ベッドに座った私に、リヴァイが手渡した部屋着はなまえのものだった。
私のだと言える服は、今着ている白いロングワンピースだけしかないのだから当然なのだけれど、今すぐなまえに戻れと言われているみたいで、自分勝手に傷ついた。

「ありがとう。」

嘘つきな笑顔を見せて、部屋着を受け取る。
着るなと言ったはずの白いロングワンピースを私が着ていることを、リヴァイは咎めなかった。
どうしてそれを着ているのかとも聞かなかった。
だから私は、その方が都合が良いと流してしまう。
そして、ランドリーボックスに出すからと言い訳をして、シャワールームまで行って着替えた。
身体中に引っかき傷や擦った痕があるのに気づいたら、リヴァイもさすがに何か言うと思った。
それにー。
リヴァイのつけた赤い花はもう、モブリットがー。
今さら、私は本当に最低なことをしてしまったと気づいた。
リヴァイだけではなくて、なまえのことも傷つけた。
やっぱり、ちゃんとモブリットに言わないといけない。
私はリヴァイの為にここにるのだと、彼のことをこれ以上、裏切れないとー。
寝室に戻ると、リヴァイはベッドに座って待っていた。
隣に入れば、優しく腰を抱き寄せられる。

「眠ぃ。」

私を抱きしめたままで、リヴァイはベッドに潜り込む。
少し前まで肌寒かった部屋は、2人で抱きしめ合っていればとても温かかった。

「昨日は、無理をさせて悪かった。」

耳元から聞こえてきたのは、掠れるような小さな声だった。
リヴァイは私を抱きしめたままで動かなくて、空耳かと思ったくらいだ。
でもー。

「愛してる。誰よりもお前を愛してる。」

今度はちゃんと、しっかりと、低い声が私の鼓膜を震わせてくれた。
名前を呼ばなかったからだろうか。
まるで、私に言ってくれたみたいで、泣いてしまいそうだった。
嬉しくて、胸が痛くてー。
リヴァイを愛することが苦しくなって逃げてしまいたいと思ってしまった、罪悪感が溢れ出す。

「私も愛してるよ。誰よりも愛してる。」

強く抱きしめた。
私は、ズルいから、私としてじゃなくてなまえとして答えていた。