ない。
リヴァイも無理だと思ったのか、難しい顔で黙り込んでしまった。
やっぱり、言わない方が良かったのかもしれないー。
「いいよ。私はこうしてリヴァイと一緒に歩いてるだけでー。」
「ここで待ってろ。」
「へ?」
誰にもついていくなー。
まるで子供にでも言うような注意をして、リヴァイは私を置いてどこかへ行ってしまった。
本当に、それだけで私は幸せだった。
恋人はいなくても、紹介された男の人とデートくらいならはしていた。
でも、当然なのだろうけれど、相手が好きな人だと、ただ歩くだけのデートも最高になる。
だから、本当にそれだけでいいのだけれどー。
「えいがかん?」
「映画を流してくれるところなんだけど…。
この世界の映画があるなら観てみたいなと思って。」
「えいが?」
リヴァイが訝し気に首を傾げる。
どうやら、そもそも映画というものがないようだ。
パラレルワールドではどんなデートをするのかと訊かれたので、さっきからいろいろと答えてはいるのだけれど、すべて首を傾げられてしまっている。
水族館どころか、海も知らないと言われたときには、変な声を上げて驚いてしまった。
でも、よく考えれば、この壁の中しか見たことのない彼らが、海を知っているわけがないのだ。
私の知っている海よりもずっと、この世界は狭いのだろう。
いつか、広い世界で自由に生きてるリヴァイが見てみたいー。
「いいよ。元の世界のデートじゃなくても。」
「…つまらねぇだろ。」
「え?」
「いろんなことが出来る世界を知ってるなまえにとって、
こんな狭ぇ世界はつまらねぇのは分かってる。
だから、少しでも、なまえに楽しいことをさせてやりてぇ。」
リヴァイは足を止めると、悔し気に絞り出すように言って目を伏せる。
あぁ、そんなことを気にしていたのかー。
この世界が狭いのも、文明の発達が遅れているのも、彼のせいではない。
それに、この世界に残りたいと願ったのは、私なのにー。
でも、私は、彼の優しさとか、申し訳なさとか、不安とか。私のために感じているその気持ちがすごく嬉しかった。
「元いた世界の方がいろんなことが出来たかもしれないけど
リヴァイとこうしてデート出来るのは、この世界だけだよ。」
僅かに伏せられた顔を覗き込むようにして、私はニコリと微笑む。
一瞬だけ、リヴァイの頬が緩んだ気がしたけれど、すぐにハッとしたように目を見開いた。
そしてー。
「…出来るだろ。あっちにも俺はいる。」
リヴァイが、拗ねたように口を尖らせる。
あぁ、そういえばそうだった。
変人だらけの企画調査部に入社した元探偵というのがリヴァイなのだと、リコから聞いた。
彼は、一緒に企画調査部に入社した仲間と共に私の行方を捜してくれているらしい。
元の世界にいるリヴァイというのはどんな人なんだろうー。
そんな風に思ったことがないと言ったら嘘になる。
嘘にはなるけれど、それは興味で、興味が湧くのは、この世界のリヴァイが好きだからだ。
「私の好きなリヴァイは、1人しかいないよ。
信じてないの?」
「…ズリぃな。」
リヴァイは呟くように言うと、長めに息を吐いた。
やっと顔を上げてくれた彼の表情が少しだけ柔らかくなった気がしてホッとする。
でもー。
「それで、お前はどんなデートが好きだったんだ?」
「まだ聞くの?」
また歩き出してくれたリヴァイだったけれど、質問内容は変わらなかった。
これはお前のことが知りたいだけだー、とズルい言い訳をするから、私も嘘は吐けなくなる。
だって、私のことなら知ってほしいからー。
「デートっていうんじゃないけど…。」
「なんだ?」
「ドライブが好きだったかな。」
「どらいぶ?」
「んー…、車って言う自動で動く乗り物があるの。
スピードもすごく速い乗り物で、それに乗って、窓全開にして、風をいっぱい顔に受けながら
疾走するのがすごく気持ちがいいの。」
気持ちのいい風を受ける感覚を思い出して、久しぶりに、ドライブに行きたくなった。
でも、そもそも自動車のないこの世界では、出来ない。
リヴァイも無理だと思ったのか、難しい顔で黙り込んでしまった。
やっぱり、言わない方が良かったのかもしれないー。
「いいよ。私はこうしてリヴァイと一緒に歩いてるだけでー。」
「ここで待ってろ。」
「へ?」
誰にもついていくなー。
まるで子供にでも言うような注意をして、リヴァイは私を置いてどこかへ行ってしまった。