◇51話◇消してしまいたい
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頭が痛いー…。
飲みすぎたようだ。
少し前に部屋に戻って来たモブリットは、酒と汗で気持ちの悪い服から緩いシャツとジーンズに着替えると、ソファに座って頭を抱えていた。
酔っぱらうことは出来なかったのに、酒はしっかりと頭の先からつま先までしみ込んでいる。
酒臭いままで出張に出かけたハンジは、エルヴィンとリヴァイに眉を顰められているに違いない。
コンコンー。
扉をノックする音に気づいて、モブリットは顔を上げる。
こんな早朝に誰だろうか。
何か緊急の用かもしれない。
眠っていてもおかしくない時間だから、無視をしてもいいかとチラリと思ったけれど、モブリットの性格上、それを実行すること何て出来るわけもない。
ため息交じりに立ち上がり、扉へと向かう。
くだらない用事だったら、文句のひとつくらい言ってやってもいいはずだ。
そんなことを思いながら、扉を開ける。
モブリットの目線よりも少し下に、彼女はいた。
目を伏せていて表情は伺えない。
驚いたのは、彼女は身体をシーツで包んだだけの格好だったということだ。
シーツが落ちないように、胸元にまわしたシーツを片手で押さえている。
恐らく、その下は裸なのだろう。
いくらこんな早朝で、お互いの部屋が近いと言っても、誰が通るか分からない廊下をこんな格好でー。
モブリットは慌てて、彼女の手を引いて部屋の中に入れた。
彼女は目を伏せたままで、何も言わない。
シーツからは、白く細い肩が露になっている。
それに欲情する余裕もないくらいに、彼女が考えていることが全く分からなくて、混乱していた。
「そんな恰好でどうしたの?何かあったの?」
「…シャワーを貸してほしいの。」
少し待てば、彼女は目を伏せたままで答えた。
抑揚のない声は、感情を必死に押し殺そうとしているようだった。
でも、その意味を理解出来ず、モブリットは首を傾げる。
だってー。
「シャワーを借りに来たの?それは、リヴァイ兵長の部屋にもあるだろう?」
「…あそこには、入りたくない。昨日の夜のこと、思い出すから。」
目を伏せたままで、抑揚のない声は変わらない。
でも、僅かに震え出した彼女を見れば、昨夜はシャワールームでも情事が行われたのだということが嫌でも理解出来た。
そんなこと、この世界で誰よりも知りたくないのにー。
「ごめんなさい…。モブリットにしか、こんなことお願いできなくて…。
ハンジも出張みたいだから…。」
男である自分の部屋に、シーツ一枚でやって来た理由を漸く理解する。
本当の彼女を知っている誰かにしか、頼れなかったのだろう。
彼女が頼ることが出来る人間は、この世界には少なすぎるからー。
「…いいよ。気にしないで。
シャワーは、寝室の奥にあるから自由に使って。
俺はその間に、リヴァイ兵長の部屋から君の着替えを持ってくるよ。」
「うん。ありがとう。」
結局、彼女はずっと目を伏せたままで、奥の寝室へと向かう。
シーツから覗く細くて華奢な白い背中に、自らの欲望で穢すように残された赤い痕を幾つも見つけた。
歩き方も少しぎこちない気がする。
痛い思いでもしたのだろうか。
彼女の白い肩が僅かに震えていたように、モブリットが無意識に握った拳も、震えていたー。
飲みすぎたようだ。
少し前に部屋に戻って来たモブリットは、酒と汗で気持ちの悪い服から緩いシャツとジーンズに着替えると、ソファに座って頭を抱えていた。
酔っぱらうことは出来なかったのに、酒はしっかりと頭の先からつま先までしみ込んでいる。
酒臭いままで出張に出かけたハンジは、エルヴィンとリヴァイに眉を顰められているに違いない。
コンコンー。
扉をノックする音に気づいて、モブリットは顔を上げる。
こんな早朝に誰だろうか。
何か緊急の用かもしれない。
眠っていてもおかしくない時間だから、無視をしてもいいかとチラリと思ったけれど、モブリットの性格上、それを実行すること何て出来るわけもない。
ため息交じりに立ち上がり、扉へと向かう。
くだらない用事だったら、文句のひとつくらい言ってやってもいいはずだ。
そんなことを思いながら、扉を開ける。
モブリットの目線よりも少し下に、彼女はいた。
目を伏せていて表情は伺えない。
驚いたのは、彼女は身体をシーツで包んだだけの格好だったということだ。
シーツが落ちないように、胸元にまわしたシーツを片手で押さえている。
恐らく、その下は裸なのだろう。
いくらこんな早朝で、お互いの部屋が近いと言っても、誰が通るか分からない廊下をこんな格好でー。
モブリットは慌てて、彼女の手を引いて部屋の中に入れた。
彼女は目を伏せたままで、何も言わない。
シーツからは、白く細い肩が露になっている。
それに欲情する余裕もないくらいに、彼女が考えていることが全く分からなくて、混乱していた。
「そんな恰好でどうしたの?何かあったの?」
「…シャワーを貸してほしいの。」
少し待てば、彼女は目を伏せたままで答えた。
抑揚のない声は、感情を必死に押し殺そうとしているようだった。
でも、その意味を理解出来ず、モブリットは首を傾げる。
だってー。
「シャワーを借りに来たの?それは、リヴァイ兵長の部屋にもあるだろう?」
「…あそこには、入りたくない。昨日の夜のこと、思い出すから。」
目を伏せたままで、抑揚のない声は変わらない。
でも、僅かに震え出した彼女を見れば、昨夜はシャワールームでも情事が行われたのだということが嫌でも理解出来た。
そんなこと、この世界で誰よりも知りたくないのにー。
「ごめんなさい…。モブリットにしか、こんなことお願いできなくて…。
ハンジも出張みたいだから…。」
男である自分の部屋に、シーツ一枚でやって来た理由を漸く理解する。
本当の彼女を知っている誰かにしか、頼れなかったのだろう。
彼女が頼ることが出来る人間は、この世界には少なすぎるからー。
「…いいよ。気にしないで。
シャワーは、寝室の奥にあるから自由に使って。
俺はその間に、リヴァイ兵長の部屋から君の着替えを持ってくるよ。」
「うん。ありがとう。」
結局、彼女はずっと目を伏せたままで、奥の寝室へと向かう。
シーツから覗く細くて華奢な白い背中に、自らの欲望で穢すように残された赤い痕を幾つも見つけた。
歩き方も少しぎこちない気がする。
痛い思いでもしたのだろうか。
彼女の白い肩が僅かに震えていたように、モブリットが無意識に握った拳も、震えていたー。