◇本編第七十二話・七十四話◇我儘な想いは雨に殴られる
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雨に濡れて冷えた身体をシャワーの熱いお湯が温めていく。
でも、心までは無理だ。
いつまでも冷えたまま、幼い頃からずっとそうだ。
唯一、なまえといるときだけ、優しい天使のような彼女のそばにいるときだけ、平和な世界の中にいるような気がして心が満たされていくような、そんな気がしていた。
だが、もう二度と、あの平和な世界には戻れないー。
突き放したあの日から、壊れた関係。
短い間で築き上げた上司と部下という立ち位置さえ、今では剃刀の刃の上でなんとかバランスをとっているに過ぎない。
どちらかが後少しでも動けば、そこから転げ落ちて傷だらけになるのだろう。
だから、俺はー。
自室のシャワールームを出ると、窓の外はまだ激しい雨が降っていた。
土砂降りの雨に打たれていたなまえの姿を思い出す。
ちゃんとシャワーを浴びて、身体を温めただろうか。
風邪をひかなければいい。
そもそもジャンはどうして、傘を足元に転がしてー。
「…クソッ。」
乱暴に頭を掻いて、ソファに腰をおろす。
何も考えないようにー。
そう思いながら、肩に乗ったタオルで濡れた髪を拭く。
でも、何も考えないように、と考えている時点で頭の中はなまえのことでいっぱいなのだ。
どうしてキスなんかしていたのだろう。
恋人になったのだろうか。
なまえは、俺のことを好きだと言ったくせにー。
その気持ちを受け入れず、突き放したのは自分なのに、そんな勝手な我儘が頭から消えてくれない。
本人には言えないくせに、心の中でなまえのことを責めている。
最低だ。最悪だ。
自分で自分に吐き気がする。
髪を乾かし終わった頃、俺は部屋から出ていた。
いつの間にか、ハッキリしないと気が済まないという調査兵団の意識が身体に染みついていたらしい。
俺が向かったのは、なまえの部屋のあるフロアだった。
でも、心までは無理だ。
いつまでも冷えたまま、幼い頃からずっとそうだ。
唯一、なまえといるときだけ、優しい天使のような彼女のそばにいるときだけ、平和な世界の中にいるような気がして心が満たされていくような、そんな気がしていた。
だが、もう二度と、あの平和な世界には戻れないー。
突き放したあの日から、壊れた関係。
短い間で築き上げた上司と部下という立ち位置さえ、今では剃刀の刃の上でなんとかバランスをとっているに過ぎない。
どちらかが後少しでも動けば、そこから転げ落ちて傷だらけになるのだろう。
だから、俺はー。
自室のシャワールームを出ると、窓の外はまだ激しい雨が降っていた。
土砂降りの雨に打たれていたなまえの姿を思い出す。
ちゃんとシャワーを浴びて、身体を温めただろうか。
風邪をひかなければいい。
そもそもジャンはどうして、傘を足元に転がしてー。
「…クソッ。」
乱暴に頭を掻いて、ソファに腰をおろす。
何も考えないようにー。
そう思いながら、肩に乗ったタオルで濡れた髪を拭く。
でも、何も考えないように、と考えている時点で頭の中はなまえのことでいっぱいなのだ。
どうしてキスなんかしていたのだろう。
恋人になったのだろうか。
なまえは、俺のことを好きだと言ったくせにー。
その気持ちを受け入れず、突き放したのは自分なのに、そんな勝手な我儘が頭から消えてくれない。
本人には言えないくせに、心の中でなまえのことを責めている。
最低だ。最悪だ。
自分で自分に吐き気がする。
髪を乾かし終わった頃、俺は部屋から出ていた。
いつの間にか、ハッキリしないと気が済まないという調査兵団の意識が身体に染みついていたらしい。
俺が向かったのは、なまえの部屋のあるフロアだった。