後悔の香りが沁みついて離れないせいだ
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———失恋に打ちのめされていたダサい男がようやく新しい恋を見つけたらしい。
そんなくだらない噂が調査兵団の兵舎に少しずつ浸透して、カノジョの耳にも届いたと聞いた。
もうそろそろカノジョが動き出し、俺と彼女の前に現れるはずだ。
そして、シナリオの決まっている地獄の舞台に、俺達を無理やり上がらせる。
でも、今度は、そのシナリオを俺が書き変える。
だって、同じ舞台の上に立たされて、いったい何度目になるのだろう。
同じシナリオでは、飽きが来るのは仕方がないはずだ。
それに、新しい恋に踏み出そうとする度に、カノジョが俺の前に現れるのは、別に俺の心が欲しいからなわけじゃないのだ。
俺が恋しいわけでも、ましてや、俺に惚れているわけでもない。
ただ、俺が惚れてるのは自分で、俺が今も恋焦がれてるのは自分だけだってことを、確かめたいだけなのだ。
そうやって、自分は愛されていると感じたいだけなのだ。
そして、俺に思う存分に愛された後は、飽きたオモチャに見向きもしなくなる幼児のように、呆気なく離れて行く。
数か月前、ナイトクラブで再会してよりを戻したときも、その前も、その前の前もそうだった。
最初から分かってた。
だから、俺は、今度こそ————。
「ジャン、会いたかったわ。」
なまえさんが、俺の頬に触れる。
俺は、今度こそ———————。
「俺はもう二度と会いたくなかった。」
細い腰を抱き寄せながら、俺はまた、走り去っていく悲しい背中を眺めていた。
あの背中は、数か月後の俺の姿で、数か月前の俺の姿でもある。
でも俺はやっぱり、また数か月後に、新しい恋をしようとしているのだと自分に言い聞かせながら、このナイトクラブに彼女を誘うのだ。
そうして、カノジョが用意してくれる舞台に上がるために———。
「私はずっと、ジャンに会いたいわ。
だって、大好きだから。」
俺に愛されるのがね———。
言わない代わりに、なまえさんに口づけた。
後悔の香りが、俺を包む。
あぁ、俺は今度こそ、心配してくれている友人達から見放されるのだろう。
でも、仕方がないんだ。
だって————。
カノジョは、俺が忘れることを許してくれない
そんなくだらない噂が調査兵団の兵舎に少しずつ浸透して、カノジョの耳にも届いたと聞いた。
もうそろそろカノジョが動き出し、俺と彼女の前に現れるはずだ。
そして、シナリオの決まっている地獄の舞台に、俺達を無理やり上がらせる。
でも、今度は、そのシナリオを俺が書き変える。
だって、同じ舞台の上に立たされて、いったい何度目になるのだろう。
同じシナリオでは、飽きが来るのは仕方がないはずだ。
それに、新しい恋に踏み出そうとする度に、カノジョが俺の前に現れるのは、別に俺の心が欲しいからなわけじゃないのだ。
俺が恋しいわけでも、ましてや、俺に惚れているわけでもない。
ただ、俺が惚れてるのは自分で、俺が今も恋焦がれてるのは自分だけだってことを、確かめたいだけなのだ。
そうやって、自分は愛されていると感じたいだけなのだ。
そして、俺に思う存分に愛された後は、飽きたオモチャに見向きもしなくなる幼児のように、呆気なく離れて行く。
数か月前、ナイトクラブで再会してよりを戻したときも、その前も、その前の前もそうだった。
最初から分かってた。
だから、俺は、今度こそ————。
「ジャン、会いたかったわ。」
なまえさんが、俺の頬に触れる。
俺は、今度こそ———————。
「俺はもう二度と会いたくなかった。」
細い腰を抱き寄せながら、俺はまた、走り去っていく悲しい背中を眺めていた。
あの背中は、数か月後の俺の姿で、数か月前の俺の姿でもある。
でも俺はやっぱり、また数か月後に、新しい恋をしようとしているのだと自分に言い聞かせながら、このナイトクラブに彼女を誘うのだ。
そうして、カノジョが用意してくれる舞台に上がるために———。
「私はずっと、ジャンに会いたいわ。
だって、大好きだから。」
俺に愛されるのがね———。
言わない代わりに、なまえさんに口づけた。
後悔の香りが、俺を包む。
あぁ、俺は今度こそ、心配してくれている友人達から見放されるのだろう。
でも、仕方がないんだ。
だって————。
カノジョは、俺が忘れることを許してくれない
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