We're Up At Night
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甘いコロンの香りが漂う車内に、俺となまえさんの2人きり。
アパート近くの公園沿いの道端に停めたなまえさんの愛車のヘッドライトの明かりが、街路樹をライトアップさせているみたいだ。
なまえさんはバックミラーを見ながら、通りがかる車を見るフリをして、車の時計を確認していた。
俺が強引に家に連れ込んで、初めて身体を重ねたあの日から1週間以上が経っていた。
普段から、毎日会う恋人同士なわけじゃない。
俺だってそれなりに大学で忙しくしているし、社会人のなまえさんと時間を合わせるのは難しい。
それでも、仕事終わりのなまえさんを迎えに行くことだってあったし、土日はお互いに予定がなければデートだってしていた。
でも、水曜から行っていた出張が、トラブルとかなんとかで土日も帰って来られなくなってしまった。
火曜の今日、夜になって帰ってきたと思ったら、まだ会社に戻ってトラブルの処理をしないといけないらしい。
だから、やっと会えたというのになまえさんの心はここにあらずで、俺の話もたぶん、あんまり頭に入ってない。
会社に戻る途中に、忙しいのにわざわざ俺と会う時間を作ってくれたのだと分かってる。
だから、仕事が気になるのだということだって、仕方がないのだと分かっている。
でも、頭で理解するのと心が納得するのとでは、全然違う。
俺が欲しいのは、土産のお揃いのキーホルダーじゃなくて、なまえさんを独り占めする時間なのだ。
たったの30分なんて、俺には足りない。
分かってる。
もう、約束した30分はとっくに過ぎていて、俺はそろそろ車を降りなきゃいけないことくらい。
優しいなまえさんが、言い出せないのをいいことに、気づかないフリをしているんだ。
でもそこへ、タイムリミットを知らせるみたいに彼女のスマホのバイブが鳴った。
電話をかけて来た相手を確認した途端、なまえさんが少し焦ったような顔をしたから、すぐに分かった。
きっと、仕事の相手だ。
もう、ここまでなんだ。
「ちょっとごめんね。」
なまえさんは申し訳なさそうに言ってから、応答ボタンを押した。
そして、わざわざ、こんな狭い車内で俺に背を向けてから耳にスマホを押しあてる。
小さな背中が冷たく見えたのは、俺となまえさんは、住む世界が違うのだと拒絶されたみたいで、悲しくなったせいだ。
助手席と運転席の間の隙間が、そのまま、学生と社会人のどうしても埋められない溝みたいに感じたんだ。
「リヴァイ、ごめん。もう少ししたら会社に戻るから。」
≪どうして同じ飛行機で帰ってきて、
会社に戻る時間がこんなに違うんだ。今、どこにいやがる。≫
「えっと…、ちょっと寄るところがあって。」
≪あぁ?早くしろ。お前がいねぇと仕事にならねぇ。≫
「分かってるよ。あ、何か夜食を買っていこうか?」
≪俺が買ってきた。わざわざコンビニに寄ってお前の分まで買ってきてやったのに、
まだお前が会社に戻ってねぇってのはどういう———。≫
「ごめんって。」
≪早くしろよ。≫
「分かった。」
電話が終わると、なまえさんは小さくため息を零した。
狭く静かな社内では、電話相手の声も聞こえてしまった。
彼女にため息を吐かせたのは、会社に戻れと急かした電話相手だろうか。それとも、彼女を繋ぎ止めようと必死なガキの俺か。
あぁ、マジで行かせたくない。
だって———。
「一緒に出張に行ってた人っすか?」
俺が訊ねると、なまえさんが、ため息を吐いたまま伏せていた顔を上げた。
そして、俺の方を向いて、本当に申し訳なさそうに眉尻を下げる。
悪いのは、我儘なことを思ってる俺なのに———。
「うん、もう会社に戻ってるんだって。」
男だったのかよ————。
言いたいけど、言えない。
束縛して、面倒だと思われたくない。子供だと、思われたくない。
あぁ、でも———。
俺が会いたくて仕方なかった夜、その男はなまえさんと一緒にいたのだと思うと、頭がおかしくなりそうだ。
それに、今日は徹夜かも、なんて言ってた仕事も、その男と一緒だと分かってしまったら、尚更行かせたくない。
行かせたくないのに———。
「ごめんね、もう戻らなくちゃ。
今日は、会ってくれてありがとうね。」
なまえさんが微笑む。
もう、気づかないフリも出来ない。
ちゃんと、行かせないといけない。
でも、最後に————。
「もう少しだけ———。」
狭い車内で、運転席に座るなまえさんの腰を抱き寄せた。
「あと少し、抱きしめさせて。」
小さな背中に腕を回して、包み込むように抱きしめた。
華奢で小さな身体は、俺の腕にすっぽり包まれて、愛おしくて仕方がない。
少しだけ驚いたように肩を揺らした彼女は、とても自然に俺の腕に手を添えて、胸に頬を寄せた。
その途端、甘いコロンの香りがぶわっと強くなった。
ベッドに入る度に、この甘い誘惑の象徴みたいなコロンの香りが、俺を寝かせてくれないことなんて、彼女は知りもしないんだろうな。
彼女がそこにいた名残りみたいだったベッドのシーツの皴だって、もうすっかり消えてしまって、狭いベッドの上で、俺はひとりきりだ。
何度も寝返りを打っては、甘いコロンの香りでクラクラして、頭が痛くなるくらい、なまえさんのことばかり考えているのに———。
あぁ、やっぱり———。
(帰したくねぇな…。)
勝手な我儘だと分かっていて、心の中では何度も本音が漏れる。
でもそれを言葉にはしない程度には、俺だってもうそれなりに大人で、子供じゃないのだ。
「ジャンの腕の中にいると落ち着く。疲れも吹っ飛んじゃいそう。」
「なら、よかったです。」
腕の中から聞こえる踊るような可愛らしい声に、俺の方が頬が緩む。
それならずっとずっと、仕事で疲れてるなまえさんを俺が抱きしめてあげられたらいいのに———。
そんなことを考えてしまって、胸がチクリと痛んだ。
だって、そんなの無理だろ。
なまえさんの生活を支えることも出来ないガキの俺に、彼女の生活の邪魔なんて出来ない。
だからせめて、落ち着くと言ってくれた俺の腕の感触が、彼女に残るくらいは長く抱きしめたい。
そうすれば、夜になって、シーツに包まれた時、俺の腕に包まれて安心した気持ちを思い出して、物足りなさを感じてくれるかもしれないから。
そうすれば、彼女は寝る前に、俺を思い出してくれるだろうから。
「なまえさん、キスしていい?」
「え。でも、人に見られちゃうかもしれないし…。」
なまえさんは、フロントガラスの方をちらりと見て、困ったように言う。
綺麗に整えられた眉が下がる、その表情すら愛おしくて、帰したくなくなる。
それを無意識にしているんだから、彼女は怖い。
俺なんかよりもずっと大人で、彼女の時間や都合に合わせられる男に、攫われてしまいそうで————。
「この時間は車くらいしか通らねぇから。」
「でも…、」
「———キスさせてくれるまで、俺、帰りませんよ。」
意地悪く言えば、なまえさんは観念したように顔を上げて、俺を見つめた。
そんなに帰って欲しいの、なんて面倒な女みたいなことを俺が思うようになるなんて———。
唇が重なると、俺は腰を抱く腕に力を込めた。
せめてこのまま、なまえさんの頭から俺が離れなくなるまで、キスがしたい。
今は、頭の中が仕事でいっぱいのなまえさんが、夜、俺のことで頭がいっぱいになって、眠れなくなってしまえばいい。
名残惜しく唇を離して、柔らかい髪を撫でてから助手席から降りた。
最後くらいは、物分かりの良い大人の男のフリをして、彼女の愛車が走り去るのを見送った。
テールランプが小さくなっていく。
まるで、彼女を、俺から連れ去って行くみたいだ。
それをただ眺めるしか出来ない俺は、真っ暗な夜道でひどく寂しく立ち並ぶ街路樹みたいだ。
あっという間に、朝が来るものだってことは知ってる。
でも、少なくとも、月はまだ輝き始めたばかりだよ。
今夜も俺は、彼女を想って、眠れそうにない。
だから、俺もなりたい。彼女が夜も眠れない理由になりたい。
徹夜になった仕事じゃなくて、俺のせいで、彼女が夜も眠れなくなればいいのに。
そうすれば、会えない時間も、彼女は俺のものみたいだろ。
Don't you know?
You're what keeps me up at night
(知らないの?君のせいで夜も眠れないんだよ)
AM 3:15 ーーーーーー。
眠れない夜、突然鳴り出したスマホに表示されているのは、俺の頭から離れてくれない愛おしい人の名前だった。
「はい。」
「ごめんね。寝てた?」
「いえ、まだ起きてましたよ。どうしました?」
「なんか、眠れなくって。
どうしても声が聞きたくなっちゃったの。」
「俺は、会いたいです。」
「一緒だね、私も本当は、会いたい。」
「なら、会いに行きましょうか。」
「え。」
「バイク飛ばせばすぐだから。」
「…いいの?」
「会いたいんでしょう?違うの?」
「うん、会いたい。ジャンがいないと、眠れないの。」
「なら、今夜は一緒に寝てあげますよ。今すぐに会いに行くから、待ってて。」
「ありがとう、待ってるね。」
愛おしい人を独り占めするために、俺はバイクを飛ばす。
だって、彼女が夜も眠れない理由は、仕事でも、他の誰でもなくて、俺だから————。
アパート近くの公園沿いの道端に停めたなまえさんの愛車のヘッドライトの明かりが、街路樹をライトアップさせているみたいだ。
なまえさんはバックミラーを見ながら、通りがかる車を見るフリをして、車の時計を確認していた。
俺が強引に家に連れ込んで、初めて身体を重ねたあの日から1週間以上が経っていた。
普段から、毎日会う恋人同士なわけじゃない。
俺だってそれなりに大学で忙しくしているし、社会人のなまえさんと時間を合わせるのは難しい。
それでも、仕事終わりのなまえさんを迎えに行くことだってあったし、土日はお互いに予定がなければデートだってしていた。
でも、水曜から行っていた出張が、トラブルとかなんとかで土日も帰って来られなくなってしまった。
火曜の今日、夜になって帰ってきたと思ったら、まだ会社に戻ってトラブルの処理をしないといけないらしい。
だから、やっと会えたというのになまえさんの心はここにあらずで、俺の話もたぶん、あんまり頭に入ってない。
会社に戻る途中に、忙しいのにわざわざ俺と会う時間を作ってくれたのだと分かってる。
だから、仕事が気になるのだということだって、仕方がないのだと分かっている。
でも、頭で理解するのと心が納得するのとでは、全然違う。
俺が欲しいのは、土産のお揃いのキーホルダーじゃなくて、なまえさんを独り占めする時間なのだ。
たったの30分なんて、俺には足りない。
分かってる。
もう、約束した30分はとっくに過ぎていて、俺はそろそろ車を降りなきゃいけないことくらい。
優しいなまえさんが、言い出せないのをいいことに、気づかないフリをしているんだ。
でもそこへ、タイムリミットを知らせるみたいに彼女のスマホのバイブが鳴った。
電話をかけて来た相手を確認した途端、なまえさんが少し焦ったような顔をしたから、すぐに分かった。
きっと、仕事の相手だ。
もう、ここまでなんだ。
「ちょっとごめんね。」
なまえさんは申し訳なさそうに言ってから、応答ボタンを押した。
そして、わざわざ、こんな狭い車内で俺に背を向けてから耳にスマホを押しあてる。
小さな背中が冷たく見えたのは、俺となまえさんは、住む世界が違うのだと拒絶されたみたいで、悲しくなったせいだ。
助手席と運転席の間の隙間が、そのまま、学生と社会人のどうしても埋められない溝みたいに感じたんだ。
「リヴァイ、ごめん。もう少ししたら会社に戻るから。」
≪どうして同じ飛行機で帰ってきて、
会社に戻る時間がこんなに違うんだ。今、どこにいやがる。≫
「えっと…、ちょっと寄るところがあって。」
≪あぁ?早くしろ。お前がいねぇと仕事にならねぇ。≫
「分かってるよ。あ、何か夜食を買っていこうか?」
≪俺が買ってきた。わざわざコンビニに寄ってお前の分まで買ってきてやったのに、
まだお前が会社に戻ってねぇってのはどういう———。≫
「ごめんって。」
≪早くしろよ。≫
「分かった。」
電話が終わると、なまえさんは小さくため息を零した。
狭く静かな社内では、電話相手の声も聞こえてしまった。
彼女にため息を吐かせたのは、会社に戻れと急かした電話相手だろうか。それとも、彼女を繋ぎ止めようと必死なガキの俺か。
あぁ、マジで行かせたくない。
だって———。
「一緒に出張に行ってた人っすか?」
俺が訊ねると、なまえさんが、ため息を吐いたまま伏せていた顔を上げた。
そして、俺の方を向いて、本当に申し訳なさそうに眉尻を下げる。
悪いのは、我儘なことを思ってる俺なのに———。
「うん、もう会社に戻ってるんだって。」
男だったのかよ————。
言いたいけど、言えない。
束縛して、面倒だと思われたくない。子供だと、思われたくない。
あぁ、でも———。
俺が会いたくて仕方なかった夜、その男はなまえさんと一緒にいたのだと思うと、頭がおかしくなりそうだ。
それに、今日は徹夜かも、なんて言ってた仕事も、その男と一緒だと分かってしまったら、尚更行かせたくない。
行かせたくないのに———。
「ごめんね、もう戻らなくちゃ。
今日は、会ってくれてありがとうね。」
なまえさんが微笑む。
もう、気づかないフリも出来ない。
ちゃんと、行かせないといけない。
でも、最後に————。
「もう少しだけ———。」
狭い車内で、運転席に座るなまえさんの腰を抱き寄せた。
「あと少し、抱きしめさせて。」
小さな背中に腕を回して、包み込むように抱きしめた。
華奢で小さな身体は、俺の腕にすっぽり包まれて、愛おしくて仕方がない。
少しだけ驚いたように肩を揺らした彼女は、とても自然に俺の腕に手を添えて、胸に頬を寄せた。
その途端、甘いコロンの香りがぶわっと強くなった。
ベッドに入る度に、この甘い誘惑の象徴みたいなコロンの香りが、俺を寝かせてくれないことなんて、彼女は知りもしないんだろうな。
彼女がそこにいた名残りみたいだったベッドのシーツの皴だって、もうすっかり消えてしまって、狭いベッドの上で、俺はひとりきりだ。
何度も寝返りを打っては、甘いコロンの香りでクラクラして、頭が痛くなるくらい、なまえさんのことばかり考えているのに———。
あぁ、やっぱり———。
(帰したくねぇな…。)
勝手な我儘だと分かっていて、心の中では何度も本音が漏れる。
でもそれを言葉にはしない程度には、俺だってもうそれなりに大人で、子供じゃないのだ。
「ジャンの腕の中にいると落ち着く。疲れも吹っ飛んじゃいそう。」
「なら、よかったです。」
腕の中から聞こえる踊るような可愛らしい声に、俺の方が頬が緩む。
それならずっとずっと、仕事で疲れてるなまえさんを俺が抱きしめてあげられたらいいのに———。
そんなことを考えてしまって、胸がチクリと痛んだ。
だって、そんなの無理だろ。
なまえさんの生活を支えることも出来ないガキの俺に、彼女の生活の邪魔なんて出来ない。
だからせめて、落ち着くと言ってくれた俺の腕の感触が、彼女に残るくらいは長く抱きしめたい。
そうすれば、夜になって、シーツに包まれた時、俺の腕に包まれて安心した気持ちを思い出して、物足りなさを感じてくれるかもしれないから。
そうすれば、彼女は寝る前に、俺を思い出してくれるだろうから。
「なまえさん、キスしていい?」
「え。でも、人に見られちゃうかもしれないし…。」
なまえさんは、フロントガラスの方をちらりと見て、困ったように言う。
綺麗に整えられた眉が下がる、その表情すら愛おしくて、帰したくなくなる。
それを無意識にしているんだから、彼女は怖い。
俺なんかよりもずっと大人で、彼女の時間や都合に合わせられる男に、攫われてしまいそうで————。
「この時間は車くらいしか通らねぇから。」
「でも…、」
「———キスさせてくれるまで、俺、帰りませんよ。」
意地悪く言えば、なまえさんは観念したように顔を上げて、俺を見つめた。
そんなに帰って欲しいの、なんて面倒な女みたいなことを俺が思うようになるなんて———。
唇が重なると、俺は腰を抱く腕に力を込めた。
せめてこのまま、なまえさんの頭から俺が離れなくなるまで、キスがしたい。
今は、頭の中が仕事でいっぱいのなまえさんが、夜、俺のことで頭がいっぱいになって、眠れなくなってしまえばいい。
名残惜しく唇を離して、柔らかい髪を撫でてから助手席から降りた。
最後くらいは、物分かりの良い大人の男のフリをして、彼女の愛車が走り去るのを見送った。
テールランプが小さくなっていく。
まるで、彼女を、俺から連れ去って行くみたいだ。
それをただ眺めるしか出来ない俺は、真っ暗な夜道でひどく寂しく立ち並ぶ街路樹みたいだ。
あっという間に、朝が来るものだってことは知ってる。
でも、少なくとも、月はまだ輝き始めたばかりだよ。
今夜も俺は、彼女を想って、眠れそうにない。
だから、俺もなりたい。彼女が夜も眠れない理由になりたい。
徹夜になった仕事じゃなくて、俺のせいで、彼女が夜も眠れなくなればいいのに。
そうすれば、会えない時間も、彼女は俺のものみたいだろ。
Don't you know?
You're what keeps me up at night
(知らないの?君のせいで夜も眠れないんだよ)
AM 3:15 ーーーーーー。
眠れない夜、突然鳴り出したスマホに表示されているのは、俺の頭から離れてくれない愛おしい人の名前だった。
「はい。」
「ごめんね。寝てた?」
「いえ、まだ起きてましたよ。どうしました?」
「なんか、眠れなくって。
どうしても声が聞きたくなっちゃったの。」
「俺は、会いたいです。」
「一緒だね、私も本当は、会いたい。」
「なら、会いに行きましょうか。」
「え。」
「バイク飛ばせばすぐだから。」
「…いいの?」
「会いたいんでしょう?違うの?」
「うん、会いたい。ジャンがいないと、眠れないの。」
「なら、今夜は一緒に寝てあげますよ。今すぐに会いに行くから、待ってて。」
「ありがとう、待ってるね。」
愛おしい人を独り占めするために、俺はバイクを飛ばす。
だって、彼女が夜も眠れない理由は、仕事でも、他の誰でもなくて、俺だから————。
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