◇本編第七十二話・七十四話◇我儘な想いは雨に殴られる
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やっぱり、自分で傘を届ければよかったー。
今からでも遅くないかもしれないと思って、宿舎を出る。
そこで、宿舎の建物に立てかけられている傘を1本見つけた。
俺がジャンに渡したものだ。
なぜ、1本だけここにー。
迎えに行かなかったということだろうか。それにしても1本だけ残っているのはなぜだろうか。
立てかけられている傘を手に取った俺は、そのままその傘をさして兵門へ向かう。
その途中、ずぶ濡れの調査兵を見つけた。
ミケの分隊所属のジーニーだった。
彼女は、俺の顔を見ると、とても嬉しそうに駆け寄ってきてー。
「リヴァイ兵長っ!助かりました~っ。傘を忘れて出かけちゃってっ。
私のために持ってきてくれたんですかぁ?」
傘の中に入ろうとしたのか、勢いよく抱き着いてきて猫なで声で何かを言っていた。
でも、傘を叩く雨の音がうるさくて、よく聞こえなかった。
「すぐに部屋に戻れ。風邪をひく。」
「そうなんですよぉ。すっごく寒くって。あっためてもらえますか?」
上目遣いで甘えるジーニーは目に入ってなかった。
なまえが雨に濡れてしまうー。
ジャンが迎えに行ったのかどうかも分からず、焦っていた。
兵門から出て行くまでしっかり確認しておけばよかった。
「おい、いつまでくっついてるつもりだ。早く部屋に戻れ。」
「宿舎まで傘に入れて連れてってくださいよ~。リヴァイ兵長と相合傘がしたい~。」
「相合傘…?」
雨音に紛れて聞こえてきたジーニーの声で、1本だけ残った傘の意味が分かった気がした。
あぁ、そうか。きっと今頃、ジャンとなまえは1本の傘の下で2人きりー。
相変わらず、ジーニーは俺の腰に抱き着いて何か言っていたけれど、耳には届かなかった。
雨の音と、仲睦まじい姿を想像してしまった頭のせいでー。
「…いい加減離れろ。俺は今からー。」
「じゃあ、なんで、泣いてんだよっ!!」
ジーニーの猫なで声は、傘を叩く雨音にかき消されてよく聞こえなかったのに、ジャンの怒りと苦しみに満ちたような声は、ハッキリと耳に届いた。
声のした方を見れば、兵門の奥になまえとジャンの姿があった。
激しい雨のせいで、視界は白んではいたけれど、見えないほどではない。
俺が渡したはずの傘は足元に転がり、土砂降りの雨が2人を叩きつけている。
何をしているのか、そう思ったときには、ジャンとなまえのシルエットが重なっていた。
唇を重ねていることは、あまりにも明らかだった。
自分でなまえを突き放しておいて、無意識に拳を握る。
「こんな雨の中で、キスだなんて。
なまえと新兵君、ラブラブですねぇ。ねぇ、リヴァイ兵長、私達もー。」
「傘が欲しいなら、くれてやる。」
自分が持っていた傘をジーニーに押しつけた。
そして、宿舎に戻るために、背を向ける。
恋人同士のシルエットのなまえとジャンから、背を向けたー。
痛いくらいに冷たい雨が、身体を叩きつける。
でも今は、雨に打たれたい。
あの日のなまえの涙のような雨に、殴られたかった。
今からでも遅くないかもしれないと思って、宿舎を出る。
そこで、宿舎の建物に立てかけられている傘を1本見つけた。
俺がジャンに渡したものだ。
なぜ、1本だけここにー。
迎えに行かなかったということだろうか。それにしても1本だけ残っているのはなぜだろうか。
立てかけられている傘を手に取った俺は、そのままその傘をさして兵門へ向かう。
その途中、ずぶ濡れの調査兵を見つけた。
ミケの分隊所属のジーニーだった。
彼女は、俺の顔を見ると、とても嬉しそうに駆け寄ってきてー。
「リヴァイ兵長っ!助かりました~っ。傘を忘れて出かけちゃってっ。
私のために持ってきてくれたんですかぁ?」
傘の中に入ろうとしたのか、勢いよく抱き着いてきて猫なで声で何かを言っていた。
でも、傘を叩く雨の音がうるさくて、よく聞こえなかった。
「すぐに部屋に戻れ。風邪をひく。」
「そうなんですよぉ。すっごく寒くって。あっためてもらえますか?」
上目遣いで甘えるジーニーは目に入ってなかった。
なまえが雨に濡れてしまうー。
ジャンが迎えに行ったのかどうかも分からず、焦っていた。
兵門から出て行くまでしっかり確認しておけばよかった。
「おい、いつまでくっついてるつもりだ。早く部屋に戻れ。」
「宿舎まで傘に入れて連れてってくださいよ~。リヴァイ兵長と相合傘がしたい~。」
「相合傘…?」
雨音に紛れて聞こえてきたジーニーの声で、1本だけ残った傘の意味が分かった気がした。
あぁ、そうか。きっと今頃、ジャンとなまえは1本の傘の下で2人きりー。
相変わらず、ジーニーは俺の腰に抱き着いて何か言っていたけれど、耳には届かなかった。
雨の音と、仲睦まじい姿を想像してしまった頭のせいでー。
「…いい加減離れろ。俺は今からー。」
「じゃあ、なんで、泣いてんだよっ!!」
ジーニーの猫なで声は、傘を叩く雨音にかき消されてよく聞こえなかったのに、ジャンの怒りと苦しみに満ちたような声は、ハッキリと耳に届いた。
声のした方を見れば、兵門の奥になまえとジャンの姿があった。
激しい雨のせいで、視界は白んではいたけれど、見えないほどではない。
俺が渡したはずの傘は足元に転がり、土砂降りの雨が2人を叩きつけている。
何をしているのか、そう思ったときには、ジャンとなまえのシルエットが重なっていた。
唇を重ねていることは、あまりにも明らかだった。
自分でなまえを突き放しておいて、無意識に拳を握る。
「こんな雨の中で、キスだなんて。
なまえと新兵君、ラブラブですねぇ。ねぇ、リヴァイ兵長、私達もー。」
「傘が欲しいなら、くれてやる。」
自分が持っていた傘をジーニーに押しつけた。
そして、宿舎に戻るために、背を向ける。
恋人同士のシルエットのなまえとジャンから、背を向けたー。
痛いくらいに冷たい雨が、身体を叩きつける。
でも今は、雨に打たれたい。
あの日のなまえの涙のような雨に、殴られたかった。